駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

夏痩せを揺るがす夏

2010年09月08日 | 診療
 内科系の町医者の診療で二番目に大切なことは、可能な限り初期に病気を見出すことである。簡単そうで実はとても難しい。
 私の医院では来院時必ず体重を測定し、患者の全体像を慮る一つの指標にしている。ところがこの夏は滅茶苦茶何時までも暑いので、2,3キロの体重減少が夏痩せか隠れた病気によるものか鑑別が難しく大弱りである。全体像を捉えるとか優れた大局観を持つことが、総合内科の強みなのだが、異例の酷暑で調子が狂ってしまった。
 しかしまあ百年に一度の暑さにもめげない強者は居る。この暑さでも、「私、夏痩せしないの、夏太りよ」。などと嘯きながら体重計に乗れば、針は軽く70キロを超す中年女性は十指に余る。居直っているので、アドバイスの矛も折れてしまう。現状維持の減らない患者さんも結構居る。
 「あら、40キロ。夏痩せね」。と微笑む八十代、皺の笑顔の婆さんの方が余程可愛い。尤も、これは内緒。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする