駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

人さまざま

2010年09月05日 | 医療
 類は友を呼ぶというのは概ねそうしたもので、感覚や考え方の違う友人を何人かお持ちの方は世界が広いと思う。
 似た者同士の世界にいるとつい自分の感覚が普遍的なものと思いがちだが、私のようなサービス業をしていると、いろんな人が世の中には居るのを思い知らされる。
 医療の検査は日進月歩で最近は胃カメラも鼻から入れるのが出来て患者さんの負担が減った。口から入れる胃カメラは嘔吐反射が誘発されちょっとつらい。バリウムを飲む胃の透視はバリウムの味も改善され飲み心地もよくなりさほど辛くない。
 それで経口の胃カメラと胃透視を比べれば、楽な胃透視が良いだろうと思いがちだが、胃カメラの方が良いという方が十人に三人くらい居られる。胃カメラの方が良いという方には胃透視後のバリウムの排泄に苦労するからという方が混じっているのだが、純粋に胃カメラの方が楽だという方も結構居られる。
 私個人は単なる辛さからは胃透視の方がやや楽だが経口の胃カメラも平気である。いつも看護師に飲むのがお上手ですねと褒められる。ちょっと辛いという覚悟さえあれば胃カメラ程度の辛さはたかが知れている。ひょっとしてマゾっ気があるのかと心配になるのだが辛いと終わった後の達成感も嬉しい。
 ちなみに胃カメラではいざやる時になってどうしても飲めないという患者さんが五百人に一人くらい居る。全部男だ。明らかな性差がある。女性は強い。確かにそうなのだが、この強いというところに別の漢字が入れたい気もする。
 飲み薬に少しだが今でも粉薬がある。粉と言っても顆粒でそのまま飲めるものがほとんどだ。いい年(二十歳を過ぎて)をして錠剤を飲めないという患者さんが時々居るので、顆粒製剤やシロップを使うことがある。面白いことに粉(顆粒)が飲めないと言う患者さん、ほとんど若い女性、も時々いる。四十過ぎのの患者さんで錠剤の形に注文を付ける人はほとんどいない。高齢の方では顆粒は入れ歯に挟まって困るという方が居られる。
 どちらにも楽と言うので最近は口内崩壊錠というのも出てきた。崩壊錠は口の中でしゃぶるようにしているといつの間にか細かく砕けて自然に胃内へ移動してゆく。この口内崩壊錠が増えている理由の一つに差別化があるのだそうだ。口内崩壊錠を作るのには技術と投資が必要でいわゆる後発メーカー(ジェネリック)にはなかなか作れないらしい。
 
コメント
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