真夏の関西旅行記 (その10)[平城宮跡編の参]のつづき、[奈良編の1]は、大和西大寺駅から近鉄奈良線に乗って近鉄奈良駅に到着したところから始まります。
今回の奈良で見学予定リストに入れていたスポットには、土日祝日はダメ(正倉院)とか月曜日はダメ(奈良国立博物館:奈良博)とか、いつでもOK(興福寺国宝館)とかが渾然一体となっていて、この廻り方は、準備不足が目立つ今回の旅行の中では珍しく事前に検討いたしました。
その結果、関西旅行2日目の8月1日(日)は、奈良博を最優先にして、気力・体力が残っていれば興福寺国宝館を見学することにしました。
近鉄奈良駅を出た私は、遅い(13:30過ぎ)昼食を摂るべく東向通りに入りました。
平城宮跡から大和西大寺駅に向かう道すがら、昼食をどこで食べようかお店を物色していたのですが、適当な店が見当たらず、妙に賑やかな大和西大寺駅の駅ナカでも食指を動かされることなく、近鉄奈良駅まで来てしまった私、どうしたことか焼き肉が食べたくなっていました。
ところが、ひがしむき商店街で見つけた焼肉屋さんはどこも夜の営業だけのようです。
う~むと、私は三条通りを突き抜け、餅飯殿(もちいどの)センター街に突入。
そこで目に止まったのが、「ステーキランチ(牛ロース180g、牛フィレ120g) ライス・サラダ・コーヒー付き 1500円」の看板 コレだ とばかりに入ったのが、キッチン あるるかんでした。
さすがにこの値段ですから、肉質(私は迷わずロース)はそれ相応だと思いましたが、焼き方がいい 期待を遙かに上回る美味さでした。ボリュームとも相まって、かなり満足の昼食でございましたヨ
質・量・価格とも満足のランチを終えた私は、「抜けられます」的な細い路を通って猿沢の池の畔に出て、石段を登って興福寺へ…。
と、興福寺の境内は、昨年末(その時の記事はこちら)とは様相が一変しておりました
いよいよ中金堂の再建が本格化したんですねぇ。
今年10月に立柱式を行い、完成は2015年の予定だそうです。
興福寺のHPでは、
これほど大規模な木造建築は、今世紀はもうないだろうといわれており、木造建築の世界文化遺産として、後世に誇れるような建物にしなければなりません。
とかなり意気込んでいらっしゃいます。楽しみですねぇ。
と、ワクワクしながらも、境内を素通りして、奈良博に向かう私でありました
そして、興福寺と奈良博の間にある広場(登大路園地)にさしかかったところ、5月2日の速報記事「奈良を満喫!」に書きましたように、広場には行灯(あんどん)というか灯籠というか、まぁ、そんなものが一面に置かれ、木にも飴玉か団子を巨大化したようなものが吊されていました。
また、「ミニねぶた人形のようなもの」と書いたのはこちらのことです。
これらは、「全国光とあかり祭 in 奈良」の出品作品だったわけですが、この時はそんなことを知るよしもなく(単なる準備不足)、強烈に暑い中で常時巡回している警備員さんに同情しつつ、私は奈良博に歩を進めました。
今回の関西旅行に備えて、ではありませんが、私の財布にはしっかりと「東京国立博物館 パスポート」が入っています。
この「東博パスポート」、こちらで書きましたように、
パスポートがあれば、1年間は、東博を含む4つの国立博物館(東京・京都・奈良・九州)の通常展はいつでも無料ですし、4館で開催される特別展を6つ観られる(各特別展1回のみ)
という便利なシロモノでして、ついに東博以外では初めての活用となりました。
「至宝の仏像」展の入口で「仏像館」のスタンプ、「仏像修理100年」展の入口で「仏像修理」のスタンプを捺してもらい、これで観覧料金1,000円(両展共通)が浮きました
さて、「至宝の仏像」展は、フルネームでは「なら仏像館開幕記念 特別展 至宝の仏像 東大寺法華堂金剛力士像特別公開」と、かなり長い。
この夏、片山東熊設計の重要文化財・本館が、照明設備を一新して「なら仏像館」に生まれ変わったことを記念する特別展です。
左のリーフレットには、
展示されるのは、すべて館蔵ないしご寄託をいただいている仏像で、飛鳥時代から鎌倉時代にかけて制作された名品を中心としており、まさに「至宝の仏像」と呼ぶにふさわしい内容です。
とあるのですが、東大寺法華堂(三月堂)の須弥壇(しゅみだん)の調査・修理が始まったことから居場所を失い、奈良博に「疎開」していらっしゃった金剛力士像2躰が展覧会の目玉になっていますなぁ。
そんな「重箱の隅」的な話はさておいて、この金剛力士像は素晴らしかった
これまで、写真で見たことしかなくて、脱色したようなお顔立ちや、ぎこちないポーズから、何となく印象の薄いお二人でしたが、眼前に立ちはだかる忿怒の表情のお二人はとてつもない存在感と迫力でありました。写真と現物とでここまで違うとは…
しかも、思いのほかきれいに残っているお召し物の色や模様まで至近でしげしげと拝見できるなんて、眼福とはこういうことをいうのでしょう。
翌日、東大寺法華堂(三月堂)でいただいたチラシによれば、金剛力士像2躰は、「至宝の仏像」展終了後も引き続いてなら仏像館で展示されるそうですよ。
金剛力士像以外の展示も、奈良博の気合いが伝わってくるものでした。最も感心したのは、快慶作の重要文化財・阿弥陀如来立像(裸形像)のライティング。
背後の壁に二重三重に映る影が、それだけでも美術品と呼べるような美しさでした。
その他の仏像も、制作された時代による様式の違いがよく判って、大変に勉強になりました。
勉強になったといえば、奈良博の本館(なら仏像館)と新館をつなぐ地下回廊(入場無料ゾーン)には「学習コーナー」というのがあります。そこでは、仏さんの手(印相)や木彫りの仏さんの制作過程が、模型を使ってわかりやすく説明されていて、前から気になっていたのですが、「至宝の仏像」展の図録に「参考資料」として同じ説明が写真入りで載っていました。
この図録(1000円)、コストパフォーマンスが高いですゾ
図録の表紙、右下の「菩薩立像」がcuteですねぇ いかにも飛鳥仏です。
奈良博のもう一つの特別展、「仏像修理100年」のことは、また後日
つづき:2010/08/19 真夏の関西旅行記 (その12)[奈良編の2]