唐突ながら、先々週の週末に決行した北海道遠征のお話です。
4月17日の記事「手袋を持ってくるんだった…」の最後に書きましたように、北海道遠征2日目は小樽に行ってきました。
私が小樽に行くのは、約8年ぶり2度目のこと。
前回の小樽訪問(札幌記念観戦ツアーからの流れでした)は「晩夏」だったのに対して、今回は4月だというのに、まだまだ冬でした。
小樽行きのエアポート快速の車窓から見える日本海は大荒れで、ウミネコ(カモメ?)は強い風の中でホバリングしていました。
まったくもって、冬の日本海、「冬のエトランジェ」の世界ですな。
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今回の小樽での一番のお目当ては、金融資料館
私の場合、金融に興味があるというよりも、興味の対象は金融資料館の建物そのものです。
かの辰野金吾さんの設計になる旧日本銀行小樽支店の建物を観たいっつうのが最大の理由でした。
ところが、やはり旧日本銀行小樽支店も良かったものの、それ以上に、「北のウォール街」とも呼ばれたさまざまな銀行の支店の建物が群れとして見どころたっぷり
銀行の旧支店以外にもトキメキの建物がわんさかありましたが、それは「その2」に廻して、今日は「銀行の旧支店」特集をお送りします。
現在の「北のウォール街」は、こんな風になっています。
「日銀通り」を挟んで、かつて札幌よりも人口が多かったという「北の商都 小樽」を偲ばせる旧銀行群を観ることができます。
ちょっと考えた末、建物の並びの順ではなく、現在のグループ/まとまりで括って紹介することにしました。
まずは、銀行の銀行=中央銀行に敬意を表して、日本銀行から。
威厳を押し出し過ぎたり、技巧に走り過ぎることもなく、それでいて観る人に安心感を与えてくれる建物だと思います。
旧日本銀行小樽支店の内部や詳細は後回しにしまして、次は三菱UFJフィナンシャルグループの旧三菱銀行小樽支店。
1922年(大正11年)の竣工だそうな。
続いては、恥ずかしいニュースが多いみずほフィナンシャルグループに行きましょう。
こちらは旧第一銀行小樽支店、1924年(大正13年)の建物です。
ちょっと陰気な感じがします。
一方、こちら(旧安田銀行小樽支店)は、正統派といった感じ。
1930年(昭和5年)の竣工だそうですから、「好況期に計画されたのに、完成したら世界恐慌のまっただ中だった」という暗い過去をお持ちの建物です。
次は三井住友フィナンシャルグループから旧三井銀行小樽支店。
真正面から観てみましょう。
いかにも元銀行の建物です。
約9年前まで「三井住友銀行小樽支店」として使われていて、小樽市内で最後まで営業していた都市銀行になったそうな。
確かに、銀行の臭いが残っている気がするもの無理はありません。
ところがこの建物、後ろから見ると…、
「ずるい」と言いたくなるような二面性を見せてくれました
次はほくほくフィナンシャルグループを観てみましょうか。
こちらは旧北海道銀行本店。
1912年(明治45年)竣工といいますから、最初に紹介した旧日本銀行小樽支店と同じ年です。
交差点を挟んで日銀と向き合う地元銀行の本店、小樽の人たちはさぞかし誇らしかったことでしょう。
ところで、現在の北海道銀行のHPで会社概要を見ますと、「設立:昭和26年3月」と書かれています。あれ?ですな。
この辺りの事情はWikipediaに記述されています。
前身は1891年(明治24年)、札幌に設立された屯田銀行と1894年(明治27年)余市に設立された余市銀行(後に小樽銀行)。後に合併して北海道商業銀行となるが、第二次世界大戦中の金融統制(一県一行主義)により北海道拓殖銀行(拓銀)に統合され、一旦は消滅。
戦後の経済復興で高まる資金需要に応えるべく、1950年(昭和25年)、旭川市で行われた全道中小企業者大会及び全道商工会議所大会において新銀行の設立が決議され、1951年(昭和26年)3月、株式会社北海道銀行(道銀)が発足。いわゆる戦後地銀として営業を開始した。
これでもよく判りません
もうちょいと調べると、こちらのサイトに行き当たりました。
それによると、旧北海道銀行は、小樽銀行(旧余市銀行)が1906年(明治39年)に北海道商業銀行(旧屯田銀行)を吸収合併して発足(改称)した由。Wikiではこの部分がすっぽりと抜け落ちています。
旧北海道銀行を統合した北海道拓殖銀行(ほくほくFGではありません)の旧小樽支店は旧北海道銀行本店のすぐ近くにありました。
この建物で、プロレタリア文学の第一人者・小林多喜二が銀行員として働いていたんですねぇ…。
正直なところ、恥ずかしながら私、この記事を書く準備をするまで、「ほくほくフィナンシャルグループ」なる金融グループを知りませんでした。
知るきっかけになったのは、こちらの建物の由来を調べたことです。
「落雪注意」の貼り紙が痛々しい(ぱっと見、「落雷注意」と読んでしまって、意味不明…でした) 旧第四十七銀行小樽支店です。
この「旧第四十七銀行」とは何ぞやと調べてみますと、こちらのサイトで、現在の北陸銀行であることが判りました。
更に調べていくと、Wikipediaによると北陸銀行は、
北陸3県(富山県・石川県・福井県)と北海道が主な地盤。
総資産5兆8743億52百万円(2009年3月期)
北陸地方では知名度も高く、本店を置く富山県及び県内市町村の指定金融機関となっている。明治期の北海道移住者には富山県出身者が多かった縁もあり、北海道にも営業地盤を持つ(北陸銀行を取引銀行に含める道内企業は数多い。また、道内の自治体では釧路町が指定金融機関としている)。
だそうな
Wikiでは「明治期の北海道移住者には富山県出身者が多かった縁もあり」と書かれていますが、私の友人の説では、「北前船の縁でしょう」とな。
私としては、友人の説を支持したいところです。
それはさておき、「ほくほくフィナンシャルグループ」の「ほくほく」というのは、じゃがバターを形容したものではなく、「北陸銀行」と「北海道銀行」の名前のアタマを並べたもの。
いつの間にこんな金融グループができていたのでしょうか?
ま、私としては、さほど興味を持つ話題ではありません…
小樽にはこの他にも銀行がいくつもあったようですが、私が写真に撮ったのは以上です。
いやはや楽しい
でも、小樽のレトロ建築の見どころは旧銀行だけではありません
近いうちに、旧日本銀行小樽支店(金融資料館)の内部と併せて紹介するつもりです。
つづき:2011/04/29 小樽のウミネコはホバリングしていた(その2)