真夏の関西旅行記 (その11)[奈良編の1]のつづきです。
奈良国立博物館(奈良博)でダブル開催中の特別展、もう一つは「仏像修理100年」展。
展覧会のタイトルにある「100年」は、いつから数えて100年なのでしょうか。
上にリンクを貼った奈良博のHPによりますと、
一般に国や県などの指定文化財となった仏像は、従来からの信仰の力とともに、貴重な文化遺産を守るという理想のもとで修理されています。いわゆる文化財の保存修理です。 その始まりは、古社寺保存法が制定された翌年、明治31年(1898)に遡ります。
だそうです。興福寺の五重塔が薪になりかけた明治初年の廃仏毀釈運動(こちらで書きましたっけ)が収束したのが明治4(1871)年頃だといいますから、それから30年近くも経ってからのことです。
私としては、結構動きが遅い気がするのですが、いかがでしょうか?
それはさておき、この「仏像修理100年」展、予想以上のおもしろさでした。
一口に仏像といっても、石像あり、乾漆像(麻布を漆で塗り固めたようなもの)あり、鋳造仏あり、木像あり。木像にも一木造りあり、寄せ木造りありと様々です。
また、仏像の現状が、昔の「修理」で別の仏像のパーツが組み合わせられたりしたことで、その仏像本来の姿と異なっていることだってあるのだそうで、ますますややこしい…
更に、模造を造る場合、現状を忠実に再現するアプローチあり、現物が造られた当時を再現するアプローチありと、これまた様々。
そんな気の遠くなるような仏像修理や模造制作に立ち向かってきた匠たちの取り組みの歴史が観られた気がする展覧会でした。
私は、修理の際の記録図や、東大寺南大門の金剛力士像の構造模型とかにほげぇ~状態でございました。
模造品では、現状を忠実に再現された法隆寺・百済観音は現物と見まごうデキだった一方、展覧会の看板にも載っている興福寺・阿修羅像はオリジナル制作当時の色が再現されていて(今年初めに九博で観たものと同じモノ?)、現物との印象の違いが強烈でした。
最後には、木像仏の素材の主流がクスノキ⇒カヤ⇒ヒノキと変遷したことが語られ、それぞれの素材の違いを肌触りと香りで実感できるという「体験型」展示もあり、加えて、それぞれの木片をお持ち帰りできるというオマケ付きです。
私もそれぞれ1片ずつ頂いてきたのですが、どれがどれやら… あぁ情けない…
これはお薦めの展覧会ですぞ