真夏の関西旅行記(その2)[大阪編の1]のつづき、「国立国際美術館(NMAO)」での「横尾忠則全ポスター」展から再開です。
私の記憶に残る横尾忠則さんの最も古いイメージは、伝説のTVドラマ「寺内貫太郎一家」に登場する「飲み屋のいわくありげな常連客」でした。
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このドラマを見ていた頃は、横尾さんが、著名なイラストレーターだとはまったく知らず、その後、雑誌やTVで横尾さんの作品を見るようになり、徐々に作品と名前が結びついていったのでした。
そして、おぉ、横尾さんって凄いと思ったのが、今から30年前()に映画館の「近日公開」コーナーで見たこちらのポスターでした。
1980年公開の映画、「二百三高地」のポスターです。
これには度肝を抜かれました…
日本史の教科書の明治時代のところによく出てくる錦絵が、時代感覚を失わせるようで、頭クラクラ…
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そんなわけで、「二百三高地」との再会を楽しみにして会場に入ったのでありました。
で、出品作品の中には「二百三高地」もありました。ありましたけれど、膨大な作品群の中に埋もれている感じで、私が30年前に感じたオーラはない…。
このページに載せた画像を観れば、今でもふぉ~と思うのですが、会場ではホントに存在感が薄かった…
なぜなのだろうかと考えると、他の作品が発する「気」が遙かに強く、「二百三高地」は相対的に沈んでしまったということなのかもしれません。
横尾さんは、一人のアーティストとしては珍しいほど様々な作風を持っていて、まったく違う作風の作品であっても「いかにも横尾忠則」と感じさせる強い個性を持っていらっしゃると思います。
この展覧会でも、気に入った作品は同一人物が制作したものとは思えないほど作風が違っていても、どれも「いかにも横尾忠則」でした。
代表作の「腰巻きお仙」もさることながら、私が最も気に入ったのは、右に載せた「毛皮のマリー」(どことなくロートレック風?)かな?
宝塚歌劇団の「風と共に去りぬ」も強烈(タカラヅカの存在自体が強烈でもあるけれど)デス
藤原歌劇団や渋谷東急名画座の一連のポスターは渋いし(この群での一番のお気に入りは藤原歌劇団の「お蝶夫人」)、状況劇場や天井桟敷の一連のポスターはPOPかつ怪しいし、で、次から次へと展開される横尾ワールドに頭がぼ~っとしてきます。
多用される蛍光色が目から頭に抜けていくし、視野の全面を覆うかのような作品群のボリュームと圧力に、私はほとんどオーバーフロー状態でした。
ちょっとこれはやり過ぎではないか、と思ったところで、横尾さんのごく初期の作品で、ちょっと頭が弛緩…。
横尾さんが兵庫県立西脇高等学校に在学中に描いたポスターは、使っている色数も少なく、シンプルな図案が多いのですが、それでも、いわゆる「栴檀は双葉より芳し」ってやつで、アイデアとセンスの良さが光り輝いていました。
そんなわけで、目も頭も疲れ果てた状態で会場を出た私は、ミュージアムショップ(リンク先はNMAOのショップですが、「横尾忠則全ポスター」展独自のショップもあり)を覗いてみました。荷物になるだろうけれど図録を買おうか、とも思っていました。
が、しかし、図録は、出品点数800点を超える大展覧会だけに、デカイ(分厚い) そして高い
会場では消費税分が割り引きになっているとは言え、それでも12,000円(税込)ですぞ
結局、図録を買うのを断念しました
でも、この記事を書いていると、なんとも資料不足で何とも歯がゆい 上に書いていないかなり気になった作品があったのですが、作品名すら判らない、見つからない
もしかすると、そのうち、魔が差したように図録を買ってしまうかも…。
これから「横尾忠則全ポスター」展に出かけようかという方にsuggestion。
全部の作品をじっくり見るぞと意気込まない方がよろしいです。
時間とお財布に余裕があれば、2~3日に分けて鑑賞されるのが無難です。
作品1点1点のインパクトが強く、かつ、発する情報量がただ事ではありません。そして、(何度も書いて恐縮です)出品点数が800点
あ、そうだ
原画や印刷所への色指定指示書(というのか?)もひっそりと展示されていますので、コレを見逃さないようにご注意ください
ちなみに、右の円グラフは「横尾忠則全ポスター」展の感想です。
参考にはならないと思いますが…
つづき:2010/08/08 真夏の関西旅行記(その4)[大阪編の3]