新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

映画「翔んで埼玉」はキワモノではあるけれど…

2019-03-02 08:33:43 | 映画

先月は、仕事をめぐる状況の変化が極端で、私は振り回されまくり
例えば、チケットを取ったものの、業務カレンダーをよくよく見たら 行けなさそう だった2月20日「MISIA星空のライヴX」NHKホール公演は、

行けなさそう行けるかもしれないこれなら行けるえ" 行けないかもしれないワンチャンス、行けるかも…行けそうになってきたヲイヲイ、いい加減に諦めろよ…それじゃダメじゃん間に合わない⇒チケット譲渡これだったら行けたじゃないか

と、行ける⇔行けない を行ったり来たりで、ホント、疲れた…
そんなわけで、きのうは気分転換(憂さ晴らし) を目的に、午後半休をとり、そして「気分転換ならコレだろと、観てきました、映画「翔んで埼玉」
「3月1日ということでチケ代安かったですし

翔んで埼玉

で、浦和PARCO駐車場にクルマを駐め、映画館フロアに上がると、ありゃまぁ 何、この混雑
平日の夕方(17時前)だというのに、観客でごった返していて、フード売り場の前には長蛇の列ができているではありませんか
しかも、「翔んで埼玉」は、私が観ようとしている回とその次の回が満席 とな

観覧料金の安い日だったということもあるだろうけれど、

驚きの結果と言っていいだろう。先週末の映画動員ランキングで初登場1位を飾ったのは、土日2日間で動員19万1000人、興収2億5900万円をあげた『翔んで埼玉』。初日から3日間の累計では動員24万8000人、興収3億3100万円という成績。2位に初登場したのはジェームズ・キャメロン肝いりの企画(監督はロバート・ロドリゲス)の『アリータ:バトル・エンジェル』。3日間の累計興収ではわずかに『翔んで埼玉』を上回ったものの、今週のウィークデイに入ってから、その勢いの差は広がるばかり。『翔んで埼玉』、まさか大ヒット・スタートである
(Real Sound)

という「翔んで埼玉」の人気ぶりを垣間見た感じでした。
私がネットチケットを予約したときには、よりどりみどりで座席を選べたんだけどなぁ

   

映写室に入ると、当然ながら約260席の座席ギッシリと埋まっていて(場所柄、ほぼ100%埼玉県在住者or在勤者でしょう)、こんな環境で映画を観るなんて経験があったかなぁ と思ったりして…

映画が始まってまもなく、枯れ野(畑? たんぼ?)の中を貫く道を走る軽バンのカーラジオに表示されている「79.5」の周波数にまず観客が反応するところからして、この鑑賞環境の良さに満足 (私、毎朝通勤時には、基本的にNAKC5「Good Luck! Morning!」を聴いてます)

そして、次々と繰り出される埼玉ネタ、特に、メジャー&マイナー(?)を取り混ぜた地名に観客がいちいち反応するのが楽しいったらありゃしない
その中でも傑出していたのが、「オリジナルさいたま市」を構成する大宮・浦和・与野各支部代表のやりとりで、多くの人が知る旧3市の関係が、簡潔かつクリアに表現されておりました (私は、元与野市民⇒元浦和市民⇒現さいたま市民)

この作品でディスられているのは埼玉だけではなく、千葉も、茨城も、群馬も(プテラノドンが空を舞う“秘境”扱い)だし、東京の一部地区も軽~くディスられているのですが、この辺の面白さは関東土地鑑がないと判りづらいかもしれませんな

ネタバレしないよう、この辺にとどめておきたいと思うわけですが、これほど荒唐無稽な、バカバカしい話を、お金人手手間ひまをかけて、超まじめに作っているっているのが伝わってきて、これが好評要因の一つではなかろうかと思うわけで…。

そして、そして、エンドロール最高

はなわの歌うEDテーマ曲「埼玉県のうた」イイ ほんっとにイイ

この曲は、これまでも何度かNACK5で聴いていたけれど、エンドロール画像&歌詞付き(上に載せたMVとは違います)で聴くと、ほんっとにイイ (再掲)
終わったときに拍手したくなりましたもの
Twitterを見ると、都内の映画館でも上映後に拍手が沸き起こったりしているらしい…
「翔んで埼玉」旋風はまだまだ続きそうです

最後に、私も突然「西葛西」と言われると、あれ? 東京だっけ? 千葉だっけ? と思います

ということで、今夜「ファースト・マン」レイトショーで観てきます。
コメント (2)
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「ラ・ラ・ランド」はイイ❤

2017-02-26 21:21:42 | 映画

きょう、「ラ・ラ・ランド」を観てきました。

考えてみれば、私が映画館ミュージカルを観たのは初めてだったかも…
ミュージカル自体は、ブロードウェイボストンの舞台を観たことがありまして、セリフや歌詞はまったく聞き取れなかったもののアメリカ人ミュージカルがホント大好きなんだと体感して、最後は周りの観客と一緒にスタンディング・オベーションしたものでした。

そんなベースから「ラ・ラ・ランド」を観ると、こりゃ、アメリカ人にウケるよなぁ~と思います。

確か、トリュフォー大好きな映画監督)が「ミュージカルはSFの極みだ的なことを言ったとか言わないとか何かで読んだ気がしますが、作品の冒頭から、「これは夢の世界なんだ」ということを思い知らされて、理屈で観るのをやめると、そこから先は、ただチャゼル監督の手のひらの上でもてあそばされた感じでした。

う~む、面白かった
「泣き笑い」のラストシーンまで、見入りました魅入りました

とりわけ、ヒロイン(MiaMisiaではない)のエマ・ストーが、ホント、良かった。作品の中に何度も写真が登場するイングリッド・バーグマンなんかと比べると、「美人」とは言いがたい容姿ながら、何とも魅力的…。
バイトしながら、女優を目指す女性という現実感もさることながら、ダンスシーンでのステップなんぞは、ほれぼれいたしましたです。

   

私は、「ラ・ラ・ランド」をほとんど予備知識なしでを観たのですが、監督:デミアン・チャゼル、音楽監督:ジャスティン・ハーウィッツって、あの怖ぁ~い「セッション」(感想はこちら)と同じコンビなんですな

そんなこともつゆしらず「ラ・ラ・ランド」を観ているときは、「やはり、時代はJazzか?」なんて思っていたのですが…

浦和駅前のシネコンで「ラ・ラ・ランド」を観た後、大宮へ買い物にハシゴしたのですが、いてもたってもいられず、大宮のCDショップ「ラ・ラ・ランド」サントラCDを購入してしまいました。

ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック
ジャスティン・ポール,
ジャスティン・ハーウィッツ
ユニバーサル ミュージック

アカデミー賞の発表は、日本時間で明日AM

13部門14ノミネート(だったかな…)と大好評「ラ・ラ・ランド」、恐らく、ドバドバと賞を獲得するんじゃなかろうかと思います。

なんたって、アメリカ人ミュージカル大好きなんですから

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「S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」 を観てきた

2015-08-31 21:18:36 | 映画

映画「S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」 を観てきたことを書くのを忘れてた

まだ公開したてたので、ネタバレを極力排して感想を書きましょうか。

ひと言で言えば、「名画」と呼ばれる作品ではないけれど(んん と思うありきたりのストーリー展開と、理解できないところがいくつか・・・)、結構楽しめました

とりわけ、格闘シーンキレが良くて、日本のアクションも捨てたものではないと思いました。

それと、ガッキーイイねぇ~
「若い女性」らしい格好をしたシーンはひとつだけでしたけれど、出動服+ゴーグルを構える彼女格好良さときたら、この映画一番の見どころかもしれないと思ったりして・・・

そしてそして、最後に流れるMISIAの「流れ星」

良かったぁ~~

「このシリーズにこの曲?」といぶかしく思っていた私でしたが、実際にエンドロールを眺めながら「流れ星」を聴いていると、ヒートアップしていたが穏やかにcalm downしていくのが、ホント、心地良い

なのに、エンドロールが始まるやいなや、さっさと席を離れていく人がいるんだから・・・

もっとも、映画を最後まで観ない人っつうのは昔からいましたからねぇ~
そんな人には、人生を損してるよ と申し上げたい

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きょうはちょっと過ごしやすかったような…

2015-08-08 23:00:34 | 映画

ここ1週間の酷暑に比べれば、かなりマシだったような気がして、きょうも外出してきました

きょうの行程は以下のとおりです。

自宅⇒徒歩最寄り駅武蔵野線南浦和駅京浜東北線浦和駅⇒徒歩シネコン⇒徒歩浦和駅湘南新宿ライン恵比寿駅山手線目黒駅⇒徒歩目黒区美術館⇒徒歩目黒駅山手線池袋駅買い物池袋駅埼京線最寄り駅⇒徒歩⇒自宅

この行程から察せられるかもしれませんが、今日のTASKは、以下の三つでした。

1) 映画「日本のいちばん長い日」を鑑賞
2) 「村野藤吾の建築」を鑑賞
3) 帰省土産を購入

そして、無事にTASK完遂

   

まずは、きょう公開初日となった原田眞人監督・脚本の 映画「日本のいちばん長い日」のことから書き始めます。

「日本のいちばん長い日」といえば岡本喜八監督による1967に公開された作品が思い出される私でございまして(TVでしか観たことがない…)、三船敏郎演じる阿南陸軍大臣が、閉じられた雨戸の隙間から朝日が差し込む縁側で自刃するシーン(うなり声が蘇るよう…)がきつく脳裏に刻み込まれています、

そんなわけで、私は、この1967年版と、2015年版とで、どこが違う?、どれだけ違う? という視点から見始めたのですが、、、、かなぁ~り違っていました

もちろん、ベースとなるストーリーは、現実に起こったできとですし、さらにいえば、版が変わったとはいえ、ベースとなったのは同じ半藤一利さんの作品ですから、1967年版2015年版とで基本が違うはずはないのですが、「ただのリメイクじゃないよ」という原田監督のつぶやきが聞こえるよう

そもそも、玉音盤争奪戦をメインに、1945年8月14~15日24時間に焦点を絞った1967年版に対して、2015年版は、昭和天皇がぐっと前に出て昭和天皇・鈴木首相・阿南陸相3人の「大人のつながり」を描き込んだ点で大いに異なります

そして、余計な「みどころ」創作することなく、事実(証言)に沿って近代日本にとって最大級「重要な日々」真っ正面から描いたこの作品、これはこれは良い作品だぁ

ただ、を言えば、なんの予備知識先入観もなしでこの作品を観た人が、話の流れを理解をできるか疑問です。
もちろん、映画ですから、「絵で語る」のが基本で、お節介なナレーションやテロップで説明を加えるのは無粋の極みだと私は思っています(この点で原田監督潔い
さはさりながら、登場人物のほとんどが早口だし、出てくる単語の多くが今や使われなくなってしまったことば(いわゆる“死語”
ちょっとこの辺りを危惧しております。

一方、阿南陸相役の役所広司鈴木首相役の山努迫水書記官役の堤真一を始め、出演者の演技は素晴らしいものだったと思います。
とりわけ昭和天皇を演じたモックン、相当にプレッシャーがあったとは思いますが、見事でした。良い役者になってきなぁと思います。

まだ書きたいネタが残っていますが、「村野藤吾の建築」の話ともども、また後日

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映画「セッション」は「血と汗と涙」のスポ根もの?

2015-05-24 11:55:28 | 映画

私、中学~高校の頃、ブラバンをやっていました。ブラバンはいわゆる「文化系」の部活に括られますが、実質的には「運動部系」と一緒で、毎日毎日、顧問の先生の罵詈雑言なだめすかし「よいしょ物理的攻撃などが入り交じった「指導」の下、ひたすら練習の連続です。

さて、昨夜、映画「セッション」を観てきました。

「セッション」のフライヤーこの作品は、公式サイトから転記しますと、

名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャーJ・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。

というもの。

監督・脚本「弱冠28歳」デイミアン・チャゼルで、チャゼル監督自身、高校時代にジャズ・バンドでドラムをやっていたものの「鬼コーチスパルタ指導に耐えかねて挫折したという経験の持主だとか。

チャゼル監督が、そんな経験(トラウマ)膨らませたのか、薄めたのか、そのままなのかは判りませんが、フレッチャー先生の指導たるや凄い っつうか 酷い っつうか怖い

フレッチャー先生の指導は、「のだめカンタービレ」のだめも幼少期のスパルタレッスントラウマになってましたっけ…)の千秋「口撃ハリセン「物理的攻撃強烈に強化したものに、陰湿さを加えた感じ。

学生を育てることと、自分が目指す音楽を作り上げること、自分の憂さをはらすこと、それらが渾然一体となったものがフレッチャー先生の指導なのかもしれません。

それにしても、まだまだ甘ちゃんの若造でしかないアンドリューに対して、あそこまでするか? (熱血指導のことではありません) ありゃ大人げなさすぎだと思いますゾ
はっきり言って、人間性にかなりの問題あり です。

この作品の原題「WHIPLASH」「Whiplash」は、作品中に何度も演奏される曲のタイトルなのですが、一般名詞としては、

という意味です。なるほど…

「セッション」という邦題では甘すぎると思う一方、「ウィップラッシュ」じゃ意味が判らないし、曲名に掛けた意味合いが消えてしまうんだよなぁでも、まさか「愛と青春のスティック」なんてのでは、鳥肌が立ってしまう…邦題をつけるのは難しい作業なんですなぁ…

低予算(3億円)で、かつ短期間に制作されたこの作品、CG大がかりなセットも使われていませんが、いや、だからこそ、観客が画面の中に感情移入していける気がします。

ちなみにこの作品は今年のアカデミー賞5部門にノミネートされ、助演男優賞(J・K・シモンズ)録音賞編集賞を受賞しています。いやぁ~、凄かった、おっかなかった、J・K・シモンズの演技

難を言えば、テクニックの面からのみ音楽の高みを目指す話に終始してて、音楽って(特にジャズって)そんなものじゃないんじゃないの? と思いました。でも、一流の音楽芸術全般がそうだと思う)は、ベースにテクニックがあってこそのものなわけで、仕方のないことなのかもしれません。とくにアンドリューの場合は音大の1年生ですし…

さはさりながら、久しぶりに手作り感にあふれた良い映画を観ました

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梅と燕子花は明日にして、きょうは映画

2015-05-09 19:20:19 | 映画

3月24日の記事「この春は楽しみな美術展が密集」と、4月10日の記事「『楽しみな美術展』をひとつ書きもらしていました」で挙げた観に行きたい6つの美術展、着々とこなしておりまして、残るは「燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」@根津美術館のみになりました。

根津美術館にはきょう出かけようかと考えたのですが、天気が良くない

せっかく根津美術館に行くのなら庭園も楽しみたいし(それこそカキツバタ「枯れ花が目立ってきましたが、十分楽しめます」だとか)、庭園を楽しむのなら好天の下が一番ですから、予定を変更して映画を観てきました。

ずいぶん昔のことですが、ビートたけし「落選確実選挙演説」にいたく刺激されました。

落選確実選挙演説 (新潮文庫)
ビートたけし
新潮社

とりわけ記憶に深く残っているのは、老人ネタ
少子・高齢化に備えて、老人よりも子どもを大事にするべきで、老人優先の電車シルバーシートなんて言語道断で、子どもを優先するべき、とか、老人に徴兵制をしいて、PKOなんぞに派遣する、ある年齢に達すると徴兵されることが判っていれば、老人はのんべんだらりと呆けているわけにもいかず体を鍛えて徴兵に備えるだろう…とかね。

いかにもたけしらしい毒舌に満ちた老人ネタの連発に、そりゃアリかも… なんて考えたものでした。

で、もうお気づきかもしれませんが、きょう観てきた映画は、

龍三と七人の子分たち

北野武監督の最新作「龍三と七人の子分たち」でした。

ストーリーは、 元ヤクザジジイたちが再結集して「組」を創設し、「義理も人情もありゃしねぇ(龍三親分)」半グレ詐欺集団対決するという、いたってシンプルなもの。

観客は結構入っていて(年齢層はかなり高め)、「大ヒット上映中の惹句がウソではなさそうだと思ったのですが、、、、、あんまり面白くない…

ところどころにちりばめられたネタは、いかにもたけしらしいウケるのもあった一方で(はばかりのモキチ=中尾彬○○散々な目に遭うシーンや大井競馬場のエピソードはexcellent)、かつて聞いたことのあるようなのも多かったし、それよりも何よりも、8人のジジイたちのそれぞれがもっと個性を爆発させて大暴れして欲しかったよなぁ… 例えば、「七人の侍」とか、大好きDonald E. Westlakeドートマンダー・シリーズみたいに…

期待に反してガッカリな作品で、北野武ファンにも、ビートたけしファンにも、イマイチだったのではなかろうかと思います。

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サバの骨の曲線美

2013-08-31 14:50:21 | 映画

映画「風立ちぬ」を観てきました。


130831_1_01


レビューを見ると、「賛否両論」が続出で、しかも極端 ちょっと引いてしまうのですが、私としては「好きな映画です。もう一度観に行こうかと思うくらい…


ただ、「万人にお薦め」とはならないのがやっかいなところで(というか、幼い子どもをこの映画を見せに連れて行くのは止めた方が良いっつうか、お金のムダっつうか、周りの観客の邪魔になるだけかも…)、ファンタジー性を期待していた人や、たらぁ~と感覚的に「眺めていた」だけの人には、「何これなんだろうなと思います。
NHK大河ドラマのような「主人公の劇的な人生を通して時代を描く」とは対極にあるような、主人公とその周辺を淡々と描いた作品ですから。


象徴的なのは、関東大震災(明日が記念日)に遭遇するシーンで、なんの事前情報(日付や場所など)もなく、突然地震が発生します。これが関東大震だと判らなかった観客が結構いたかも…
このとき、大勢の人たちが阿鼻叫喚の地獄図絵の中で逃げまどったと聞きますが、主人公は、大学に飛んでくる火の粉から図書を守ろうとドタバタする程度で、大震災の「周辺」に留まっています。
戦時中の主人公も、戦争そのものと直接関わるシーンは皆無で、ひたすら戦闘機の設計に没頭しているといった具合。菜穂子さんとの美しくも悲しい話はありましたけれど…。


この作品は、宮崎監督が、敬愛する堀越二郎さんを描いた「私的な作品」なのだろうなと思います。「単なる自己満足作品に金を払わされたと憤慨している方々もいるようですが、たまにはイイじゃありませんか。そんなわがままが許されるだけの実績を積み重ねられた方なんですから、宮崎監督は…。


それにしても、「戦争を肯定してる」とか、「右傾化の現れこちらをご参照方)とか、「煙草を吸うシーンが多すぎる」とか、まぁなんというか、バカバカしい批判が多いなぁ…


   


この作品のなかのこのシーン「いかにもジブリ」スチルですが、


130831_1_02 私はクロード・モネの「日傘の女」を連想していました。


130831_1_03
とかとかパラソルとか、帽子とか、雰囲気が似ています。
と思ったら、私と同じような印象を持った方がいらしたようで…(こちらとかこちら)。


   


ところでこの記事のタイトル「サバの骨の曲線美」ですが、サバの味噌煮を食べる主人公が、サバの骨の曲線に「美を感じるエピソードが好きです。
考えてみれば、サカナの骨、とくにあばら骨は、水の抵抗を小さくする体型を形作るものですから、飛行機の機体と相通ずるものがありそうです。
「高機能=美」とは限りませんが、主人公のいう「美しい飛行機をつくりたい」は、単にが美しい飛行機をつくりたいのではないことが、示されているエピソードだと思います。


これから映画「風立ちぬ」を観ようかとお考えの方へ、もう一度、アドバイス。


「ジブリ作品だから」という先入観を捨てましょう。そして、子ども向けの作品ではありません。小学生(一部の中学生・高校生、そして一部の大人)には理解不能だと思います。


ちなみに私、文系なんですけど、学生の頃、こちらの本を読んで、メーカーに就職したいと思いました


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映画「終戦のエンペラー」を観てきました

2013-08-18 18:23:29 | 映画

きょうは朝から映画を観てきました。


130818_1_01


「終戦のエンペラー」(原題名は「Emperor」、ただそれだけ)です。[以下、随所にネタバレがありますのでご注意


第二次世界大戦(太平洋戦争)で敗れた日本に連合国軍司令長官として君臨するマッカーサー元帥は、知日家の部下・フェラーズ准将に、日本が日米開戦を決定した経緯を調べること、もっと直接的に書けば、昭和天皇戦争犯罪人として訴追する、あるいは訴追できない証拠を集めるよう指示。フェラーズは軍・政・宮のキーマンたちに面会し、話を聞くが、降伏を決定づけたのは昭和天皇の発言だったことは判ったものの、開戦を決定した過程や、その決定に昭和天皇がどのように関わったのかは、さっぱり判らない。結局、フェラーズ准将は「証拠はないが、昭和天皇を戦争犯罪人として訴追することは適切ではない」というレポートをマッカーサー元帥に提出した。マッカーサー元帥は、「証拠のない推論だけを頼りに、将来に大きな影響を及ぼす決断を下すことはできない。一度、天皇に会ってみようということで、歴史的な会見が実現した…、というのが大まかなストーリーです。


130818_1_02 かなり地味な展開ながら、私としてはまったく退屈することなく興味深く鑑賞することができました。


フェラーズ准将とそりが合わないリクター少将曰く、「君(フェラーズ准将)は元帥に利用されている。天皇を軍事裁判にかけないことはアメリカ国民を怒らせることになるだろう。元帥はその責任を君に押しつけ、自分は大統領選挙に出るつもりだ」。実際どうだったのか判りませんが(マッカーサーが大統領を目指していたのは確からしい)、そんな得体の知れない当時の日本の最高権力者マッカーサー元帥得体の知れない人物として演じていたのが、「宇宙人ジョーンズ」ことトミー・リー・ジョーンズ


彼も良かったのですけれど、出色は日本側のキーマンを演じた役者たちの演技と風貌でした。


東条英機火野正平(一言も発しないものの、「大丈夫か?」と声をかけたくなるほどのやつれ具合が…)、近衛文麿中村雅俊公爵として講釈してました)、木戸幸一伊武雅刀(日本側の「得体の知れない人」の筆頭かも…)、昭和天皇片岡孝太郎「人ならぬ人」のオーラが漂っていた)、そして、関屋貞三郎(この作品のプロデューサー・奈良橋陽子さんの実の祖父)の夏八木勲(この作品が遺作のひとつになってしまいました…)。

鹿島少将(架空の人物)西田敏行「いつもの西田敏行」で、私として食傷気味


この鹿島少将(公式サイトでは「鹿島大将」になっているけれど、階級章のは一つ=少将)の服装がかなり違和感たっぷりでした。自宅「第一種軍装」だし、フェラーズと夕食を摂るときには紋付き姿だし…。


違和感と言えば、「巣鴨プリズン」の収監者が薄汚れて帽垂れ付き略帽を被っているのは、外地の「捕虜収容所」みたいでなんか変だし、それよりもなによりも、「玉音放送」を聴く人たちが帽子をかぶっているのは絶対におかしいと思う


それと、終戦前夜、皇居が反乱軍に占拠された事件(宮城事件)って、銃撃戦があったんでしたっけ?


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気になる細部もありましたが、良くできた映画だと思います。
中でも、フェラーズ准将の運転手 兼 通訳の高橋は、日本人のメンタルをよく現したキャラクターだったと思います。
東京大空襲で妻を失い、その哀しみはまだ癒されていないと言いながら、そんなことはおくびにも出さずにアメリカ軍人のフェラーズ准将に裏表無く仕える…。
この辺り、日本人なら理解できますが、この映画を観た外国人に理解できるのでしょうか?
少なくとも近隣二カ国の人たちにはまったく理解不能だろうな…


ところで、フェラーズ准将Wikipedia日本版には載っていません)のことは、こちらのサイトに詳しく書かれています。


1945年8月30日、フェラーズは、戦勝国の総司令官マッカーサーの副官として日本に上陸する。まっさきに始めたのは、人捜しだった。岡本嗣郎『陛下をお救いなさいませ 河井道とボナー・フェラーズ』(ホーム社、2002年)に詳しく描かれたように、一色ゆりと河合道の消息を求め、9月23日には二人をアメリカ大使館敷地内の自宅に招待し、旧交をあたためる。戦災を免れた小泉家にも訪れて、食糧から就職の世話まで、さまざまな援助をした。


とあります。
公式HP「プロダクションノート」


奈良橋(プロデューサー)はフェラーズについて調査を始め、彼が書き残した記録の数々を読み進めるうちに、彼がしばしば、日本の“友人”を訪ねたと書き記していることに気付く。彼女は,そこにはきっと秘められたラブストーリーがあると感じた。証拠はないが、想像力を膨らませて物語を作り上げようと考えた。そうして生まれたのが、架空の登場人物“アヤ”である。彼女は美しい学校教師であり、フェラーズに日本の文化を伝えた人物である。そのことがフェラーズの日本に対する思いを大きく変え、その思いは戦争によって2人が引き裂かれようとも生涯変わることはなかった。


とある「日本の“友人”」というのが、一色ユリさんと河合道さんだったんですな
そして、一色ユリさんが「アヤ」のモデルってことか…


ということで、お薦め度は★★★ってところでした(満点:★★★★★)。
いや、★★★★でもいいかな…

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ホイットニーが… ToT

2012-02-12 13:26:51 | 映画

毎週欠かさない(っつうか欠かせない)ガソリンスタンド通い、今回は洗車もお願いしたので、休憩コーナーで携帯をいじくっていました。
そして、ニュースサイトで驚くニュースを見ました。


米歌手のホイットニー・ヒューストンさん死去 48歳


えぇっ です。


記事によれば、


米歌手ホイットニー・ヒューストンさんが死亡したことがわかった。広報担当者の話として米メディアが11日報じた。48歳だった。
詳しい死因や場所はわかっていないが、米メディアによると、死亡する前に米ロサンゼルスにいたとの報道もある。


と、まだ詳しい情報はありませんが、なんとなく心臓麻痺系のような気がします。
世紀越えを挟んで、華々しいデビューと輝かしい賞賛につつまれた栄光の時から、薬やDVなど不幸な時へと反転してしまったホイットニーの人生、しみじみしてしまいます。


私が持っているホイットニーのアルバムは、デビューアルバムの「Whitney Houston」(アナログ盤です)と、


そよ風の贈りもの そよ風の贈りもの
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2006-11-22

映画「ボディガードのサントラ盤(もちろん、こちらはCD)の2枚だけ。


「ボディガード」オリジナル・サウンドトラック 「ボディガード」オリジナル・サウンドトラック
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2010-06-02

でも、お気に入りのシンガーの一人でした。稀代の才能を持ったシンガーだと思っていました。


デビューアルバムの「Whitney Houston」は、「そよ風の贈りもの」というこそばゆくって、「オリビア・ニュートン=ジョンか」と突っ込みたくなるような邦題(オリビアは「そよ風の誘惑)と、日焼け止め宣伝ポスターのようなジャケットから受ける第一印象に反して、心にガツンとくるボーカルが衝撃的でしたっけ…


また、先日、通勤のクルマの中で、久しぶりにホイットニーの代表曲の一つ「I Will Always Love You」の本歌ドリー・パートンが歌っているオリジナル・バージョン)を聴いて、改めてホイットニーのバージョンのカバーとしての凄さ・素晴らしさに感じ入りました。コピーカバーは違います。ホイットニーの「I Will Always Love You」のように原曲を換骨奪胎して自分の曲にしてしまうのが本来の「カバー」デス


それにしても、48歳で亡くなってしまうなんて、早い…、早すぎる…


チャーリー・パーカーを描いたクリント・イーストウッド監督の「バード、冒頭にこんなエピグラフが掲げられています。


"There are no second acts in American Lives."
 F. Scott Fitzgerald

アメリカ人の人生に第二幕はない。 F・スコット・フィッツジェラルド


ホイットニーの人生も、栄光の20世紀沈鬱の21世紀とは、同じ幕だったのでしょうか?
久しぶりに「ボディガードを観て考えてみましょうか。

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「幕末太陽傳」復活! だそうです!

2011-12-23 22:32:44 | 映画

今日の昼休み(きょうの私は出勤日)、asahi.comを眺めていると、思いがけない見出しが目に飛び込んできました。
それは、


日活の象徴「幕末太陽傳」復活 デジタル版で公開


というもの


一部抜粋しますと、


来年、映画会社・日活が創立100年を迎える。一連の記念企画を準備中だが、第1弾として「幕末太陽傳」のデジタル修復版を公開する。1957年の川島雄三監督作品。「こけらおとし」に選ぶにあたり、日活には「必然」の理由があった。

として、

日活にとっての「幕末太陽傳」。佐藤直樹社長は「おそらく全社員が、この会社を象徴する1本と考えている」という。その背景は社の歴史にある。日活は戦後、配給会社として存続していたが、53年に製作再開を宣言。監督や技術者を他社からの移籍組に頼り、若手俳優を発掘して態勢を整え、54年に撮影所を建設した。このため「幕末~」の冒頭、「日活製作再開三周年記念」と画面に出る。
「自前の撮影所で、若い力で映画を撮っていくと意思表示をしてから3年目の作品。この時、川島監督は39歳、フランキー堺さんは28歳という若さ。当時の撮影所の力を感じます」。かかげた理想が、結実した作品なのだ。


ということ。


このブログでは「幕末太陽傳のことを2回取り上げました(こちらこちら)。
とにかく「幕末太陽傳は私の大のお気に入りの1本です
DVDを買っただけでは飽き足らなくて、NHK BSで放送されたものをブルーレイディスクに落としてコレクションにしています。


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価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2002-11-22


そんなお気に入りの作品が、


この作品を日活は昨夏から、東京国立近代美術館フィルムセンターと共同で修復してきた。オリジナルのネガフィルムが現存しないため、35ミリの上映用プリントと複製の映画フィルムからデジタル復元、音声は、黒沢明監督「羅生門」の復元も手がけた米国の音声修復プロダクションに頼んだ。


そして、


◆23日から各地で公開


だそうです


この記事、なんとも中途半端で、むず痒いものに留まっていて、わたしとしては不満(もっと言えば、できの悪い記事)なのですが、大好きな作品「幕末太陽傳」が、デジタル処理されて公開されるという事実は、相当にうれしい話題です。


私、古い日本映画の最大の弱点は「」だと思っています。多くの出演者が早口で、そして、妙なエコーがかかっていて、セリフが聞きにくいといったらありません

それが、「修復」を加えることによって、どう変わるのか、かなり期待してしまいます



あ、そうだ


志ん朝の「居残り佐平次」、いいですよぉ~


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