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新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

7月の帰省のこと #2 [増田まんが美術館編]

2023-07-24 17:27:39 | 美術館・博物館・アート/本・雑誌

「7月の帰省のこと #1 [水害編]」のつづきです。

美術館・博物館は、休館日月曜日に設定しているところが多い印象がありますが(六本木界隈ではなぜか火曜日が休館日のところが多い)秋田県内の博物館・美術館不定休のところが多いのですよ。
そこで、帰省した翌日、7月10日(月)に、さっそく県南の美術館ハシゴするべくクルマを走らせました。

目的地は、横手市内2か所、横手市立増田まんが美術館秋田県立近代美術館です。
秋田県立近代美術館には何度も出かけましたが、増田まんが美術館初めて

まずは、秋田南IC秋田道横手JCT湯沢横手道路十文字ICR13R342 のルートで増田まんが美術館へ。

別邸から1時間ちょっと増田まんが美術館に到着しました。

あらま、立派な美術館
広い駐車場には、平日だというのに、けっこうな台数の乗用車が駐まっています。
開催中の企画展「EVANGELION CROSSING EXPO -エヴァンゲリオン大博覧会-」お目当ての人が多いのでしょうなぁ。なお、私はエヴァには興味がなかったりします…

この増田まんが美術館は、旧増田町が、

増田町出身の漫画家である矢口高雄の偉業を記念し、1995年(平成7年) 10月に日本で初めて「まんが」をテーマにした美術館として開館した。(Wikipedia)

というもので、2005年10月の市町村合併によって「横手市立増田まんが美術館」に名称変更しています。
設立当初は、

公民館、図書館、郷土資料館を併設する複合施設「増田ふれあいプラザ」内に開館

したものの、リニューアル工事を経た2019年5月のグランドオープン後は旧「増田ふれあいプラザ」がまるごと「増田まんが美術館」となって現在に至るという次第。
まさしく「庇を借りて母屋を取った」というわけですな

この「増田まんが美術館」の特徴は、日本・中国・香港・韓国・マレーシア・台湾の100名以上の作家の原画44万枚以上を所蔵していること。
74名分の原画各数点が常設展示されていて、その他の作品は24時間温湿度管理された部屋で保管されているほか、デジタル化や紙の酸化を防ぐ作業が行われているそうな。

たくさんの作家さんの原画を目の当たりにしてまず思ったのは、1点・1点に注ぎ込まれている技術情熱パワー注ぎ込まれた時間とんでもないということ。
マンガを読むとき、勢いのままにページを繰ってしまうものですが、それじゃあまりにも作家さんたちや作品そのものに対して失礼ではないかと思ってしまうほどで、1ページ毎に、ファインアートの鑑賞と同様にじっくりと観て、噛みしめなければもったいない気がしてきました。

まず、原画は大きい(B4版)し、修正の跡なんかもクッキリだし、そしてなによりも高精細
雑誌や単行本で見るのと比べれば、VHSで録画した映像と4K画像くらい違う感じです

ところで、増田まんが美術館のHPに、初代名誉館長・矢口高雄さんの「リニューアルオープンによせて」という一文が載っていて、こう書き始められています。

世界に類例を見ない大発展を遂げて来た日本の「マンガ文化」ですが、実は今日大きな悩みを抱えています。それは、マンガ作品の「原画」の問題です。
「原画」はもともと雑誌や単行本等の印刷に供するための「版下」として描れたものですから、印刷が終われば不用となるのが運命です。とは言えマンガ家たちはそれぞれに心血を注いで描いて来た、いわばわが子のようなものですから、それぞれが大切に保管しているのが実状です。しかし、歳月が進むなかで、次第に変色し、ボロボロに劣化して行きます。加えて作者が亡くなり、それを遺族が引き継いだとしても、その管理には限界があります。

浮世絵版画版木は、彫り師が、原画をもとに、ほぼ一色毎にサクラの板を彫って作るのですが、必要枚数を刷ったあとは、版木に鉋を掛けて板を再利用したのだとか。朝ドラ「らんまん」で、石版印刷で使い終わった石版を砂で磨いているシーンが出てきましたが、それと同じですな。
マンガの場合は、原画の紙を再利用することはないにしても、矢口さんが書かれているように、保存していても紙は変色しますし、切り貼りで使ったセロハンテープなんぞも劣化して紙に色が移ったり剥落したりといったことがあるようです。

そんな原画収蔵し、アーカイブ化する作業も行っているのが、この増田まんが美術館です。

その収蔵室とアーカイブルームは、「マンガの蔵展示室」からガラス越しに観ることができます(写真撮影はNG)

ここで「蔵」ということばを使っているのには理由がありまして、増田町「蔵の町」だからなのです。
増田町には、母屋につながる屋根付きのエリアに蔵(内蔵:うちぐら)を持つ家がたくさん残っていて、私は7年前に何軒か見学して、かなりの衝撃を受けました。(記事はこちら)

もしも増田まんが美術館にお出かけの節は、是非、増田の街並みと、内蔵もご見物くださいませ
内蔵はふつうの土蔵とはまるで違いますから

ちょいと話がズレました

増田まんが美術館は、原画を観るだけでも楽しいのですが、「いかにもマンガ美術館という展示があって、これまた楽しい
その一つが、この「名台詞ロード」

名セリフの数々が吹き出しと共に並んでいまして、私が一番気に入ったのは「こち亀」のこちら

これはまさしく私もずっと思ってきたことで、本人の優れた能力や懸命の努力を以てしても、ときには「運」に逆らえないのは厳然たる事実です。

ここで、ふと1Fを見下ろすと、、、、

もう、休憩用のクッションマンガです
このクッション、1Fにいると気づきにくそうです。
また、「コロナ対策」のバナーまでもが美術館のオリジナル

やってくれますなぁ

やってくれると言えば、2Fにある「マンガライブラリー」では、単行本や雑誌など約2万5千冊読み放題

これほどまでの美術館だというのに、増田まんが美術館は、常設展は無料
近所の子どもたちの中には、学校が休みの日とか放課後は、マンガライブラリーに入り浸っている子も少なくないのではなかろうか

こうして、増田まんが美術館常設展を存分に楽しみました
もし募金箱があったら、1,000円くらい寄付してもイイかなと思えるほどで、ちょっとでもマンガに興味を持つ人には強くお奨めしたい気分。
残念だったのは、ミュージアムショップが、エヴァ展専用になっていて(エヴァ展の入場券/半券がないと立ち入れない)休業していたこと。
増田まんが美術館グッズ次回のお楽しみにしておきましょう。

美術館を出てクルマに向かおうとしたとき、正面の芝生タンポポに混じって咲いている紫色の花が目に止まりました。
何の花だろうと近寄ってみると、

おぉ、ネジバナではありませんか

ネジバナを観たのはこれが初めてだと思います。
「思います」というのは、単に興味がわかなかった気づかなかったのかもしれませんので…

この時点で時刻は12:45と、昼食時です。
昼食はどこで食べるか、ある程度決めておりまして、そのお話以降は「#3」で書きます。

つづき:2023/08/15 7月の帰省のこと #3 [稲庭うどん編] 

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角川武蔵野ミュージアム探訪記 [後編]

2021-10-21 11:26:06 | 美術館・博物館・アート/本・雑誌

「角川武蔵野ミュージアム探訪記 [前編]」のつづきです。

私のこのブログのタイトルバックに使っている写真は、16年前の欧州出張の際、観光として訪れた大英博物館の図書室で撮ったものです。

大ドームの下、ほぼ360°を本に囲まれる空間、この中にどれだけの人類の知識が眠っているだろうかと、めまいがするような、酔った気分になったことを思い出します

と、ここまでのスケールではないけれど、似た感覚を味わったのが角川武蔵野ミュージアム「本棚劇場」でした。

この空間は、

約8メートルの巨大本棚に囲まれた図書空間。KADOKAWAの出版物のほか角川源義山本健吉竹内理三外間守善の個人文庫など約30,000冊が配架されている。「本と遊び、本と交わる」がコンセプトのプロジェクトマッピングも上映され、本の内容が表紙の外に飛び出してくるような音と映像の体験が味わえる。

というものだそうです。

先日のような大きな地震があったらどんな惨状を呈するんだろ? とか余計な心配をしてしまいますが、すべての棚板には、ちゃんとストッパーが装備されておりました

ちなみにこの書架に並ぶ本は、「エディット・タウン-ブックストリート」とは違い、手に取って読むことはできません。「本棚劇場」のキャストであり、舞台装置でした。

この本棚をスクリーンにして「上演」されたプロジェクトマッピングがこれまた「見ものでした。

なかでも、本が燃え上がる場面では、「華氏451度」を思い出しました。

なお、ここでは写真撮影ですが、もちろん、ストロボの使用は不可です。

ところで、本棚劇場に並ぶ本にはKADOKAWAの出版物も含まれているのですが、森村誠一さんの著書の多さには驚きました
私、森村さんの本をあまり読んでいないんだよな…

そうそう、プロジェクションマッピングは結構頻繁に「上演」されていますので、よほどの急ぎではない限り、体験されることをお奨めします。

   

本棚劇場をあとにして、裏側の階段を使って5階にあがりました。
と、この階段「アティックステップ」がまた…
ただの階段室ではなく、

本棚劇場裏にある屋根裏的階段空間荒俣宏蔵書から約3,000冊を厳選して自ら配架。19世紀の書物から近作まで、日本ではここにしかない本も。荒俣宏の頭の中を覗き込んだような体験ができる

というもの。
ここに並んでいる本には、私も読んだ/持っている本が何冊もあってビックリ
例えば、

「トリノの聖骸布」とか、

「贋作者列伝」とか、

大好き「伊東忠太動物園」とか、

荒俣さんの小説デビュー作「帝都物語」(私が持っているのは文庫版)とか…。
そして極め付きなのが、この本たち

ここに並ぶ11冊のうち、「無冠の疾走者たち」「ビギン・ザ・ビギン」「宮武外骨」「時刻表2万キロ」4冊を持ってる or 読んだ

いやぁ~、荒俣さんの本の嗜好、合う合う
もっとも、「荒俣ワンダー秘宝館」は、あまりにもいかがわしくイマイチでしたが…

すっかり「アティックステップ」魅了されて5階に上がり、本棚劇場を見下ろし

「武蔵野回廊」と「武蔵野ギャラリー」ザッと観たあと、角川武蔵野ミュージアムから退館しました。

   

既に14:30を過ぎ、かなり腹が減っていたので、迷ったあげく、うどんを食べました。

「隠れたうどん王国」といわれる埼玉に住んで長いのに、いわゆる「武蔵野うどん」を食べたのは、これが初めて
ドぶっとい麺は、表面はゴツゴツ感さえあるほど強い歯ごたえで、噛むとモチモチ感もあって、濃い味付けのつけ汁合う

と、書いていたら、また武蔵野うどんを食べたくなってきて、ついつい近くの店を検索
すると自宅からほど近い場所になかなの評判の店を発見しましたので、この記事を書き終えたら、食べに行こう

さて、[前編]でところざわサクラタウンについて、

KADOKAWAの本社機能(一部)や工場、倉庫のほか、ホテル、飲食店、物販店、イベントスペース、なぜか神社、そして角川武蔵野ミュージアムなどで構成されています。

と書きましたが、その「神社」がこちらです。

鉄パイプ製鳥居がどことなく安っぽい「武蔵野坐令和神社」です。

この神社も、設計は角川武蔵野ミュージアムと同じ今をときめく隈研吾さん。

角川武蔵野ミュージアム内の展示で、「開き直って神社でない『神社』を造りました」という隈さんのコメントを見ましたが、神社としてはかなり非常識な造りです。
なによりも、屋根の上にV字型に立つ「千木」

「千木」には2種類あることは、伊勢神宮にお参りしたときのこちらとか、大嘗宮を見学したときのこちらで書きましたが、武蔵野坐令和神社千木は、正面に向かって左が「外削ぎ」で、右が「内削ぎ」になっています

隈さんのコメントを転記しますと、

神社デザインは、二例目ですが、今回はある種開き直って遠慮せずにやりました千木に雄・雌があると松岡(正剛)さんから聞いて、大屋根は雄雌を混ぜた両義性の流造(中略) 実際歩いてみると全く神社的ではないものになっている。そこに至るまでにお稲荷さんの連続した鳥居があって、それをくぐって側面から入る。鳥居の連続体も求心性とはかなり違い、アミニズム的な、地形をフォローするみたいな特別なものです。僕らがやろうとしているアプローチの特殊さを鳥居をくぐりながら是非体験してもらいたいですね。

だそうで、この外削ぎ&内削ぎ混在の千木は、LBGTQをはじめとする多様性を認めようとする現代にふさわしいものなのかもしれません

   

ところざわサクラタウンには書店「ダ・ヴィンチストア」がありました。
さすがに「ダ・ヴィンチストアは『発見と連想』をコンセプトにした、KADOKAWA直営の体験型書店です」と自称するだけに、刺激たっぷりの個性的な書店でした。
書店ですから、KADOKAWA以外の出版社の本も取り扱っていまして、それまで角川武蔵野ミュージアムで盛り上がっていた私は、購買意欲盛り上がりこちらの2冊を購入しました。

池澤夏樹「ワカタケル」は、まず、鴻池朋子さんの装画惹かれました

   

私がところざわサクラタウンに辿り着いたとき、やはり角川武蔵野ミュージアムとその壁面の鴻池朋子「武蔵野皮トンビ」が目に飛び込んできたのですが、次におわぁ となったのは、

大魔神でした

なぜ大魔神ここに????

ここで大魔神にまつわる話を書き出すとどんどん本題から離れて行きそうですので、それは、[番外編]で書くことにしまして これにて「角川武蔵野ミュージアム探訪記」本編完結といたします。
なんとも唐突な幕引きですが、うどんを食べに行きたいもので…

とりあえず結語めいたことを書きますと、角川武蔵野ミュージアムは、まったく合わない/受け入れられない/つまらないと思う人もいるでしょうけれど、ある種の人々にはかなりの刺激を与えてくれます。
この日は平日だったにもかかわらず、多くの人が訪れていたことからしても、「ある種の人々」少なくないと思いました。
少なくとも私は、また何度も行きたいと思ったのでありました。以上。

【追記】このブログをアップしたあと、ネットで見つけ出した近所のうどんに行ってきました。
まだ12時前だというのに、広い店内はほぼ満席あれまぁ
で、肝心のうどんは、まさしく武蔵野うどん的太さ色黒さ

うどんを1本づつ食べるなんてそうそうあるものじゃありませんが、周りを見渡すと、ほとんどの人が私と同様にうどんを1本づつ取って食べていました
コストパフォーマンスイイし、うどんにもかかわらず腹持ちイイ。今後贔屓にしようと思っております。 (2021/10/21 16:41) 

番外編:2011/10/22 大魔神のこと 

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角川武蔵野ミュージアム探訪記 [前編]

2021-10-20 17:53:12 | 美術館・博物館・アート/本・雑誌

北海道遠征記の本編を書き始める前に、先週月曜日に出かけてきた角川武蔵野ミュージアムのことを書いておきます。

武蔵野線・東所沢駅から徒歩10分ほどのところに、ところざわサクラタウンという去年11月にグランドオープンした真新しい複合施設があります。所沢市の下水処理施設跡地に、KADOKAWA角川文化振興財団が主体となって建設したもので、KADOKAWAの本社機能(一部)や工場、倉庫のほか、ホテル、飲食店、物販店、イベントスペース、なぜか神社、そして角川武蔵野ミュージアムなどで構成されています。

私の自宅からは、電車一本、30分ほどで行けてしまうような場所なのですが、訪れたのは今回が初めてでした。
お目当は角川武蔵野ミュージアム、それも、その壁面に設置されたこれを観るため

鴻池朋子さんの24m×10m巨大な作品「武蔵野皮トンビ」です。
角川武蔵野ミュージアムが進める「6人のアーティストがコロナ禍のなかで人々に求められるイメージをそれぞれの解釈で制作する『コロナ時代のアマビエ』プロジェクト」第2弾として今年1月から約1年間の予定で設置されたもの。

前記のとおり、家から簡単に行ける場所だけに、そのうちに行こうと考えているといつのまにやら10月になってしまいました。こりゃそろそろ行かねば ということで訪れた次第です。

角川武蔵野ミュージアムのエントランスに掲げられた鴻池さんのメッセージには、

美術館の中か外かというならば、もはや私はどこであっても、その展示場所に特に違いはないような心持ちになっています。けれどもひとつ思うことは、美術館の中はとても安全で守られている、それが一番の弱点と感じるようになってきました。理不尽なことを言っているようですが、その“妙な感触”というのは、遡れば東北の震災を経たあたりから、より自覚的になってきたように思います。感覚は言語に先行して情報を捉えます。人間にとって利点である「守られている」ということを、なぜ直感力は弱点とするのか、探ってみたいと思いました。 [中略]
設置の構造は台風時にも耐える仕様になっていますが、作品自体は床皮(とこがわ/牛革を漉いた際にでる裏皮)を縫い合わせ、水性塗料を塗っただけの素朴な製法で、いわゆる絵画を屋外に晒しているような状態です。ですから、雨を受け太陽に当たれば、どんどん経年劣化して朽ちていきます。そこには、これまでの美術館の中で成立していた永遠とか、普遍とかいう言葉は何一つ通用しません。当たり前すぎることですが、地上に存在するという事は、常に外部に晒され、未熟で、同じものではいられないからです。 [中略]
「動物の皮」というその躯体に、何か“敵意”のようなものさえ孕みながら、しなやかに岩肌にへばりつき、雨や風や太陽や鳥などと呑気にやりとしながら、人間の皮膚のようにタフに歳とっていきます。「皮トンビ」はこれから約1年間、ここに棲みつきます。

だそうです。

設置から10ヵ月過ぎてもピンピンしている「武蔵野皮トンビ」を間近からしげしげと眺めた後、洞窟を思わせるエントランスから館内に入りました。

そもそも、角川武蔵野ミュージアムって何? 博物館? 美術館?

角川武蔵野ミュージアムは「博物館・美術館・図書館・アニメミュージアムが融合した文化複合施設」を標榜しているようです。

それすらも判らないまま、数多い券種のなかから自宅からネットで「KCM スタンダードチケット (本棚劇場含む)」を購入していた私は、エレベーターで4階に上がりました。

   

そしてまずアートギャラリーに行くと、俵万智展が開催中でした。

この個展(?)は、俵さんが今年、「短歌界の最高賞迢空賞を受賞したことを記念」たものだそうで、厳選したという作品(全部で約300首とな)が、ポップに展示されていました。
もちろん、一大センセーションを巻き起こした「この味が いいねと君が 言ったから 7月6日は サラダ記念日」とか、私が妙に気に入っている「万智ちゃんを 先生と呼ぶ 子らがいて 神奈川県立 橋本高校」とかもありました。

そうか、、、「サラダ記念日」の出版は1987年か…。昭和は遠くなりにけり です。

今、Wikipediaを見たら、面白い記述がありました。

角川短歌賞受賞者月刊カドカワの企画で注目を浴びていた俵の初歌集ということで角川書店からの出版になるはずだったが、角川書店社長の角川春樹自身が俳人であり、歌集、句集など短詩型文学の書籍は売れないものであると考えていたため、出版には反対したといういきさつがある。結局河出書房から出版されたこの『サラダ記念日』はミリオンセラーとなり、みすみすそのチャンスを逸した格好になった角川は後に「人生最大の失敗だった」と振り返っている。

角川書店といえば、蛇笏賞超空賞の主催をはじめ、「俳句歳時記」の出版とか、短詩型文学「家業」だったはずなのにね…

久しぶりに俵さんの短歌を拝見して、やはり唯一無二の歌人だなぁと感服しました。
中でも、この歌、イイです

「俵万智展」のことは、こちらのサイトのレポートがなかなかのデキです。

   

さて、ここからが角川武蔵野ミュージアム真骨頂エリア

角川武蔵野ミュージアムといえば、昨年末のNHK紅白歌合戦YOASOBIが歌った「本棚劇場」ばかりが取り上げられがちでが、その手前にある「エディット・タウン-ブックストリート」が、なんともイイのです

このコーナーは、

本の息づかいや賑わいが感じられる「本の街」松岡正剛の監修のもと、世界を読み解くための9つの文脈によって25,000冊の本が50メートルの通りに配架されている。新しい本と出会い、新しい連想が生まれる空間。

で、図書館の開架閲覧室のように、本を手に取って、その辺の椅子に座って読むことができます。

ここに並べられている本は、背表紙を眺めているだけで、こちらにビンビンと響いてきます。
ふと、昔、銀座勤めしている頃、会社の帰りに、当時晴海通り沿いにあった近藤書店(こちらの記事で書きました)に寄ると、「これを読みたい、あれも読みたいと盛り上がってしまい、個人的に「衝動買いの近藤書店」と呼んで親しんでいたことを思い出しました。
ネットで本を購入するときには味わえないこの感覚を久しぶりに味わいました。
これって、丸の内勤めをしている頃、丸善丸の内本店「松丸本舗」をぶらついたとき以来です、、、、、って、「松丸本舗」松本正剛さんプロデュースのショップインショップでした

感覚の合う書架って、眺めているだけでどうしてこんなに楽しいのでしょうねぇ。まぁ、判らない人には判らないでしょうけれど

こんな分類って、ありますか

いやはや楽しいったらありゃしない

このあと、「本棚劇場」圧倒され、その裏にある「アティックステップ」あれまぁ~ となったのですが、そのお話は後編で。

つづき:2021/10/21 角川武蔵野ミュージアム探訪記 [後編] 

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「カッコイイ!」の連発だったカッサンドル展(落ち穂拾い)

2017-02-19 13:06:54 | 美術館・博物館・アート/本・雑誌

昨日の記事「『カッコイイ!』の連発だったカッサンドル展」の最後に、

ちょっと書き足りない気持ちがあるのですが、

と書きましたが、やはりどう考えても書き足りない! ということで、つづきです。

まずは、自宅のトイレに飾ってあるポストカードから。

これは、沢木耕太郎「深夜特急 第一便 黄金宮殿」を新刊で購入・講読して、愛読者カードを送ったら、お礼に送られてきたものです。
手書き風ですが印刷ですよ。

「深夜特急」ワクワクして読み耽ったものでした。
もともと沢木耕太郎お気に入りの作家でしたし… 

さて、どうしてここで「深夜特急」なのかといいますと、このシリーズのカバーにはカッサンドルの作品が使われているのです。
「第一便 黄金旧殿」には「ノール・エクスプレス」「第二便 ペルシャの風」には映画「第三の男」ラストシーンを思い出す「ラ・ルート・ブルー」「第三便 飛光よ、飛光よ」には「ノルマンディー」がそれぞれ使われていて、未知の世界の旅立つ期待と不安を感じさせる見事な効果を発揮しておりました

そしては文庫本になり、各便2冊づつ分冊されたのですが、カバーにはやはりカッサンドルが使われています。 
埼玉県立近代美術館ミュージアムショップでは、「深夜特急」の文庫本平置きして販売されておりました。(平置きしないと意味がない

普通の書店でも買える本なのに、まるで展覧会グッズのようですな。

ちなみに、私の書架「深夜特急」3冊の右隣りにある「一号線を北上せよ」のカバーもまたカッサンドルで、「ワゴン=リ」が使われています。「深夜特急」新潮社刊)でのアートワークに刺激された講談社パクった?

ところで、「ワゴン=リ」って何?

調べると、「国際寝台車会社 (Compagnie internationale des wagons-lits) 」という鉄道事業者で、「ノール・エクスプレス(Nord Express=北方急行)」を運行していたほか(下図はWikipediaから拝借した両大戦間頃ノール・エクスプレスのルート図)、

かの「オリエント急行(Orient Express=東方急行)」とか、前記2路線に比べて知名度は低いながら「シュド・エクスプレス(Sud Express=南方急行)」といった欧州を縦横に結ぶ国際寝台列車を運行していた会社らしい。

 ところで、「ワゴン=リ」って何?

という疑問が、展覧会の展示でも、図録を読んでも解決できませんでした
「ワゴン=リ」に限らず、昨日の記事に出てきた 「パテ」とか「スピドレーヌ」なんぞも、いったい何のことかさっぱり判らない…。
図録作品解説は、一部の作品を除いて、制作年、サイズ、素材くらいしか書かれていなくて、かなり不親切
展示室内での掲示までは望まないにしても、何のポスターなのか、どんな製品・サービスの広告なのかなど、図録しっかりと解説して欲しいものです。 
このことは、かなり満足できた「カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命」の中での唯一の不満です。 

   

ところで、「カッサンドル・ポスター展」には、もう1「ノール・エクスプレス」という作品(こちらは原画)が展示されていました。

右に載せた展覧会のフライヤーの下に載っているがそれです。

図録によれば、

板に油彩で描かれた未発行のポスター原画。北方急行の原画としては不採用となったが、後年この構図を踏襲し発展させた《L.M.S.ベストウェイ》を発行している。

だそうで、コンパスの針の穴まで見られる興味深い作品でした。

加えて、縦線背景に沈み込ませた、このレタリングというか、タイポグラフィというか、タイプフェイスというか、、、区別がつかないので、要は字体ステキさ

この作品に限らず、カッサンドルのどの作品も「文字」の形、配置カッコ良くて、網膜強烈に焼き付きます。

極め付きは、右に載せた「メゾン・ドレーにて」かも。

考えてみれば、ポスターというものは、広告主の伝えたいことが、見る人間違いなく伝わるように作られるもの。

ですから、見た人に「いいなぁ、このポスター」と思ってもらうだけでは意味がなくて、ポスターが宣伝する商品やサービスを購入してもらってようやくその役目を果たしたことになります。

だからこその、文字への執着というか、こだわりなのだろうな、と思います。

多くのポスターの巨大さも、「伝える」ための手法なのでしょうな。 

ということは、カッサンドルのポスターは、WEBや写真で観るだけなく、実際に現物の前に立って、1920's~30'sのパリの住民になったつもりで観ないと、多くのものが伝わらないかもしれません。

埼玉県立近代美術館での「カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命」の開催は3月26まで、その後、八王子市夢美術館に巡回4月7日~6月25日)するようです。
機会とその気がありましたら、是非お出かけください。お薦めデス 

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判ったような判らないような…

2015-04-27 21:55:11 | 美術館・博物館・アート/本・雑誌

きのう、注文していたこちらの本が届きました。

山口晃 前に下がる 下を仰ぐ
山口 晃
青幻舎

この本、奥付には、

本書は、水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催された
山口晃展「前に下がる 下を仰ぐ」の公式カタログ兼書籍として刊行しました。

と書かれていまして、かなり大判(うれしい)この「公式カタログ兼書籍」のページをペラペラとめくると、こちらで書いた水戸芸術館現代美術ギャラリーでの山口晃展「前に下がる 下を仰ぐ」のことが、一気に蘇ってきて、「あれも良かった」「これも良かった」とキリがありません。
5月17日までの会期中に、もう一度、水戸に観に行きたくなってきたりして…

で、気になっていたこちらについて、画伯自らが解説されていました。

「『東宝スタジオ展』で、あ~~~!!!で書いたように、やはり「七人の侍」がモチーフになっていたそうで、

館正面が寂しかったので賑やかしです。「七人の侍」の劇中の旗がモチーフです。
なのでは自分が属したいもの、「た」は属している(た)もの、「△」が自分です。
屋根の形も表していて、その場合「△」は美術のことでしょうか。戦いの旗。

とのこと。
判ったような判らないような…
オリジナル6つの(6人の侍)が、こちらでは小さな4つの大きな1つのになっている説明がありませんから

「そこは自分で考えろということなのでしょうか…

ということで(?)、この公式カタログ兼書籍は、山口晃展「前に下がる 下を仰ぐ」観た人、観に行きたいけれど行けない方々心の底からお薦めします。
これからを観に行く人には、「まぁ、山口晃展「前に下がる 下を仰ぐ」を観てきてからでも遅くはない」と申し上げておきましょう。

あ"「久しぶりの水戸」シリーズが未完

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