新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

真夏の関西旅行記(その4)[大阪編の3]

2010-08-08 07:14:22 | 旅行記

真夏の関西旅行記(その3)[大阪編の2]のつづきです。


国立国際美術館(NMAO)」で「横尾忠則全ポスター」展を鑑賞した私は、同じNMAOの1フロア上で開催中の「束芋 断面の時代」を観ました。


100808_1_1束芋 断面の時代」 を単独で観る場合、入場料が420円(大学生:130円)必要(18歳未満または高校生と65歳以上は無料)ですが、「横尾忠則全ポスター」のチケットを持っていれば、こちらも観られます。


束芋 断面の時代」は、昨年12月中旬から今年3月初めにかけて横浜美術館でも開催されていて、私はNHK日曜美術館アートシーン(1月31日放送)でチラ見しました。

この時は、さほど気にもとめず、横浜まで出かける気にはなりませんでした。もともと映像インタレーションには関心が薄いもので…。
今回は、「無料で観られるなら観ておこうか」というセコイ考えで、観ることにした次第です。


ところで、「束芋」は、1975年生まれの新進気鋭の女性アーティスト。
たばいも」と読みます。変わったペンネーム(で良いのか?)ですねぇ。

その由来について、こちらの対談記事ご本人が、


 田端家の三姉妹を呼び分けるために、次女の私が「たばいも」で、姉が「たばあね」、妹は「いもいも」と友達がつけたあだ名です。


と語っていらっしゃいます。「いも」は「いもうと」の「いも」だったんですね。面白いですなぁ。


横浜美術館での展覧会の時の紹介動画がYouTubeにありましたので、ご覧くださいませ。


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さて「束芋 断面の時代」は、思いのほか映像インスタレーションが面白かったし、何よりもモノクロのドローイング「惡人」が、凄かった…。ひたすらぬめぬめと(これは映像インスタレーションにも共通する感触)、静物が人体に変化し、それが分化し、さらにぬめぬめと…。
しかも、展示が仕方が、これまた見事 下の写真は横浜での展示ですが、大阪も同様で、巻物のように、暗い会場を一直線に光の帯を形づくっていました。


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この「惡人」は、2006年3月下旬~2007年1月末の間、朝日新聞に連載された吉田修一さんの小説「悪人」の挿絵原画です。
私は、以前から新聞の連載小説は読まないクチですし、そもそも朝日新聞をとっていないので、「悪人」は読んでいませんし、ましてや束芋さんが描いた挿絵は見たことがありませんでした。


最近、書店の店頭には「悪人」の文庫本がど~んと平積みされています。


悪人(上) (朝日文庫) 悪人(上) (朝日文庫)
価格:¥ 567(税込)
発売日:2009-11-06
悪人(下) (朝日文庫) 悪人(下) (朝日文庫)
価格:¥ 567(税込)
発売日:2009-11-06

新刊でもないのに…。と、思いきや、実は、「悪人」が映画化されて、9月11日に公開されるんですな。


100808_1_3


ちょいと話がずれますが、以前からへんだよなぁと思っていることがあります。
それは、刊行済みで、文庫本としても刊行されている小説が映画化されるとき、決まって、


原作:■■■■「□□□□(●●文庫版)」


と書かれていること。
単行本と文庫本とでは、刊行される間隔がよほど空かない限り、判型や挿絵の有無は別として、内容にはほとんど違いがないと思うのですけれど…。
まぁ、いろいろ事情があるのでしょう…(と意地悪したりしてネ)。


   


話を「束芋 断面の時代」に戻します。


展示されていた「惡人」のドローイングに魅了された私は、昨日、この絵本を買ってきました。


惡人 惡人
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2010-07-07

Amazonの内容紹介を借りると、


横浜と大阪で開催の大規模な展覧会「断面の世代」で公開されたモノクロの原画を連載時のカラーで再現


だそうな。


文庫本サイズで300ページほどなのに、お値段は1,890円(税込)と、ぱっと見、かなり高い気がします(ホントに高いかもしれない)が、実際に手にとってページをめくると、、、、こりゃ日本のアートシーンにおいて重要なマイルストーンになる本ではないか と思ってしまいます。

なんとも、う~む…デス。


   


この記事を書くにあたって、ネットで束芋さんのことを調べていたところ、こんなニュースが見つかりました。8月2日付け毎日新聞(東京版夕刊)の記事を引用します。


 2011年にイタリアで開かれる第54回ベネチア・ビエンナーレの日本館出品作家は、現代美術家の束芋(たばいも)さんに決まった。また、同館のコミッショナーには国立国際美術館主任研究員の植松由佳さんが選ばれた。
 選考は指名コンペティション方式で行われた。優れた展覧会を企画してきた美術館学芸員7人を、国際交流基金がコミッショナー候補に指名。そのうち応募した6人の案を、本江邦夫・多摩美術大教授ら6人の委員会が検討し、束芋・植松コンビを選んだ。


おぉぉぉ…っ ブラヴォー デス

しかも、なんというタイミング と、思ったら、実は7月16日に記者発表されていました(こちらをご参照方)。毎日新聞はどうしてこんな妙なタイミングで記事化したのでしょうかねぇ

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まぁ、いずれにしても、束芋さんの今後の活躍に注目しておきましょう。


つづき:2010/08/09 真夏の関西旅行記(その5)[大阪編の4]

コメント (2)
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