新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

トーハクに初もうで

2019-01-13 21:34:02 | 美術館・博物館・アート/テレビ番組

毎年恒例の東京国立博物館(トーハク)「博物館に初もうで」に、きのう・きょうの2日連続で出かけてきました。

きのうは、上野1時間半ほど時間をつぶす必要があって、トーハク本館1階1周と2階のごく一部だけ拝見しまして、きょうは本館&平成館「考古展示室」を観てきました。

歌舞音曲系のイベント1月2~4日で終わってしまっていますが、

「いけばな」(池坊・蔵重伸さん)はあす1月14日(祝)までで、特に壮麗大階段にしつらえられた作品は、毎年のことながら華やかで、実にお正月らしい

「博物館に初もうで」といえば、お約束干支関連の作品、華やかな作品、おめでたい作品、そして、、、、そう、長谷川等伯「松林図屏風」です

今年は、「松林図屏風」高精細レプリカ畳の上で観られると同時に、もし松林に雪が降ってきたら…を再現したりという企画が行われていまして、これもまた楽しい
ホンモノ「松林図屏風」の展示は明日(1/14)までですが、こちらの企画は2月3日までです。
それにしても、「松林図屏風」の英文呼称が「Pine Trees.」というのはちょっと…

   

今年の「博物館に初もうで」「一番の見ものは、特集展示「大判と小判」ではなかろうか…

この展示は、

東京国立博物館には2002年に大川功(おおかわいさお)氏より寄贈を受けた、近世貨幣の一大コレクションがあります。本特集ではこのコレクションから大判・小判をよりすぐり展示します。本物の「山吹色(やまぶきいろ)」の輝き、独特の形式美を、ぜひご覧ください。

というもの。トーハクでは、銀座から出土した小判(記事はこちら)とか、勝浦沖で見つかった小判一分金(記事はこちら)など、少なからぬ金貨を保有しているのですが、この特集展示にはそれらは展示されず、もっぱら大川さん(CSK創設者でセガのトップを務められたあの大川さんですよね?)からの寄贈品のみ。
実際、きょうも平成館の考古展示室には銀座出土小判が展示されていて、トーハクはどれだけの金貨を保有しているんだ ってヤツです。

それはそうと、今年のNHKの正月時代劇「家康、江戸を建てる」(原作:門井慶喜)で、その後編「金貨の町」の主人公は、橋本庄三郎なる実在の人物。

その橋本庄三郎さんが作ったと伝えられる小判がこちらです。

慶長小判(慶長6[1601]年頃~元禄8[1695]年)です。

説明板を引用しましょう。

厚さ1ミリの金薄板の表面に、タガネを横向きに打ち、上下に扇方枠に五三桐の極印、中央に「壱両」下部に「光次」極印を打つ。小判の誕生は大判より遅れて文禄4年(1595)ごろ、後藤徳乗の門人で徳川家康の命により江戸に下った後藤光次の製造とされる。

だそうです。
「家康、江戸を建てる 後編~金貨の町~」の主人公・橋本庄三郎は、歴史上で呼ぶところの後藤庄三郎光次で、その子孫(養子込み)は、江戸時代を通じて金座を司ったのだとか。

そんなわけで、「家康、江戸を建てる 後編~金貨の町~」を観た後、この特集展示「大判と小判」を観ると、感慨もひとしおです。

「家康、江戸を建てる」の中で、庄三郎ができたての大判を手にとる家康「墨が乾いておりませんかもしれませんのでご注意ください」的なことを言う重要なシーンがありました。
小判には墨書きはありませんが、大判には墨痕鮮やかに何かが書かれています。
以前から、何が書かれているのだろうか? と思っていましたが、その解けました

展示されていた享保大判(享保10~11年[1725~26年])を例に、説明板がありまして、

曰く、墨書きされているのは、「拾両後藤(花押)」だそうです。

ところで、大判・小判意匠はタガネで刻まれた茣蓙目やら、墨書き(大判のみ)やら、極印やらでそれ相応の面目を保っていますが、はというと、極印が打たれているだけで、全体はノペーっとして手抜きにしか見えない… (こちらの記事をご参照方)
もうちょっと何か工夫のしようがあったのではなかろうかと思うわけで…

そうそう、平成館の考古展示室には慶長大判実物と、その大きさ重さを再現したレプリカがあって、その重さ実感できますので、この特集展示「大判と小判」(~2月3日)を観られたら、平成館にも行ってみましょう

   

この他の見逃せない展示としては、「博物館に初もうで」フライヤーでも取り上げられていますが、まったく読めないながらただただ美しい古今和歌集(元永本)とか、

「教科書で見た系の片輪車蒔絵螺鈿手箱とか、

ほれぼれするような太刀 伯耆安綱(名物 童子切安綱)とか…。

童子切

これらは、実物で観ると、写真では判らない美しさを感じ取ることができると思いますよ。例えば片輪車蒔絵螺鈿手箱螺鈿燦めきとか…
こんな名品たちを入館料620円で観られるなんて、なんという眼福でしょ

まだまだ書き尽くせていませんが、トーハクにはこれからもしょっちゅう出かける予定ですので、きょうはこの辺で…。

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先週の「日曜美術館」

2016-07-31 09:30:08 | 美術館・博物館・アート/テレビ番組

先週のNHK「日曜美術館」は、本編「アートシーン」魅力的で、お出かけしたい気分が激しく盛り上がりました。

まず「本編」「シーボルト 幻の日本博物館」

日本の近代化に大きな影響を与えたシーボルト、日本で研究・蒐集したコレクションを持っていたことは知っていましたが、

ドイツの古城に、大量の日本の美術品や民俗資料が未調査のまま埋もれていた。収集したのは、幕末の日本から地図を持ち出した事件で知られるシーボルト。彼は、世界初の日本博物館を作ろうとしていたのだ。

とまでは知りませんでした。

というか、「幕末期にシーボルトという人物が日本にやって来て、長崎のオランダ商館で医師として活躍する一方、鳴滝塾で日本の青年達に蘭学を教えた」ということくらいしか知らなかったというのが真実に近い…
そもそも、この番組を観るまで、シーボルトドイツ人だとは知りませんでした(オランダ人だとばかり思っていた)。

それはともかく、

その内容は今までなぞに包まれ、幻とされてきたが、国立歴史民俗博物館などがその全貌を初めて再現した。西欧のジャポニスムより早く、初めて日本を紹介しようとしたシーボルト。彼は日本のどのような魅力を伝えたかったのか?

という先週の日曜美術館「シーボルト 幻の日本博物館」は、ホント面白かった

日本に魅せられたシーボルトが集めたコレクションは、美術的な視点よりも、民俗的・博物的な視点によるもののようで、そうしたコレクションは、体系立てた状態で観ることはなかなか難しいもの。
地元に残されていた道具や民具などを展示している公立の博物館は少なくありませんが、ただ陳列しているだけ、とまで言い過ぎかもしれませんが、ゴチャゴチャ感に溢れた展示が多い印象があります。「集めた」よりも「集まった」ものが多いからなのかもしれません。

幕末期の日本にやって来た異邦人が、異邦人の目で当時の日本の風俗や自然を観て、気になったもの・気に入ったものを蒐集したら、どんなコレクションができあるのでしょうか?

千葉・佐倉の国立歴史民俗博物館(歴博)では、

本展では、6年間にわたるシーボルト関係資料の総合的な調査によって得られた新しい成果をもとに、シーボルトがヨーロッパで実際におこなった日本展示に焦点を当てます。

「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」が開催されています。

歴博には5年前前回の訪問記)に行ったきりだし、久しぶりに出かけてみようか、、と思う一方で、やはりちょいと遠い
なんて考えながら日曜美術館「シーボルト 幻の日本博物館」を観ていたら、9月4日まで歴博での展示が終わると、ほぼ続けざま9月13日から江戸東京博物館(江戸博)に巡回するらしい(来年2月には長崎歴史文化博物館、その他詳細不明ながら、名古屋・大阪にも巡回するっぽい
それなら江戸博での開催を待とうか…なんて考えてしまいます。

いずれにしても、絶対行くぞ 「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」

   

先週の日曜美術館 アートシーンで紹介された作品・展覧会も魅力的で、あちこちに出かけたくなってしまいました。

まずは敬愛する山口晃画伯の新作「冨士北麓参詣曼荼羅」
富士河口湖町にある「富士山世界遺産センター」常設展示されているらしいのですが、富士河口湖町といえば、今年5月初め「MISIA星空のライヴIX」河口湖ステラシアター公演で3日連続出撃したのに、そんな雰囲気(?)まったく無かったぞ

と思ったら、富士山世界遺産センターは、6月22日にオープンしたばかりなんだとか。

どこにできたのだろうか? と思ったら、、、、

富士スバルラインの入口近くで、河口湖ステラシアターから歩いて行ける距離ではありませんか

今度河口湖ステラシアターでのライブ出撃するときは、例によって早めに駐車場所を確保したら、徒歩で出かけてみましょうか

ちなみに、静岡・長泉町にある「静岡がんセンター」では山口画伯「階段遊楽圖」2011年にヴァンジ彫刻庭園美術館で開催された「東海道 新風景 山口晃と竹﨑和征」展で現物を拝見済み)が飾られていると聞いていますが、場所が場所だけに、絵画を観るためだけに行くのは憚れます(今年5月に近くを通ったときも迷った)

   

九州国立博物館(九博)で開催中の「東山魁夷」展魅力的

東山魁夷の作品は、断片的に拝見したことはあっても(洗面所の今年のカレンダーは東山魁夷の作品集です)、回顧展は観たことがありません。

それだけでも魅力的だというのに、この展覧会では、唐招提寺御影堂障壁画が展示されるというのですから、見逃すわけにはいかないでしょ
もともとめったに拝観できない作品だし、加えて唐招提寺御影堂自体が修理中のため、5年間は拝観できないし

昨年12月のこちらの記事で、

既に先月末(昨年11月末)修理前の特別公開を終えたようで、 修理期間中は、
修理期間中、鑑真和上坐像は境内での安置を検討。日本画家の東山魁夷さんが描いた堂内のふすま絵についても保管場所などを検討している。(奈良新聞)
だそうですから、もしかすると、唐招提寺以外の場所も含めて、国宝「鑑真和上坐像」東山画伯作の襖絵を拝観できる機会があるかもしれません。
期待しています。

と書きましたが、その「機会」がやって来たわけで、いてもたってもいられず、九博出撃を決めました
マイレージを使えば交通費の大部分が浮きますし、東京国立博物館パスポートも使えますしね

ただ、問題ホテル

手頃な価格の部屋がほんっっっとに無い
休前日の宿泊料が、他の日の2~3倍なんてザラですもの。
首都圏・関西だけでなく、福岡もこんな状況だとは知りませんでした

MISIAが出演する8月28日宗像フェスに絡めて出撃しようかとも思いましたが、手頃なホテルが見つからず、結局、来週末九博単独出撃することにしました。

私の福岡出撃(記事はこちら)は、これまた九博「神品至宝 台北國立故宮博物院」展を観るためだけに出かけた2014年10月以来で、このときは台風のせいで散々だった(こちらの記事をご参照方)ものですから、今回は無事に楽しめることを祈っています。

   

もう一つ、先週の日曜美術館 アートシーンで紹介された大原美術館にも久しぶりに出かけてみたくなりました。

「THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP」では、倉敷公演(17/1/13)が予定されていて、遠征ついでに大原美術館を観てくるテもあるのですが、諸般の事情により、「THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP」ホールツアーへの遠征は、仙台札幌だけです。

と記事を書いているうち歴博に行きたい気分がモゾモゾ

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