「関西旅行記」のつづきを書くつもりだったのですが、録り貯めたビデオを整理していると、6月30日のNHK日曜美術館 アートシーンで、先週観てきたばかりのベルナール・ビュフェ美術館「現代の眼で見るビュフェ」展が紹介されていましたので、こちらを先に書くことにします。
ある意味、7月14日の記事「きょうの富士山」(臨時駐車場となった河口湖町民グラウンドに停めたクルマの中で書きました)のつづきともいえるかも…。
先週の日曜日、日曜美術館「筆を持たない天才芸術家・岡倉天心」を途中で観るのをやめてホテルをチェックアウトした私は、「ふたたびの出会い IZU PHOTO MUSEUMコレクション展」を(割引料金で)観るべくクレマチスの丘へと向かったのですが、「きょうの富士山」で書いたとおり、IZU PHOTO MUSEUMの後、ベルナール・ビュフェ美術館にハシゴしました。
ベルナール・ビュフェ美術館にやって来るのは、ちょうど2年振り。
2年前に来たときは、結構な面積を使って「東海道五十三次-広重から現代作家まで」が開催されていたのですが、それでもベルナール・ビュフェ美術館のビュフェ・コレクションの量と質に圧倒されました。
それが、現在開催中(2014年3月23日まで)の企画展「現代の眼で見るビュフェ」は、美術館丸ごとビュフェ三昧、、、と書いたものの、「東海道五十三次-広重から現代作家まで」が開催されていた「版画館ウイング」は今回閉鎖されていましたので、ビュフェの展示スペースは前回と同じです
この美術館は、スルガ銀行の創業家一族で、同行の頭取・会長も務められた岡野喜一郎さんが、自らのコレクションをもとに造ったもの(開館:1973年11月25日)。
ガイドブック(2005年刊)から転記しますと、
油彩画110点余りで始まったコレクションは、6年後には217点に倍増し、版画を含めると500点近くになっていた。その後、フランス、スイス、アメリカ、そして国内でも作品を収集し、アネックスの増設時には700点に達していた。1977年の時点で、美術評論家フランソワ・ドルト氏により、美術雑誌『ルイユ』誌上で、ビュフェ美術館の収蔵作品は質量ともに世界最高のコレクションであると紹介されるまでになっていた。
現在、収蔵作品は油彩、水彩、デッサン等、合わせて500点、これにドライポイント、リトグラフ、ポスター、挿絵本等を加えると2,000点以上に及び、その質・作品数はともに世界一のビュフェ・コレクションを誇っている。
エントランスを入って最初に目にする作品は「創設者肖像画」(1971)、敬愛して止まない画家に、自分の肖像画を描いてもらうなんて、さぞかし岡野さんはうれしかったことでしょう
左の写真は、ガイドブックに載っていたもので、ビュフェ夫妻を美術館に案内する岡野さん。
自分が建てた美術館をビュフェが気に入ってくれるのか、岡野さんは心臓バクバクだったかもしれませんな。
さて、2度目のベルナール・ビュフェ美術館の訪問、今回も楽しめました
「ビュフェも悪くないな…」程度の私でさえ楽しめるのですから、ビュフェ・ファンにはたまらない「聖地」かもしれません。
いかに公共交通機関の便が悪くとも、ベルナール・ビュフェ美術館には行かねばと思うビュフェ・ファンが世界各国にいるのではなかろうかと思います。
美術館が「その質・作品数はともに世界一のビュフェ・コレクションを誇っている」と胸を張るのも伊達ではないでしょう
今回、私は2枚のポストカードと1個のグッズを買ってきました。
ポストカードの1枚目は、おぉ…と感嘆の声を上げそうになったこちら。
2m×3.5mの大作「大運河(Le Grand Canal)」(1962)です。
到底「お持ち帰り」なんて、物理的に不可能ながら、この作品、イイなぁ…
一方で、この「大運河」と向き合うように展示されていたこちらは(買ってきたもう1枚のポストカード)は、、、
ニューヨークを描いた「マンハッタン(Manhattan)」(1958)です。
力強い黒い線が垂直&水平に交差する、いかにもビュフェの絵ですが、人もクルマもいない無機的なマンハッタンの街を無機的に描かれると、何から何まで無機的で、私としては気がささくれ立つような感じで、あまり好きじゃありません、この作品…
信号機とかクルマの灯りが入ると、無機的なマンハッタンの街も、呼吸する生きた街にみえるのですがねぇ…。
右の写真は、今から二十数年前、私が撮ったマンハッタンの朝です(ちょいとあおり補正を加えました)。
6月30日のNHK日曜美術館 アートシーンでは、この2枚の絵も紹介されておりまして、そんなことをつゆ知らず、私はこの2枚のポストカードを買ってきたのでありました。
今回、もっとも「お持ち帰り」したいと思ったのは、挿画本「声(La Voix Humaine)」(原作:ジャン・コクトー)でした。
もともと、そのサインから想像できるように、ビュフェの文字はその画風と同様、直線的で、美術的です。
そんな「直線的で、美術的」な文字は、「直線的で、美術的」な画とコラボするなんて、日本美術の画賛入りの絵のような感じ…。
これが良いんですわぁ~
特に気に入ったのが、ハートを矢が貫き、周りに単語(最後は“Je t'aime”の連発)が鏤(ちりば)められた作品(#25)と、電柱と電線(話の筋からすれば電話線)が描かれた奥付っぽい感じの作品の2点でした
「声(La Voix Humaine)」のポストカードや画集はないものか、ミュージアムショップで探したのですが、ポストカードも画集もありませんでした…
その代わり、気に入った「#25」をあしらった小さなポーチを見つけて、衝動買いしてしまいました
買ったは良いけれど、さて、何に使いましょうか…
ところで、この記事を書くきっかけになったNHK日曜美術館、来週は「夢の富士山 傑作10選~巨匠たちの知られざる物語~」だそうで、わが敬愛する山口晃画伯もご出演されるようです(予告編にご登場されていました)。
右の作品は、ベルナール・ビュフェ美術館と同じクレマチスの丘にあるヴァンジ彫刻庭園美術館で、「東海道五十三次-広重から現代作家まで」なんぞと同期的に開催されていた「東海道 新風景-山口晃と竹﨑和征」展で観た山口晃画伯の「三島名所圖晝 一里塚」です(あまり面白くない作品だけれど、富士山が描かれているので載せました)。
なんだか気の向くままに記事を書いているようで、ちゃんとつながっているのが不思議です…
ところで、クレマチスの丘へクルマでお出かけの方、公式ルートは下図のとおりです。
国道246号線で東京方面や東名・沼津ICや新東名・長泉沼津ICから東駿河環状道路(無料区間)を通ってくるクルマは城山交差点で左折&右折&右折、国道246号線で沼津方面から来るクルマは城山交差点で右折&右折&右折です。
これ以外にもルートはありますが、激しく狭かったり(体験済み)、立体交差に唖然としたりすること必至ですのでご注意を