昨夜、映画
を観てきました。
私にとっては初めての3D映画、
「THE LAST MESSAGE 海猿」デス(左の画像をクリックすると、映画の公式サイトにジャンプします)。
ストーリー展開や脇役級のキャラクター(キャストの問題ではない)がベタだったり、「仙崎家」セクションが冗長だったりと、つっこみどころはあるものの(脚本がイマイチっつうことだろうな
)、かなり楽しめました。
でも、売り物の「3D」は、、、、この作品に限ってかもしれないけれど、 邪魔
といってもよい感じでした。
一番立体感が感じられたのが、本編前の3Dシステム会社のロゴと、おなじみの東宝のキラキラロゴマークだった
というだけでなく、専用メガネ
をかけると画面がちょっと薄暗くなって、夜や室内のシーンでは辛い![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/sign01.gif)
「3D映画」にはまだまだ改良の余地がありそうです。
「3D映画を体験したい
」というのでなければ、少なくとも「THE LAST MESSAGE 海猿」に関しては2D版をお薦めします。
それはともかく、「海猿」と海上保安庁との関係は密接で、映画の撮影には海上保安庁の全面協力を得る一方で、昨日23日には、海上保安庁長官から映画に対して感謝状が贈られたようです。
そりゃそうでしょう。前作公開後には海上保安学校への入学希望者が激増したらしいですし、海上保安官の活動に世間の関心が高まれば、現場の海上保安官の士気も上がるのは当然です。
まさしく、Win-Winの関係ですな。
「海上保安庁、長官から『海猿』に感謝状!伊藤英明、加藤あい笑顔で受け取る」というこちらの記事に出てくる海上保安庁の鈴木久泰長官のコメントが秀逸
です。
迫力のある映画で、海保のいい宣伝になりました。ただ一つ不満なのは、あれだけの事故が起きているのに、映画に長官が出てこないこと(笑)。もし次回作があるなら、ぜひ長官を出演させて欲しい。
確かに。もっぱら首相官邸(内閣参事官)と救難課長との間で動いていましたからねぇ。
でも、映画に登場したかったらしい長官は別として、次官・警備救難監・警備救難部長といった下川救難課長の上司にあたる方々は、「ヘタに映画に登場して、吉森内閣参事官のようにいかにも官僚臭く描かれたらたまらない。よかった、よかった…」と思っているかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/ship.gif)
海上保安庁といえば、尖閣諸島付近の日本領海で海上保安庁の巡視船に漁船を衝突したとして中国人船長が公務執行妨害容疑で逮捕された事件が、今日の午後から大きく動いています。
結局、船長は「処分保留」で釈放される(された?)ようです。
日経電子版(2010/9/24 14:56更新)の記事によれば、
同地検(那覇地検)は、「故意に衝突させたのは明白で危険な行為」とする一方、「とっさにとった行為で計画性はない。我が国での前科もない」と説明した。さらに「捜査を継続した場合の我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、捜査継続は相当ではないと判断した」とも言及した。
だそうな。
中国の官民がいかにギャーギャー騒ごうが、これまで日本政府は毅然としていたのに、なんとも釈然としません。これが、「中国人観光客の訪日抑制とか、レアアースの禁輸とか、在中日本人の逮捕とか、いろいろ圧力をかければ日本は屈服する」といった中国側の認識を補強することにつながらなければよいのですが…。
私が勝手に推測するところ、中国のトップは、今回の事件がここまで盛り上がることを予想していなかったのではないかと思います。
尖閣諸島の日本への帰属は、日本政府がおいそれと譲るはずはないし、国際法上も、中国・台湾とも立場が弱い。
ですから、できることなら、1978年に当時の副首相・鄧小平氏が来日した際、記者クラブでの会見で発言したという
尖閣列島は、われわれは釣魚島という。名前、呼び方がちがうのだから、たしかにこの点については双方に食い違った見方がある。こういう問題は一時タナ上げしてかまわない。われわれのこの話合いはまとまらないが、次の世代はわれわれよりもっと智慧があろう
いわゆる「棚上げ」路線を続けたいところだったのだと思います。
ところが、親の心子知らずで、軍部の一部(跳ねっ返り)とか国民は「GDP世界2位の大国になった
」と舞い上がっているようで、日本にちょっかいを出したがっているようです。「ある時は大国のつもり。また、ある時は発展途上国のつもり」は、いつもの中国の振る舞い方ですが
、GDPで日本を抜いた直後は、事実上の国営ニュースサイト「人民網」を見る限り、「国民一人あたりGDPではまだまだ中進国にとどまっている」的なニュースや論評で、国民の慢心を戒めている感じがうかがえました。
ですから、今回の事件が起こった当初は、中国のトップも、中国漁民に対して「バカなことをしやがって
」と怒り心頭だったと思います。さはさりながら、尖閣諸島を自国の領土と主張している手前、日本が「国内法規に則って船長を処分する」ことを放置していれば(放置していると中国国民に思われれば)中国国民の反発は必至です。そこで、非常識な時刻
に日本大使(丹羽さんも貧乏くじを引かされたものです
)を外交部に呼びつけて抗議したり、国営メディアを通じて強硬な態度を示したりと、中国国民に「中国政府も怒っている
」と見えるように、日本に威しをかけたのでしょう。
中国政府の見立て違いだったのが、日本政府の態度。中国政府の立場をおもんぱかって、早々に中国船の乗組員を解放するだろうと思っていたところ、日本政府は船長の拘留期限を延長してしまった。
きっと、鳩山“友愛
”内閣のままだったり、小沢“朝貢”内閣になっていたら、船長を送検もせずに国外退去処分にしていたことでしょうけれど、相手(菅内閣)が悪かったし、日本の野党(どこの国の政党なのか判らない社民党だけは別かもしれない
)も国民の輿論も、政府の対応を容認している。中国人にとってお金の次に大事な(?)メンツを保ちたい気持ちもあるでしょうし、それ以上に中国国民の反発が怖いものだから、中国政府は日本に対してより強硬な態度を示すしかなくなったのだと思います。
訪日や日中交流の中止とか、レアアースの対日輸出制限や、もしかするとフジタ関係者の逮捕なんかも、中国政府中央の指示ではなく、末端が中央の意向を勝手に忖度して「実力行使に踏み切った」のではないでしょうか。
もし私の読みが当たっているとすれば、中国政府は表向きには絶対に認めないでしょうけれど、中国船船長の釈放で、日本政府が中国政府に貸しをつくったことになるはずです。
今回の一連のできごとが、中国政府に「日本、与(くみ)し易し」という印象を与えるのではなく、日本政府が秘密裏に貸しをつくったことで収まってほしいものです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/bz/shadow.gif)
それにしても、つくづく残念に思うのは、江沢民政権は日中関係に不幸な期間をもたらしたし、その後にロクでもない置き土産を残したということ。
![“九・一八”歴史博物館 100924_1_3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/9d/13d98c12ba97f4a3c1875e3064bd7cfa.jpg)
写真は、満州事変の発端になった柳条湖事件の現場(瀋陽郊外)に建てられている「“九・一八”歴史博物館」です。揺れるマイクロバスの中から、汚れた車窓越しに撮った
もので、ボケボケご免デス
館名の揮毫(きごう)は、もちろん江沢民氏。ご丁寧に、入口だか出口だかにも、どでかく江氏の筆による「勿忘”九・十八”(9・18=柳条湖事件を忘れるなかれ)」の貼り付け文字(彫刻?)が目立ちまくっていました。
日本に対する憎しみを「よりしろ」に、中国国民に「愛国」を植えつけ、国内の一体化を図ろうとした江氏の戦略は、最終的な目的だった国内の一体化(ただし漢民族が中心)には成功し、その結果、その後の経済成長の土台をつくることになったのでしょうが、ツケをまわされた日本にとっては痛し痒しです。
日本経済にとって中国は、市場としても生産拠点としても顧客としてもますます重要性を増しています。
ですが、中国のカントリー・リスクは相変わらず高いことを忘れてはいけない(勿忘)と思います。
【追記】中国人船長を処分保留で釈放するという沖縄地検の決定に対する与野党各位の反応/コメントをTV
で拝見しました。
ここは、中国の指導者層に「日本は、あんたらの苦境を察してやったんだぞ
」という意思を暗に伝えるべく、「政府/沖縄地検の決定は許せない
」と怒ってみせることが必要だったわけですが、おおむね、この線に沿った反応を示していらっしゃいました。
そして、私の予想どおり、官房長官は別として、公明党と社民党だけが「沖縄地検の判断を尊重したい」的な、両党のアホさ加減をさらけ出した反応でした。まったく、この方々ときたら、もう…
。
さて、この後の中国政府の反応/対応が、私の読みの正否を明らかにすることになりますが、どうなることでしょうか? (2010/09/24 22:15)