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子夜呉歌 李白

2022-11-19 06:55:34 | 文学
詩仙・李白の五言古詩を紹介します。

  子夜呉歌

長安一片月 
万戸擣衣声
秋風吹不尽
総是玉関情
何日平胡虜
良人罷遠征


         「読み方」
長安一片ノ月 
万戸衣ヲ擣(う)ツノ声

秋風吹イテ尽キズ
総(す)ベテ是レ玉関ノ情
何レノ日ニカ胡虜ヲ平ラゲテ
良人遠征ヲ罷(や)メン


「訳」

長安の空には、満月が一つ冴え冴えと出ている。
その月光に照らされ、町のあちらこちらの家々から衣を打つ砧の音が聞こ えてくる。
秋風が吹いてやまない。
月や砧や秋風などのすべては、遠い西方の玉門関にいる夫をおもう心をかきたてるのである。
いつになったら夷どもを討ちはたして、夫は遠征をやめて帰ってくることだろう。
  

 「鑑賞」

もともと「子夜歌」は南方の民歌です。それを李白は、舞台を北方の都に移し、玉門関へ遠征する夫の留守をまもる女の歌に仕立てました。この詩は六句の古詩としたことで、原作のもつ素朴な味わいを活かしつつ、纏綿とした情緒を出すことに成功しました。そこに絶句とは異なる趣があります。

        石川忠久「ビジュアル漢詩 心の旅」世界文化社 

   


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