yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

捲土重来

2010-08-18 05:43:29 | 文学
「けんどちょうらい」とか「けんどじゅうらい」と読みます。負けた者が再び勢いを盛り反し、意気込んで土を捲きかえして、ふたたび攻め戻って来ることを言います。
晩唐の詩人、杜牧の漢詩「烏江亭に題す」にもこの言葉があります。
  勝敗は兵家も期すべからず
  羞(はぢ)を包み恥を忍ぶは是れ男児
  江東の子弟豪俊多し
  捲土重来未だ知るべからず
 
 項羽が劉邦に敗れて南を目指す途中、烏江に至った時、烏江の亭長が項羽に江を渡って一旦逃れ、再挙することを勧めました。
 項羽は「我何の面目ありて江東の父兄に見(まみ)えん」と言って潔く自害したということです。杜牧は上記の詩により一代の英雄の最期を悼み、その霊を弔いました。

山本五十六連合艦隊指令長官の手帳にも戦死した部下の姓名と出身地がびっしり書きこまれてあり、「我、何のかんばせあって戦死者の父兄に見えん」といつも言いつつ戦場に散ったということです。

日本史においては足利尊氏が京都の抗争に敗れた後、一旦、九州に落ち、勢力を蓄え、再び都を目指して攻め上り、遂に政権を奪還しました。この事などが「捲土重来」の典型的な例です。
太平洋戦争の直後、全国高校野球選手権大会が復活し、甲子園の試合で敗れた選手が、甲子園の土を持ち帰り、家でその土を見ながら「捲土重来を期した」という作文を書き、その話が教科書に載る予定であったそうです。ところが完成した教科書には「捲土重来」という言葉が削除されていたということです。GHQが教科書を事前検閲した際に、復讐を示すこの言葉を教科書から削除したのではないかと、作者は推測したそうです。この作文の作者は往時を振りかえり、現代の球児達へのメッセージとして「平和な国で野球ができる事。そしてそれを支えてくれている先生、監督、地域の人達、家族、両親に感謝をする事を忘れてはならない」とテレビで語っていました。



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