山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

抗菌→滅菌→殺菌のこと

2021-06-05 04:43:06 | 宵宵妄話

コロナ禍の煽りは絶えることなくい続いていて、やっと作り上げた旅車も庭先に只飾っているだけの時間が続いている。真に退屈だ。なので、くるま旅のことから離れて。最近感ずることの一つについて書いてみたい。

 家内が指先を傷めたりして不調なので、時々食後の食器や調理具の洗いを担当している。自分はもともと炊事の洗い場に食器などを溜めておくのが嫌いなので、溜まっているのを見ていると我慢できなくなって直ぐに洗いたくなる性分なのだが、家内は真逆で溜めて置いて一度に洗いあげるというタイプなのである。これはそれぞれの考えがあってやることなので、どうでもいいことなのだが、ここで取り上げる問題は、その洗い方と洗った物の取り扱い方に対する考え方なのだ。

 家内は徹底的な衛生管理信者の様で、洗いの際は洗剤を使って後に寸部の汚れも残らぬようにするべきと考え実行しているようなのだが、自分の衛生に対する考えはかなり違って、酷い汚れがない限りは出来る限り水洗いで済ませるだけでいいのではないかと思っている。一度、洗剤をつけて洗えというのでそうしたら、使う剤が多すぎると文句を言われたので、無視して元に戻したことがある。今は、可能な限り使用洗剤の量を少なくして洗うようにしているが、それでも時々洗いが少ないとか、つべこべ指摘されることが多い。うんざりしているのだが、うるさい! と言っても、家内はめげることなく指摘の理由などをくどくど述べるのである。

 もう一つは洗い終えた後の器具等の取り扱いなのだが、家内はかごに入れて、その後は拭くことなど決してせずに乾くまで水屋などに収納することは無い。ところが自分はせっかちな性分なので、早く片付けるべきと考え、鍋などの類は布巾を使って水分を取り、乾いた布巾があればそれで最後の拭き取りをして所定の場所に収納しようとする。これに気づくと、家内が飛んできて、そのような台布巾などで拭いたらダメだという。バイキンが洗い終わった器具に付いてしまって台無しになるという考えらしい。そこで又云い合いとなる。妖怪ジジババ同士のいつものショウもない茶飯事なのだ。

 世の中の現代の普通の考え方から言えば、その妥当性は家内の考え方の方に軍配が挙がるに違いない。今の世の中には、衛生の基本として、殺菌、滅菌、抗菌などという言葉が溢れており、それを売りにした商品も数多い。現代の人びとの多くは、これら細菌やウイルスの根絶対処こそが衛生の基本なのだと考えているようだ。

 しかし、自分はそう考えないし、考えたくもない。何故なら人間は細菌やウイルスといった微生物に生かされている側面が大きいのではないかと思い、信じているからである。もし、完璧にこれらの微生物や超微生物を駆除してしまったら、人間にもたらされるのは幸福などではなく、破滅や死滅といったものなのではないか。勿論これらの微生物や超微生物の中には時に悪さをするものも多いのだと思う。しかし、それは毒と薬の関係のようなものではないかと自分は思っている。

 自分は、殺菌や滅菌或いは抗菌などという人間の発想は却って危険ではないかと思っている。人間だけが生き残るためには、悪さをするこのような菌類を根絶させてしまえばいいのだという考えは、人間の哀れな思い上がりに過ぎないのではないか。人間にとって必要なのは、あくまでもこれらの細菌や超細菌類に対する共存意識と行動なのではないか。バイキンとの共存、バイキンと仲良くする心構えが大事なのではないかと思うのだ。

 現在は、コロナ禍の最中にある。人間の目一杯の努力にも拘らず、このウイルスは変異という新たな手段を繰り出して、益々感染力を強大なものとしているようだ。真に憎むべき悪魔のウイルスだと思う。こんな悪魔と共存するという道があるのかと思うのが普通だと思う。敵対して徹底的に戦うべきと言えるのかもしれない。科学の力を借りてワクチンが開発され、人工的に身体の抗体を働かせることで、この難敵を退治できるのだという考えの下に今人間の挑戦が始まっているのだが、果たしてこれだけでこの種のウイルスに勝利できるとは自分は思えない。このチャレンジはあくまでも一時的なものに過ぎないのであって、全人類が自然抗体を保有できるまでは、戦いに勝利したなどとは言えるものではないと思う。自然抗体が出来上がった状態というのは、共存の考えが実現した時なのだと自分は思っている。

このような感染症との戦いは、結局は時間をかけた多くの犠牲者の積りの終に、全員が自然抗体を余裕するという形で、共存関係をつくり上げるということで終了するのではないか。戦いが終わったといっても、ウイルスの全てが根絶したわけでもなく、共存関係が破れた時には、必ず次の悪魔が出現するということになるに違いない。これは、全ての動物の持つ宿命であり、人間だからといって、避けては通れない道なのだと思う。

この問題と食器を水洗いだけで済んだと誤魔化したり、洗いものを布巾などで拭いたりする行為は、必ずしも同じ範疇で論ずることではないのかもしれないけど,やたらと科学の力を借りて微生物や超微生物を敵視して根絶することこそが衛生の基本だなどという考えは、危険千万ではないかと思うのである。家内が何とのたまわれようと、自分のこの信念は変わらない。

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