山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

誕生日

2013-12-20 07:12:17 | 宵宵妄話

  12月のことを暮古月(くれこづき)というらしい。これは陰暦の呼び方で、暮新月(くれしづき)といえば、それは正月をいうのだそうな。70数年も人間をやって来て、最近そのような呼び方があるというのを知ったのだから、遅れているといわざるを得ない。この頃の時代は昔というものをどんどん置き去りにして、先に行くのを急いでばかりいて、振り返ってつながろうという意識が全くないように思える。絆だのふれあいだの何だのと一方ではその大切さを騒いでいるけど、ほんの少し昔の時代とさえつながろうとしないのは、如何なものだろうと思う。ま、斯く言う自分自身も、うっかりすると生まれ育った昭和という時代を忘れてしまいそうになっている。過去の思い出に浸るのは老いた証拠であり、危険だとは思うけど、時代を忘れてしまうのはより危険なような気がする。

 12月は自分の誕生月である。この15日に早くも73回目の誕生日を迎えてしまった。還暦を過ぎてからは、誕生日が来るのをめでたいとかありがたいとか思ったことがなかったのだけど、この頃は少し考えが改まってきた。73回もの誕生日を迎えられるというのは、ありがたいことだと思うようになった。というのも、同世代の知人の中には、既に誕生日を迎えられなくなっている人もいるし、体調を崩して動くのもままならない人もいるからである。それが年々増えて来ているのを知る度に、糖尿病の病持ちとはいえ、特別な薬など飲まずに、それなりに毎日を動き回って過ごせている自分を、恵まれていると思うようになった。当たり前といえば当たり前なのかもしれないけど、懸命に努力しても病に取りつかれて身動きできなくなっている人たちのことを思えば、これはもう天に感謝しなければならない。そう思うようになった。

 TVの宣伝の中に、バイオリズムの一種なのか、歳回りに関わる体調のリズムについての中国古来の考え方として、男は8年毎に女は7年毎に変化の時がやって来るという紹介があるけど、あれは本当だなと思っている。特に還暦を過ぎてからは、8年という歳回りが体調に大きく関わっているのを実感している。先ずは64歳がその1回目、そして2回目は72歳ということになる。その第2回目を昨年経験しているけど、幸いなことに病や事故に関しては特段の出来事は無かった(前立腺がんの検査で引っ掛かったということはあるけど、先ずは安全レベルで落ち着いている)けど、体力というのか老化というべきなのか、己の身体の活力に関しては、段違いの低下現象を実感したのだった。

 少し体重過多の傾向があったので、4kgほど減量しようと食事制限などを行ったのだが、体重は予定通り減少出来たものの、身体の状況といえば、実際の減量の対象となったのは体脂肪に関わる部位ではなく、その殆どが筋力に関わる部分のようだった。簡単に言えば、腹の出っ張りはさほど変わらないのに、足回りや尻などの筋肉がガクンと減ってしまい、その分だけ活力が消滅したということである。その時に、老化というのは筋力が衰えることが最大の要因ではないかと思ったのだった。71歳の誕生日を迎えた時に減量への挑戦を決めて実践に取り掛かったのだけど、その1年後の昨年はそのあまりの酷さに大いなるショックを受けたのだった。それが8年という歳回りの年だった。

 それでも幸いなことに3月の半ば過ぎ、エベレスト登頂に80歳でチャレンジするという三浦雄一郎氏の話をTVで拝見し、その周到な鍛錬の在り様を知って、如何に筋力を鍛え、老いを食い止めるかというヒントを頂いたのである。糖尿病の宣告を受けて以降今まで、20年以上毎年万歩計で400万歩を超える歩きを実践して来ていたのだが、その程度の歩きでは筋力の老化を止めたり遅らせたりすることは出来ないのだと知った次第である。ただ歩くだけではなく、負荷をかけなければダメだと思ったのである。

 それで、早速三浦さんに倣って、リュックに10kgのアレイを入れたのを背負い、登山靴を履いた各足首に1kgのウエイトを巻き、両手に各1kg(時には2kg)のウエイトを持って歩くことを開始したのだった。早朝のあまり人に出会わない時刻に、約7kmを1時間半ほどの時間をかけて毎日歩き続け、その成果を確認するために、約40km離れた場所にある筑波山(男体山871m、女体山877m)に時々登ることにした(計12回の実績)のだった。勿論登山の際は負荷なしである。せいぜい5kgほどの荷物を背負う程度で、これは負荷とはいえない。

 これを開始してから9カ月近くが経ったが、その効果は絶大で、身体全体が締まって来たことを実感している。当初は登山の後にふくらはぎの痛みなどが残ったりしたけど、6か月を過ぎた頃からは全くそのようなことは無くなった。まだ実践したことは無いけど、日に2回の登山も可能ではないかと思っている。身体というのは、ただ動かすだけでは老化を防ぐことは出来ないのだなと実感している。鍛えなければダメなのである。しかし、鍛えるといっても壊れるほど入れ込むと逆効果になることは明らかだ。マイペースで筋力を使って汗をかく程度の鍛錬でいいのではないかと思っている。これで、72歳になってから急激に低下した筋力と活力の低下が少し止まったように思う。三浦さんに感謝、深謝である。

 これから先、誕生日というのは己の鍛錬の成果を確認しながら、PPK(ピン・ピン・コロリ)に向かっての自信を確認し、天に感謝する日となるのではないかと思っている。次の大きな波は80歳ということになるけど、しかしその前に突然大津波が押し寄せてくるかも知れず、油断をせずにちょっぴりきつさを味わいながら、動物としての鍛錬を継続して行きたいと思っている。今年の誕生日には、そのようなことを思ったのだった。

コメント
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