明易き みずに大魚の 行き来かな 龍之介
茶道具にも色々あるが
棚は実に嵩張る
特にわが家ては紹鴎棚の収納に困ってる
前に紫兎先生から譲って頂き
炉の季節に使ったが
日常に使えず
階段下の納戸に入れたり
障子の後ろの廊下に置いたり
出すのも大変
仕舞うのももっと大変
差し上げるからと言っても
お弟子様やお友達
快い返事はない
紹鴎棚はちょっとした家具
和室においても違和感無い
炉開きや初釜に相応しい
塗師は茶平一斎だし
良いものですよ
勧めるがなかなか
この棚は二年前の茶会で使ったあと
桐の箪笥のような外箱に入ったまま
四畳半の隅にずっと置いてある
その上には座布団やら紙袋
お習字の紙などなど山積みになっている
酷い状態だ
ダメもとで若いお友達のシモちゃんに声をかけると
欲しいと言う返事
気の変わらない内に
早くとりに来て と思っていたら
金曜日行きますと
ライン
今日の午後に車でやって来た
四畳半のにじり口の
戸を開けると
すぐ見える よしよし
上に乗ってるお習字の半紙と条副の用紙と
その上に乗ってる毛氈
そのまた上に座布団
取り退けて
いざ出そうとすると
なに 風呂敷が引っかかって出ない
包んであった風呂敷を取り去り
さあ出すぞとおもったら
重いのなんの
桐の箱の倹飩の蓋をあけ
なかの天板を抜く
地袋の襖と天板をはめる四本の
柱
それから長四角の棚を引き出し
桐の箱だけにして外へ持ち出す
これは軽い
後部の席には乗らない
車の後ろに開け口を上にし
分解した棚の内部を静かに納める
じたばたしてると
シモちゃんの車の後ろに
もう車が待ってる
焦る焦る
挨拶もそこそこ出発
手を振った
やれやれ
その後のもろもろも広がったまま
それはまたの日にしよう
まずはお菓子とお茶だ お茶