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「自助、共助、公助」の落とし穴

2021年12月20日 | 政治 経済
 「自助、互助、共助、公助」と言い、「個人や家族の力(自助)、隣近所やボランティア、NPOなどの活動(互助)、介護保険制度、医療保険制度など制度化された相互扶助(共助)、公的な制度による支援(公助)の連携によって解決していく」と定義する。さらに、「地域に住むすべての人が役割を果たし、行政などによるサービス提供だけではなく、地域の人たちがお互いに助け合い、支え合うことが大切」と主張する。
 ボランティアセンター等で活動されている地域住民の皆さんのボランティア活動には頭が下がる思いであり、敬意を表するものです。ただ国や自治体が、果たすべ本来の目的である「住民の福祉増進」の公的責任を後退させ、それを地域住民に肩代わりさせるような、憲法の諸規定に反する「新自由主義」的な誤った政策・宣伝は正さなければならないと考えている。
 国民健康保険制度、介護保険制度は相互扶助制度(共助)と定義しているが、国民健康保険法第1条は、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と規定。同法第4条では(国、都道府県及び市町村の責務)として「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるよう必要な各般の措置を講ずるとともに、第一条に規定する目的の達成に資するため、保健、医療及び福祉に関する施策その他の関連施策を積極的に推進するものとする。」と明記している。明らかに社会保障制度として国が健全運営に責任をもつべき制度である。
 介護保険制度では、介護保険法第1条で「国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。」と、「国民の共同連帯の理念」という文言で、国の責任である社会保障の理念を後退させ、曖昧にしている。
 憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 ② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」として、国民の生存権を保障し、介護保険等の社会福祉や社会保障などの向上、増進に努める責任を明記している。
「しんぶん赤旗」日刊紙に、12月に4回にわたって掲載された神戸大学名誉教授の二宮厚美先生の「社会保障と新自由主義」と題する連載記事では、「現代日本の新自由主義的改革は、『権利としての社会保障』を『共助・連帯としての社会保障』に転換」するとしている。そして、「本音は自助だけど、憲法があるから自助だけで通すことができない。そこで『共助、連帯、相互扶助』のような、権利性が不明確な理念への転換を図る。」として、自公政権の動きは、助け合いの社会保険制度を基本とする方向へ変質させることをねらっての「共助」であることを明らかにしている。
「地域福祉」にこの新自由主義的思想を持ち込み、地域住民の相互の助け合いを強調しながら、医療や介護など社会保障への国の責任は後退させる、「保険制度だから、給付が増大すれば保険料を自動的に上げる」━助け合いの共助だから、しかたがない━と保険原理で国民の社会保障の充実を求める声を抑え、「保険が赤字なら、給付圧縮、保険料値上げへ」と誘導する「自助、共助」であってはならない。
 高齢者の介護福祉は、もともと全額税金で賄っていた。これを今の介護保険制度を導入し、原則3年毎に保険料を値上げしてきた。給付サービスでは、「要支援」の方のサービスは市町村の総合事業に移し、サービスを大きく後退させ、今度は要介護1、2の方への介護サービスの切り下げをねらっている。
 「自助、共助、公助」を行政が声高に叫ぶときは、「公助は手抜き、後退、その分、地域住民で何とか助け合って」という意味にとらなければならないだろう。
 いま、軍事費(防衛費)予算は、過去最大の6兆円超え。自民党の総選挙向け政策では、軍事費をGDP比2%以上を念頭に増額を目指すと明記している。大企業や富裕層には減税し、格差を広げてきた新自由主義政策。
 この新自由主義路線にストップをかけ、税金の使い道、税金の集め方を国民本位に見直し、誰もが安心して暮らせる、希望のもてる社会に向けた民主的な変革が強く求められてる。


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