市立玉野市民病院と三井病院を組織統合して、「地方独立行政法人 玉野医療センター」の名称で発足。玉野市とこの地方独立行政法人が昨年(2024年)末に三井病院を閉院し、旧文化センター跡地に新病院を建設。「たまの病院」が今年1月上旬にオープンした。ところが、通院する患者等の話しでは、現在のところ評判はすこぶる悪い。
診察後の診療代などの支払いに時間がかかる。何時間も待たされた。病院入口・玄関まで大型のシーバスが入らない。駐車場が足りない。入院が必要な患者が、病床の空きがないため10名程度の入院待ちが発生している、などの声である。二つの病院組織を合併して、新病院を開院したばかりなので、一定の不具合があるだろうが、早急にこれらの不満、批判の声を取り上げ、修正・改善すべきだろう。しかし、根本的な問題での改善は、この病院統合・新病院建設計画に無理があったため、かなり困難ではないかと思っている。病床利用率が現在90%超となっていることが議会答弁で明らかになっているが、結局、国の言いなりに2つの病院を合併し、一気に119床もの病床削減を実施したことが、市立・公的病院である「たまの病院」のもつ根本的な矛盾である。市民・患者目線よりも、先に「統合ありき、病床削減・医療費削減ありき、財政効率化ありき」で突き進んだ矛盾がここにきて露呈しているのではないかと思う。
過去の市民病院の統廃合に係る議会発言を一部を再掲する。
令和3年度決算に対する反対討論の抜粋(2022年11月8日決算臨時議会)
認定第7号 玉野市民病院事業債管理特別会計決算についてです。
これまでも、市民病院と三井病院の組織統合と地方独立行政法人化の関連議案が提出されるたびに、その問題点を指摘し、反対討論をおこなってきました。自民党政府がすすめる地域医療構想による病院の統廃合と病床削減の押しつけ政策をそのまま受け入れ、市民病院の病床数を現状より38.5%、119病床も削減する新病院建設です。新型コロナ感染症への対応などますます医療体制の充実が求められているもとで、統廃合による病床の大幅削減と、独法化には反対するものです。しかも、統廃合し、新病院が建設されても、住民の切実な要望である、周産期医療や小児科医療の入院診療など、医療体制の充実はいまだにその見通しは不透明です。国レベルで医師数を国際水準まで増やすなど、政府の医療政策を抜本的に見直すことが必要です。以上の立場から本会計決算認定には反対します。 」
これまでも、市民病院と三井病院の組織統合と地方独立行政法人化の関連議案が提出されるたびに、その問題点を指摘し、反対討論をおこなってきました。自民党政府がすすめる地域医療構想による病院の統廃合と病床削減の押しつけ政策をそのまま受け入れ、市民病院の病床数を現状より38.5%、119病床も削減する新病院建設です。新型コロナ感染症への対応などますます医療体制の充実が求められているもとで、統廃合による病床の大幅削減と、独法化には反対するものです。しかも、統廃合し、新病院が建設されても、住民の切実な要望である、周産期医療や小児科医療の入院診療など、医療体制の充実はいまだにその見通しは不透明です。国レベルで医師数を国際水準まで増やすなど、政府の医療政策を抜本的に見直すことが必要です。以上の立場から本会計決算認定には反対します。 」
2021年5月 臨時議会での反対討論の一部抜粋
次に議案第41号、「地方独立行政法人 玉野医療センター中期計画」の認可にいて、反対します。
反対理由の第1は、中期計画前文には、「安心・安全な医療の提供・・・市民のための病院となるよう」明記しています。しかし、小児医療は、「入院診療の再開を目指す」とあるだけで、いつまでに、どのような取り組みを展開し、再開するのか具体的なことは何も示されていません。これでは地域で安心して子育てができる環境とはいえません。もっとも当初の新病院基本計画案では、小児科については外来診療のみの記載であり、議会・厚生委員会からの強い要請で、「入院診療の再開を目指す」という文言が書き加えられた経緯があるだけに、中期計画には、もっと具体的な方策と本気度を示すためも、計画期間中の再開へと踏み込んだ記述に改めるよう求めます。
第2に、入院患者数の令和6年度の目標指標に対して、令和元年度の2病院の入院実績患者数では、その差は実に13,800人。1日当たり38人もの市民が、入院ベット不足で入院できない深刻な状況が発生します。市民病院の入院患者の8割以上が70歳以上の高齢者・市民です。今後、10年以上は超高齢社会が続きます。これで安心・安全な地域医療とはなりません。在宅医療でカバーすると言いますが、令和6年度目標の訪問診療件数は、令和元年度の2病院の実績に比べ年間で34件増、訪問看護件数は年190件増だけです。これではとても病床不足を在宅医療等でカバーできる目標数値ではありません。この点でも安全・安心な医療の提供とは言えず、地域医療の弱体化をまねくことは明らかです。
第3に、令和6年度目標の病床稼働率89.0%の指標について、新病院190床の89%の病床稼働率だと、21床ほどしか余裕がありません。南海トラフ巨大地震発生の際の災害医療体制や、新たな感染症への対応などに、ほとんど余裕のない状況ではないでしょうか。
また、玉野市新病院基本計画に示された病院区分では、一般病床・地域包括ケア病棟はわずか50床、長期入院型の障がい者病棟と療養病棟は合わせて100床(90床)、回復期リハビリテーション病棟は50床です。一般病床の病床数が少なく、小児科の入院診療にも対応できません。市民の医療ニーズにこたえる安心の地域医療とは程遠いものではないでしょうか。
反対理由の第4に、中期計画の39ページ以降に令和3年度から令和6年度までの4年間の予算、収支計画、資金計画が記載されています。この計画通りに実施されれば一定の経営改善が図られ、新病院の開院に向けて経営基盤が確立できるという目標です。しかし、この計画を遂行し、目標を達成するためには、年次目標の明確化をはじめ、4半期ごとの評価、チェック体制と、時宜を得た課題・問題点の洗い出し、適切な改善策が求められますが、市長が任命する評価委員会の評価だけでは不十分であることは言うまでもありません。住民目線での評価、チェック体制、改善方策などは、議会の重要な役割です。法規定の範囲内でこの役割を果たすため、4半期ごとの経営状況を議会に示し、公表する必要があります。この中期計画には計画達成に向け点検・評価の方策が欠落しています。
最後に、国・県がすすめる医療費抑制策による地域医療構想が示す病床削減数を大きく上回る病床削減を押し進め、三井病院を玉地区に残してほしいと願う多くの市民の願いに背を向けて、三井病院つぶしに走り、地域医療を弱体化させる、このようは地方独立行政法人 玉野医療センターのあり方とその中期計画には賛成できません。
倉敷市、瀬戸内市など多くの自治体病院がそうであるように、新病院は公設公営で玉野市として150床程度で建設し、三井E&S企業立の三井病院は、会社の動向を見据えながら、中長期的な視点で、地域医療を守る立場から玉野市が必要な病床増築を検討すればよいことです。こちらから頭を下げて統廃合し、3年後に、三井病院の閉院を押し進めるなど、まともな市政がやるべき事ではありません。
何よりも市民への説明責任を放棄し、市民不在、市民合意なき、このような国いいなりの市政運営は許されません。大きなリスクを抱えた地方独立行政法人 玉野医療センターがスタートした以上、我が日本共産党市議団としては、より良い方向に、より市民の医療ニーズにこたえる、市民に信頼される公的病院になるよう、全力をつくすつもりであります。
以上理由から、本議案に反対するものです。
反対理由の第1は、中期計画前文には、「安心・安全な医療の提供・・・市民のための病院となるよう」明記しています。しかし、小児医療は、「入院診療の再開を目指す」とあるだけで、いつまでに、どのような取り組みを展開し、再開するのか具体的なことは何も示されていません。これでは地域で安心して子育てができる環境とはいえません。もっとも当初の新病院基本計画案では、小児科については外来診療のみの記載であり、議会・厚生委員会からの強い要請で、「入院診療の再開を目指す」という文言が書き加えられた経緯があるだけに、中期計画には、もっと具体的な方策と本気度を示すためも、計画期間中の再開へと踏み込んだ記述に改めるよう求めます。
第2に、入院患者数の令和6年度の目標指標に対して、令和元年度の2病院の入院実績患者数では、その差は実に13,800人。1日当たり38人もの市民が、入院ベット不足で入院できない深刻な状況が発生します。市民病院の入院患者の8割以上が70歳以上の高齢者・市民です。今後、10年以上は超高齢社会が続きます。これで安心・安全な地域医療とはなりません。在宅医療でカバーすると言いますが、令和6年度目標の訪問診療件数は、令和元年度の2病院の実績に比べ年間で34件増、訪問看護件数は年190件増だけです。これではとても病床不足を在宅医療等でカバーできる目標数値ではありません。この点でも安全・安心な医療の提供とは言えず、地域医療の弱体化をまねくことは明らかです。
第3に、令和6年度目標の病床稼働率89.0%の指標について、新病院190床の89%の病床稼働率だと、21床ほどしか余裕がありません。南海トラフ巨大地震発生の際の災害医療体制や、新たな感染症への対応などに、ほとんど余裕のない状況ではないでしょうか。
また、玉野市新病院基本計画に示された病院区分では、一般病床・地域包括ケア病棟はわずか50床、長期入院型の障がい者病棟と療養病棟は合わせて100床(90床)、回復期リハビリテーション病棟は50床です。一般病床の病床数が少なく、小児科の入院診療にも対応できません。市民の医療ニーズにこたえる安心の地域医療とは程遠いものではないでしょうか。
反対理由の第4に、中期計画の39ページ以降に令和3年度から令和6年度までの4年間の予算、収支計画、資金計画が記載されています。この計画通りに実施されれば一定の経営改善が図られ、新病院の開院に向けて経営基盤が確立できるという目標です。しかし、この計画を遂行し、目標を達成するためには、年次目標の明確化をはじめ、4半期ごとの評価、チェック体制と、時宜を得た課題・問題点の洗い出し、適切な改善策が求められますが、市長が任命する評価委員会の評価だけでは不十分であることは言うまでもありません。住民目線での評価、チェック体制、改善方策などは、議会の重要な役割です。法規定の範囲内でこの役割を果たすため、4半期ごとの経営状況を議会に示し、公表する必要があります。この中期計画には計画達成に向け点検・評価の方策が欠落しています。
最後に、国・県がすすめる医療費抑制策による地域医療構想が示す病床削減数を大きく上回る病床削減を押し進め、三井病院を玉地区に残してほしいと願う多くの市民の願いに背を向けて、三井病院つぶしに走り、地域医療を弱体化させる、このようは地方独立行政法人 玉野医療センターのあり方とその中期計画には賛成できません。
倉敷市、瀬戸内市など多くの自治体病院がそうであるように、新病院は公設公営で玉野市として150床程度で建設し、三井E&S企業立の三井病院は、会社の動向を見据えながら、中長期的な視点で、地域医療を守る立場から玉野市が必要な病床増築を検討すればよいことです。こちらから頭を下げて統廃合し、3年後に、三井病院の閉院を押し進めるなど、まともな市政がやるべき事ではありません。
何よりも市民への説明責任を放棄し、市民不在、市民合意なき、このような国いいなりの市政運営は許されません。大きなリスクを抱えた地方独立行政法人 玉野医療センターがスタートした以上、我が日本共産党市議団としては、より良い方向に、より市民の医療ニーズにこたえる、市民に信頼される公的病院になるよう、全力をつくすつもりであります。
以上理由から、本議案に反対するものです。