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顧客の声を傾聴する仕組みを構築する

『ソーシャルシフト』より

顧客の声のフィードバック・ループと社内対話ブラッドフォームを構築する。

顧客の声を経営に生かす。この発想自体は決して新しいものではない。「なぜ購入したのか?」「なぜ選択されなかったのか?」「生活者の潜在的な心理はどう動いたのか?」。これまでもマーケターは、顧客の購買動機を正確に把握するために、購買データやCRM、消費リサーチ調査などで購買心理を分析し、仮説・検証を繰り返すことでその粘度をあげる手法をとっていた。しかしながら、生活者の気持ちは移ろいやすく、附買助機を自ら意諏していないことも多い。静かなる多数の人々「サイレントーマジョリティ」の気持ちをリアルタイムに把握することは、マーケターにとって永遠の課題とも言えるだろう。

そこに登場したのが、生活者が友人と本音で会話するソーシャルメディアだ。そこで交わされている対話はリアルタイムでホットな情報であり、テキストや写真で可視化されている。さらに傾聴するだけでなく、企業から生活者に問いかけることも可能になったのだ。この絶好のチャンスを、企業は見逃すべきではないだろう。コカーコーラはFacebookに投稿される1日5000件の顧客の声を傾聴し、分析し、競合比較を行っている。スターバックスは顧客から投稿された10万件を超える商品サービスに対するアイディアに丁寧に応対、600件を超える改善を実施した。無印良品は生活者と知恵を出し合いながら新商品を開発、すべて大ヒット商品となった。ソフトバンクは1日2回、生活者がソフトバンクに関して発言したツイートを集約、数百件の「顧客の生の声」をその日のうちに関連部門に届けている。

ソーシャルメディアを通じて傾聴、対話した「顧客の生の声」を経営の核として捉え、全社を巻き込んで改善のフィードバッターループを構築すること。それは、ソーシャルメディア活用の中でも企業の体質改善につながる最も基幹的なアクションと言えるだろう。

「顧客の生の声」は、もちろんソーシャルメディアだけではない。実際には、店舗や営業窓口、カスタマーサポートなど、さまざまな顧客接点を経由してリアルタイムに生の声が届いている。残念ながら、今まで多くの企業は、顧客窓口を意図的にカスタマーサポートセンターに集中させ、コスト部門として効率化をはかり、トラブルやコストを最小限にするアプローチをとってきた。そこで集まった貴重な声も、分析結果などがセンター内に回覧されるにとどまっている企業がほとんどだ。自らの貴重な時間を費やして切実に訴え、一刻も早く改善してほしいという顧客の切なる願いを、多くの企業は封殺し続けていたと言っていいだろう。

これからは180度変わらなければいけない。企業にとって宝の山である顧客の声を、統合的に集約し、関連部門に積極的に配布するのだ。さもなくば、彼らの声はソーシャルメディアを通じて広く伝播し、ブランド価値に致命的な毀批を与えかねない。次ページの表には、主たる顧客接点における「顧客の声」の特性をあらわしたものだ。

この表にあるように、顧客接点ごとの「声の特性」を理解した上で、それをリアルタイムに集約し、関係部門に配布していく。センターに位置する「ソーシャルシフト推進室」、そして組織横断的な会議体である「お客様の声委員会」がこの重要なミッションをになうことになる。この委員会は、コンプライアンス上も監査室と同様に重要な位置づけであり、かつバリューチェーンに付加価値をもたらすプラス効果も期待できるため、社長直轄組織として位置づけることをおすすめしたい。

「お客様の声委員会」で集約された情報の配布先は社内全部門となるため、オープンの際には全社に対しての説明会が必要となる。また、これを機に社内を横断した対話プラットフォームも開設し、現場間の忌憚のない意見、情報共有をはかれる場を提供することが望ましい。この点については、すでに構築されているイントラシステムを利用するか、Facebookのグループ機能を利用するかなど、情報システム部門も交えて検討する。そして、適時お客様の声チームの機能と対話プラットフォームについての講習会を各部門で行うことも大切だ。
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