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監 一 第77号
平成22年3月26日
「らし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク」
「市民オンブズマン・ぎふ」
寺町 知正 様
岐阜県監査委員 野村 保夫
岐阜県監査委員 足立 勝利
岐阜県監査委員 帆刈 信一
岐阜県監査委員 水谷 雄二
岐阜県監査委員 神戸 正雄
住民監査請求について(通知)
平成22年2月12日付けの住民監査請求について、請求の内容を審査した結果、下記の理由により地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項に定める監査請求の対象に該当しないため、請求を却下する。
記
請求人は、大津地方裁判所平成21年1月22日判決を引用し、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、公安委員会、監査委員、労働委員会及び収用委員会(以下「委員会等」という。)の非常勤である各委員へ月額によって報酬を支払うと定める岐阜県各種委員等給与条例(昭和23年条例第48号。以下「給与条例」という。)は、法第203条の2第2項に反し、給与条例に基づく各委員に対する月額による報酬支払も法第204条の2の規定に反し違法であると主張しているものと解される。
住民監査請求が法の定める要件を満たしているといえるには、その請求の対象が地方公共団体の執行機関又は職員による違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担又は公金の賦課・徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「財務会計上の行為」という。)であることが必要とされている(法第242条第1項)。したがって、原則として条例そのものについては、住民監査請求の対象とはならないと解される。
しかし、条例に重大かつ明白な違法性がある場合には、それに基づく財務会計上の行為も条例の違法性を承継して違法となり、例外的に住民監査請求の対象となると考える(大阪高等裁判所平成4年3月24日判決参照)。
本件各委員は、執行機関の要請により調査し、諮問事項等に対して答申するような附属機関である審議会等の委員とは異なり、いずれも法令等に基づいてそれぞれ県の執行機関の委員として手続に関与し、自らの責任と判断において執行機関の意思決定を行っており、その職務及び責任は重大である。
また、定例又は臨時に開催される委員会等に出席するだけでなく、議案等に対し事前の準備、事務局等への指示並びに専門的見地からの調査、研究及び検討に従事し、任期中は常にその意思決定の過程及び職責に置かれている。
なお、非常勤の監査委員に関する裁判例では、「監査委員の職務の内容、職務上の義務及び地位等にかんがみると、非常勤の監査委員についても、その報酬をその勤務日数に応じて支給するものとせず、その職務及び責任に対する対価として、常勤の職員と同様に月額ないし年額をもって支給するものとすることは、不合理ということはできないのであって、条例で非常勤の監査委員に対する報酬を月額支給と定めること自体は、地方自治法第203条第2項ただし書の趣旨に反するものではない」と判示されている。(大阪地方裁判所平成18年7月7日判決、大阪高等裁判所平成19年5月30日判決も同旨。平成19年10月26日に最高裁判所にて確定)
以上のことから、委員会等の非常勤である各委員に対する報酬を勤務日数に応じて支給するのではなく、その職務と責任の重大さにかんがみ、その対価として月額で支給する旨を定めた給与条例の規定には一定の合理性があるといえ、法第203条の2第2項ただし書に基づき定められた本件給与条例の規定に、重大かつ明白な違法性があるとはいえない。
よって、本件請求は、例外的に住民監査請求の対象となる場合にも該当せず、法第242条第1項に定める住民監査請求の要件を満たしているとは認められない。
以上 |