Sunday Song Book #981

2011年07月31日 | Sunday Song Book

<07月31日プレイリスト>
[「ニューアルバム「レイ・オブ・ホープ」全曲特集 Vol.1」]
希望という名の光(PRELUDE)/山下達郎
NEVER GROW OLD/山下達郎
希望という名の光/山下達郎
街物語(NEW REMIX)/山下達郎
プロポーズ/山下達郎
僕らの夏の夢/山下達郎
俺の空/山下達郎
以上 8月10日発売ニュー・アルバム「RAY OF HOPE」

THE THEME FROM BIG WAVE(LIVE)/山下達郎
8月10日発売ニュー・アルバム「RAY OF HOPE」
初回限定ボーナス・ディスク「JOY 1.5」
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■内容の一部を抜粋
・近況
いよいよニュー・アルバム『RAY OF HOPE』の発売日が近づいてきて取材とプロモーションの真っ只中。そこにあろうことかまりやさんのレコーディングが入ってきたそうだ。

達郎 : CMがらみでございましてですね。今日締切。なので完全に前倒しで今日録ってます。ただでさえプロモーションというのは、ひじょうにこう、いろいろな細かいですね、ことを要求されますので、選曲やれとか、原稿書けとかですね、ありますので、そのうえにレコーディングをやっていて、ここはどこ?、私は誰? という感じでございまして。それでもあと10日で、わたしニュー・アルバム『RAY OF HOPE』発売になります。もうウェブなどでは「制作ノート」とかですね、ディーラーのインタビューとかそういうようなものが少しずつ出始めてる今日この頃でございますが。わたし、この番組もう20年近くやっておりましてですね、この20年で自分のもの、竹内まりやさんのもの出る度に全曲紹介というものをやってまいりました。今回もそれでいってみたいと思っておりますが、あの全曲紹介と申しましてもあくまでも予告編でございますので、くれぐれも詳細はCDでお聴きいただければなと切にお願い申し上げる次第でございます。あとですね、最近、ブログその他でですね、この番組の、わたしがみなさんにお話ししていることの文字起しされてる方が全国に何人かいらっしゃいます。いつもはとってもありがたいと思ってるんですが、今週来週のアルバムのこの全曲紹介に関しましてはですね、できればアルバム発売日後までお待ち願えればと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。

・ニュー・アルバム『RAY OF HOPE』
達郎 : 前作『SONORITE』から6年ぶりのアルバムとなります『RAY OF HOPE』。当初は昨年、『WooHoo(ウーフー)』というタイトルで発売しかけたんですが、一回延期しまして、その間に大災害が発生しましたのでタイトルを『RAY OF HOPE』と変えました。

・希望という名の光(PRELUDE)
達郎 : 今回は『RAY OF HOPE』というタイトルですが、これはもちろん昨年のシングル「希望という名の光」のタイトルから取ってきたものであります。この曲が今回の『RAY OF HOPE』というアルバムの中心になってる発想でございます。それを象徴させるためにイントロとアウトロ、導入部とですね、一番最後に「希望という名の光」のアカペラのプレリュード、そして一番最後にポストリュードというですね、前奏後奏に短いアカペラを入れております。これを挟むことによって、ちょっとコンセプチュアルな匂いを出したいという感じでございます。それに続きまして登場しますのが「NEVER GROW OLD」という、昨年の三ツ矢サイダーのALL ZEROのCMに使われてた曲のフル・ヴァージョンであります。ここ曲が続いておりますので続けてお聴きいただきます。1曲目が「希望という名の光(PRELUDE)」それから「NEVER GROW OLD」。2曲続けてどうぞ。

・NEVER GROW OLD
達郎 : 「NEVER GROW OLD」というのは「決して古びない」というそういうような意味でございますが。僕、昔からこの言葉の響きがすごく好きで、いつか「NEVER GROW OLD」というタイトルで作ってみたかったんですけど、ちょうどチャンスができました。二十歳前後の頃に、僕、ブリティッシュ・トラッドとかアイリッシュ・フォークをけっこう聴いていた時代があって、そういう響きがすごく好きでしてですね、なのでU2みたいな音楽はすごく好きな響きなんですが、そうしたアイリッシュ・フォークの調整が弱い、希薄なコード感にバリー・ホワイトみたいにビートを乗っけて作ってみたいなと思って、昔から考えていましたのでそれが今回実現できております。

・希望という名の光
達郎 : 続いてはタイトル・ソングの『RAY OF HOPE』、「希望という名の光」。昨年のシングルでありますが、映画『てぃだかんかん』のテーマであります。もともとは沖縄のサンゴの養殖を腐心してなさった方の実話の話ですが、その夫婦愛を描いた映画であります。当時もやっぱりリーマン・ショックから後のですね、経済的な不況が日本を覆っておりましたので、この映画のスタッフもそうした世の中の沈んだ空気をですね、そうした映画で力づけようという制作意図で作られた映画ですので、私もそうしたものへの応援歌というかたちで「希望という名の光」というのを書きましたが。今回の大震災の後にですね、特にラジオ・ステーションでこの「希望という名の光」がけっこうオンエアされましてですね、私もその後オンエアしてましたけれども、それで当初発表したときと若干違ったニュアンスが曲についてきまして、歌というのはほんとうに不思議なもので一旦世の中に出ますとですね、自分の手から離れていろいろな人の思いといったものがそこに堆積されていくといいましょうか、一種の共同意識というか、そういうものが歌に込められていく結果ですね、作った人間すら想像し得なかった新しい響きというのが、ニュアンスというのがそういうのが出る、不思議なこれも一曲になりました。私の人生ではいちばんそれが極端な例が「クリスマス・イブ」という曲ですが、歌というのは本当にそういう意味では出た瞬間に人の手に渡るという、そういうことを今回も痛感した一曲。「希望という名の光」。

・ニュー・アルバム『RAY OF HOPE』2
達郎 : 前作『SONORITE』から6年経ちました。その間に竹内まりやさんの『DENIM』というアルバムをやりまして、それからツアーを2シーズンをやりました。当初は昨年の9月に発売する予定でそのときはタイトルが違っておりまして『WooHoo(ウーフー)』というタイトルになっておりました。その時代もほんとうに不況でですね、僕の、特にライヴのお客さんというのが大体メインが四十代の方々なんですが、いちばん四十代の男性というのが中間管理職、リストラの対象とかですね、仕事の、そうした不況(の影響)をモロに被ってる人たちなので、そういう方々の空気というのをここ数年間強く感じておりましたので、そういうことを明るく笑いのめすような、そうしたアルバムにしたいなというものなので『WooHoo(ウーフー)』というちょっとナンセンスなタイトルを付けました。アルバム・カバーも今とは違っておりまして、楽器をコラージュして作ったジャケットなんですが、当初はこれ、人の顔だったんですが、もうちょっとコミカルな「笑い顔」を楽器でコラージュしたものなんですが、今回の震災がありまして、考えをちょっと変えまして「手」に変えまして、それでタイトルを『RAY OF HOPE』と変えました。今回の災害がなければそのまま『WooHoo(ウーフー)』のタイトルで出たと思いますが。そういう意味ではいろいろなマイナー・チェンジがありまして、曲も入れ替えて、若干変えました。詩を若干手直しした曲もあります。さっきの「NEVER GROW OLD」も若干詩を手直ししたりしました。そういう意味では今の何と言いましょうか、震災後の状況に少しでも合わせたい意図でそういうことをいたしました。なるべくネガティヴな歌だとかですね、ロストなそうした歌は外しましてですね、けっこう気に入った曲があったんですが次の機会にということでした。

・街物語
達郎 : 今回はタイアップ・シングルがお陰様でたくさんあります。耳馴染みの曲がたくさんありますが、特にバラードが多いので全体的には、結果的にはひじょうに落ち着いた感じになっております。内省的な感じになっておりますが。次にお聴きいただく曲は珍しくその中ではミディアム・アップの一曲であります。2010年、やはり昨年発売されました、TBS系の日曜劇場というドラマの『新参者』という東野圭吾さんの小説のドラマ化ですが、これの主題歌で出ました「街物語」という一曲であります。これも僕、番組でずっと申し上げたので、繰り返しになりますが、ドラマの舞台が東京の人形町でありまして、人形町のそうした下町の情緒というか、そういうものを空気感として歌に込めたいなということがありましたので、二日ほどそこロケハンしましてですね、空を見上げるとちっちゃな空なので、そういうのが言葉に、詩の端はしに反映されております。自分ではこれは曲よりも、意外と詩が自分では気に入ってる曲でありましてですね、そういう若い男女の出会いと別れというそういうようなものがテーマでありますけれども。今僕はもうずいぶんと年を取りましたけれども、今の若い人たちの恋心というのは我々の若い頃とそう大して違わないんだなというようなことを感じながら作った一曲です。「街物語」。今回アルバム用にリミックスしました。ちょっとだけ迫力が増してます。

曲をかけ終えて。
達郎 : 「街物語」。昨年のツアーでも演奏しましたので、なんか去年のシングルという感じがしませんけれど、ずいぶん昔の曲のように感じてしまいますが(笑)。それはこれもたぶん震災が挟まれてるので、すごく昔が遠く感じられるのだと思います。同じ夏でも昨年の夏と今年の夏が全然違いますがですね。精神的な問題で人の心というのは不思議なものだと思いますが。それでも歌は歌なので歌に責任はないということで。「街物語」でした。

・プロポーズ
達郎 : オリジナル・フル・アルバムとしては13枚目のアルバムになります。ここ20年で『ARTIZAN』から数えますと全部6,7年ペースでありますので、20年で4枚(笑)、ですが、あいだに竹内まりやさんがあるので、それが二人分という感じなので、まぁ、こんなものかなと。通算ですと『ON THE STREET CORNER』など企画もの入れますと22枚目になります。まぁ、多いか少ないかという感じでございますが。お次の曲、これはまっさらな新曲であります。このアルバムで初めて発表する曲でありますが。「プロポーズ」という、なんで58の人間がプロポーズの歌なのかと仰るかもしれませんがですね。私のオフィスとかレコード会社の現場スタッフ、男女ともですね、三十代前後のスタッフが多くて、いわゆるアラサーなんですが、私のファンクラブをやってる女性が28のコですけれど、このほどめでたく結婚して寿退社をするというですね。そのコが10年近く勤めてくれたコなので、まぁ自分の、とにかくこどもくらいの年齢のアレなんですが、もう結婚して寿退社なんですが、その旦那さんが彼女にプロボーズしたときの話というのがとても素敵でですね、この歌の内容みたいな感じじゃないんですが、それでもそういうこう、私たちが30ちょっと前くらいに感じた、そうした結婚するときの、そのメンタリティとかそういうものとですね、あんまり変わってないというですね、人間そんなに10年や20年で変わらないんだなというようなことをですね、感じつつ、でもそうした30歳前後の人のフレッシュな人生の、これからはじめるというそういうものが、僕なんかには新鮮に映りましてですね、そういうことに対するトリヴュート・シングルといいましょうかですね、そうした意味合いで書いた一曲であります。「プロポーズ」。

曲をかけ終えて。
達郎 : コード進行が好きでですね、数年前にまとめたくていろいろやったんですが、なかなか詩がまとまらなくてですね、ずっとあっためてたんですが、今回そういうエピソードがちょうどあってですね、こりゃいいやというそういう感じでございます。

・JOY 1.5
達郎 : 初回限定盤にボーナス・ディスクが付いております。ライヴ・テイクでございますが。'90年代のあたまくらいからのシングルにカップリングでライヴ・テイクを入れるというのがずっと続いておりますが、特にマキシシングル以前の細長いCDシングルの時代のソースというものが、ほとんど全部シングル自体が廃盤となっておりますので、カップリングも歌も今聴くことができません。ので、それを21世紀型のですね、新しいリマスタリングで、なめらかな音でリマスターして、それをまぁみんなまとめて、ボーナスCDとして付けちゃおうという。それが初回限定盤のボーナス・ディスク『JOY 1.5』という、1989年に出しました『JOY』というライヴ・アルバム、そのあとの『JOY 2』がまだ出ませんのでですね、あいだのつなぎでございます『JOY 1.5』。本当は『JOY 2』出すときにですね、これをボーナス・ディスクで付ければいいんですがですね。とにかく今はオマケがないと駄目な時代でございまして、早くオマケつけろ、オマケつけろばっかりで、レコード会社もですね、しょうがないので。私は実を言うとオマケがあんまり好きじゃないので、でもしょうがない。商売なので(笑)。へへへ。こういうかたちのライヴ・ソースがいいかなと。これをここに入れとくと今度は『JOY 2』を出すときに違う曲をやれるので、いろんなソースが出るというそういうメリットもございます。ライヴ・ソースが7曲入っております。

・『RAY OF HOPE』発売記念シアター・イベント「Joy 1.5 ~THE MOVIE」
達郎 : 初回限定盤についております『JOY 1.5』を映像でご覧いただこうという企画であります。これ私自身も参加してトーク・イベントとか、そういうようなこともやってみたいという企画でございます。『RAY OF HOPE』初回限定盤もしくは通常盤の初回プレス分の帯があります、帯の裏にですね、シリアルコードが記載されておりまして、それを使ってPCもしくは携帯電話から入力してご応募いただくシステムであります。それで抽選で全国の6ヶ所、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡、東京というスケジュールで、6ヶ所でシネコンを使って開催いたします。ちょっと動員が少ないんですが、シネコンというのは、普段の、通常営業のあいだを縫っていくので、なかなか動員が確保できないんです。今回はあくまで実験なので音響とかですね、どれくらいになるか、実験の意味もありますので、今回はあくまでお気軽な気持ちで、恨みっこなしといいましょうか。で、来ていただくお客さんも一種の実験台で、人身御供というそういうニュアンスも大きいので、あまり深いことお考えにならないで。うまく機能すればそういうことを増やしていこうという企画なので、何卒ご理解ならびにご協力のほう宜しくお願いします。
http://wmg.jp/tatsuro/event.html

・僕らの夏の夢
前半の曲はほとんどですね、生ドラムと生ベースがほとんどであります。シンべでもやってますがドラムは生が、前半は続くというですね、久しぶりのそういう作品にできました。小笠原拓海くんという若いドラマーが、もうここ3年くらいずっとやってますが、いよいよレコーディングの世界でもデビューであります。彼が一番最初に僕のレコーディングに参加してくれたのが次の「僕らの夏の夢」という2009年のシングルでございますけれども、先週もおかけしましたが(笑)、映画『サマーウォーズ』の主題歌でありました。本当にこの『サマーウォーズ』というのは素晴らしいアニメで、僕のところにオファーをいただいて本当にありがたかったんですけれども、お陰様でいい曲が書けたと思います。この曲は自分じゃとっても気に入ってる一曲で、山の中の夏の歌なので、蝉しぐれというものが山の中では、特に信州とか行きますとですね、蝉しぐれが響いてるんですけれども、それでも一瞬そういう音が聞こえなくなるような瞬間というか、そういう静謐さが日本の山の夏にあるような気がいたしまして、そういう静謐さを曲にしたくて作った歌です。このシングルが出たときにさんざんそういうご説明はしましたけれども、またアルバムのながれの中でお聴きいただくとまた違う感じがしていただくんじゃないかと思います。「僕らの夏の夢」。

曲をかけ終えて。
達郎 : こうしたシングルの既発曲というのはですね、アルバムで並ぶとまた違う感じになるというのがですね、僕らはやっぱりアルバムを主体に物事を作って考えてきた人間なので、最近やっぱりシングル=レコードに戻りつつあるのでですね、既発曲が多いとすごく文句を言われるんですが、僕らはやっぱり既発曲がアルバムに入るとまた違うニュアンスになるという、それがすごく楽しみといいましょうかですね、並べ方。ですからバラバラで聴かれるとすごく困るという。ながれがすごくアルバムにはあるのでCDになるとそういうながれが作りにくくなるというそういうこともありますがですね。でも、まぁ、まだパッケージが続く限りはそういうことをアルバムという、僕たちの中のひとつの価値観というものを作っていきたいといったようなかたちでアルバムを作っております。今回は特にシンガー・ソングライター的なアプローチが多くて、作家性が低いアルバムなので、特に今回はながれというものを重視して制作しているつもりであります。

・俺の空
達郎 : 今日の一番最後の曲は7曲目に入っております「俺の空」という曲なんですが。「オマエは本宮ひろ志か」とかそういうお葉書をいただきましたが、違います。これはシャレです。ひさびさの曲調でありまして、ようやくこういうのがプロ・ツールスでやれるようになったということでお聴きいただければというかたちで。今日はその本編の最後でございますが。いわゆるファンクの曲でございますけれど、最近のヴォーカル・エフェクターの種類にオート・チューンというものがあります。いちばん有名なのがPERFUMEとかですね、あとLADY GAGAとかああいうところのケロケロ声になるやつですが、あのオート・チューンを使ってなんかやってみたかったんです。そっから発想しまして、それだったらやっぱりファンクしかないだろうと。「HEY REPORTER!」とか「"QUEEN OF HYPE"BLUES」とかああいうのしかないだろうという。ファンクの曲を作りましてメロディを考えて、どういう曲の内容にしようかと考えたときに、最近もうとにかく東京の街というのは高層マンションが林立、すぐ建つんですよね、それで家の前にいきなり高層マンションが建つところがありまして、そうすると空が真っ二つになるんです。今まで見えたものが見えなくなる一生。そういう無定見な都市政策の怒りを込めて詩を考えました。「俺の空」。

曲をかけ終えて。
達郎 : ここが折り返しで後半になります。この続きは来週お聴きいただきたいと思います。

・THE THEME FROM BIG WAVE(LIVE)
ボーナス・ディスクの『JOY 1.5』の1985年の神奈川県民ホールのライヴから「THE THEME FROM BIG WAVE」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

■今後の予定
08月07日は引き続き、ニューアルバム「レイ・オブ・ホープ」全曲特集
http://www.tatsuro.co.jp

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