THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #13

2020年09月25日 | Motoharu Radio Show

第13回:特別番組 佐野元春を巡るキーワードとともに
M1 佐野元春 with THE HEARTLAND「雪-あぁ 世界は美しい」
M2 佐野元春 with THE HEARTLAND「レインボー・イン・マイ・ソウル」
M3 佐野元春 & THE COYOTE BAND「純恋(すみれ)」
M4 佐野元春 with THE HEARTLAND「サムデイ」
M5 佐野元春 with THE HEARTLAND「ダウンタウンボーイ」
M6 佐野元春 with THE HEARTLAND「Sweet 16」
M7 佐野元春 & THE COYOTE BAND「君が気高い孤独なら」
M8 佐野元春 & THE COYOTE BAND「エンタテイメント!」
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■内容の一部を抜粋
・ALTERNATIVE EDITION
最終回になる今週も先週に引き続いてFM COCOLOのDJ、野村雅夫さんをゲストに迎えて10月7日に同時リリースされるベスト・アルバムの特集。

■鉄腕アトム
元春の子どもの頃のヒーローが鉄腕アトム。手塚治虫作品は少年雑誌の連載を毎月読み、テレビ放送は「リボンの騎士」とか「ジャングル大帝」、いろいろあるけれど、手塚治虫作品となると何でも見ていたそうだ。子どもの頃はアトムに自己同一視していてたとか。

雅夫 : 今、髪型も若干、アトム化しているところもありますけれど、昔の佐野さんに比べると(笑)。ふふふ。
元春 : そうだね(笑)。あのね、年恰好が同じだったので、アトムが喜んだりとか悲しんだりするのと一緒に、自分も喜んだり悲しんだりしていたんですよね。特に鉄腕アトムが抱えてるストラグルというのは、人間になりたいんだけれど、いつまで経っても人間になれない、そこのジレンマ、ずっと抱えてるんですよね。手塚治虫さんのマンガっていうかな、作品で感心するのは、ただのサイエンス・フィクションではなく、人間が描かれてるということですよね。鉄腕アトムを巡る家族の問題とか友だちの問題とかね。そういうすごく人間的なことをテーマにして、で進んでいく。だからとても身近に感じる、と同時に未来ってどうなるんだろうっていう、そういうサイエンス・フィクション的な興味も満たしてくれる。当時いろいろとマンガ他にもありましたけれども、手塚治虫さんのマンガっていうのは僕にとって特別でした。

・雪-あぁ 世界は美しい
野村雅夫さんが初めて読んだ手塚治虫作品が「ブッダ」。元春も大人になってから「ブッダ」を読んで感銘を受け、「ブッダ」からインスパイアされて書いた曲が「雪-あぁ 世界は美しい」。手塚治虫さんに「ブッダ」が映像化されるときに使ってもらおうと思って書いたが、その年に手塚治虫さんがお亡くなりになり夢は叶わなかったという。

■夢
長いツアーがはじまる直前に見る夢があるという。ステージに出てゆくと観客が誰もいない。えっ! と思ったところで目が覚めるそうだ。今は見なくなったが40代ぐらいまでは毎回ツアーがはじまる前にその夢を見ていたとか。あるときヴァージョンが変わって、広い会場のど真ん中に双子の女の子だけがいる夢を見たこともあるという。

雅夫 : おもしろいのは寝てるときに見る夢は、これは自分でコントロールできないんだけど、起きてるときに描く夢っていうのも同じワードで、大体の言語で同じじゃないですか? こっちはまだある程度コントロールできるじゃないですか? おもしろいですよね、おんなじ言葉を使うっていう。
元春 :そうですね。現実で見る夢っていうのはあこがれなどを含んだ夢ですよね。確かにね、コントロールできないからこそ夢だという言い方もできるしね。
雅夫 : 描いても届かないし...
元春 : 届かない。だから夢ということなりますね。
雅夫 : なるほどなぁ。でも夢、その描かなったら、当然叶う叶わないっていうこと自体もないし...
元春 :そう思います。やっぱり夢を見ることができるのは僕たち人間の特権だと思うんですよね。夢見ることをあきらめてはいけないし、それを否定するのもおかしいし。夢見ることで明日にまた向かっていけるという活力にもなりますからね。
雅夫 : 迷ったときの羅針盤にもなるし。じゃあ夢からどの曲行きますか?
元春 : そうですね。ではこの曲を聴いてください。「レインボー・イン・マイ・ソウル」。

・レインボー・イン・マイ・ソウル

■パートナー
プライヴェートでも仕事上のパートナーでも共通していえるのは夢を共有して並走していける相手。人は一人ひとり完璧ではないから補いながら前進する。補いながら前進するには自分が不完全であることをどこかで認めないと相手が見つからない、と元春。バンドもそういうことで、バンドはひとつのヴィジョンに向かって音を出して、だんだんひとつにまとまってゆく。そこにはマジックがあるし、そのマジックが訪れる瞬間は必ずあるそうだ。プライヴェートのパートナーは自分が不完全であることを認めたところから関係をはじめる。何が互いに補えだえるだろうか、それで一人ではたどり着けないところに一緒に行ける。それは往々にして大人になってパートナーを得るのはそういうことだと、だんだん学習するもの。十代の多感な頃は理屈抜きで直観で相手を探すことも大事だと元春。

・純恋(すみれ)
ラジオを聴いてる十代の男の子たちに捧げたい曲。

■スタイル
スタイルは生き方に関係するもので、「君自身のスタイルを持ちなよ」と言われたときがあり、「僕自身のスタイルって何だろう?」ってことからスタイルというものが身近なものになったと元春。スタイルは意識して得られるものではなく、一所懸命やってるうちに何となく形作られてくるもの。言葉を変えると個性にもつながる。その人なりの個性を発揮するということ。

・SOMEDAY
「デビューしてこの曲でようやく僕のスタイルっていうのを世間の人たちが認めてくれたのかな」と元春。

■ルーティーン
最近の元春のルーティーンは朝起きてすぐに詩を書くこと。朝はインスピレーションが冴えているのでクリエイティヴ・ライティングに適しているのだとか。以前は夜に詩を書いていたそうだ。ルーティンを決めて生活すると楽だしごちゃごちゃ考えなくて済むけれど、反対に面白みがなく刺激もない。元春はそれを良しとせず日々は違っててほしいと思うのでルーティン化するとそれを壊すとか。

・ダウンタウンボーイ

■あこがれ
野村雅夫さんの持ち込みのトピック。あこがれの人は音楽に限らず持っているという。多感な頃にあこがれを持ち、時代が経ってもずっと変わらずに持ち続けているそうだ。「何か迷ったときには寄って立つ存在というのは心の中にあっていいと思う。それがあこがれの存在ということじゃないかな」と元春。

・Sweet 16

■孤独
このトピックも野村雅夫さんの持ち込み。「似たような言葉に孤立というのがあるんだけれど、孤立はよくないけれど孤独というのは僕は悪いものじゃないと思っている。孤独は人を強くさせる」と元春。「孤独というのは自分を強くさせるけれど、孤立というのは他を排除してしまう。だからこれはよくない。その違いがあるかな」と元春。

・君が気高い孤独なら

■ラジオ

雅夫 : ラジオの話も何度か出てきましたけれど。改めてラジオについて話したいんですよ。佐野さんはFEN聴いたりとか、リスナーでもあって熱心に。やがてDJとして、Motoharu Radio Showも正にそうですけれど。何が好きですか? ラジオは。
元春 : 自分が気に入った曲をみなさんに紹介できて、そして「みんな、どう?」って問いかけができるところが楽しい。
雅夫 : そうですよね。聴くほうはどうですか?
元春 : 聴くほうはね、何か新しい視点を投げかけてくれるとハッとしたりするし、彼がかけてくれる曲に何か刺激を受けたりするとすごくうれしい。で、そういうなんていうかな、やっぱりDJって、なんか僕にとってはかっこいい存在なんですよ。
雅夫 : はぁー。そう言っていただいただけで本当にねぇ、みんな忘れてるんじゃないかな(笑)。
元春 : ただ喋ってる人じゃなくて。僕にとってなんかかっこいい存在ですね、DJというのは。なんでそんなすごくいい曲知ってるんだろうとかね、それから日常のことをお話しするんでも、わっそんな視点は僕持ってないなぁ、楽しいなぁとかね。そういうちょっと変わったパースペクティヴを与えてくれる存在。それがDJですね。
雅夫 : NHKのときにね、佐野さんがやっていたときに、僕聴いてて。リスナーからのね、投稿に対して、遠く離れた友だちもこの放送を聴いてるっていう投稿があって、それに対して佐野さんがちょっとコメントしていたときに、それを僕も当然聴いてたわけですよ。誰かよくわかんない、例えば四国の人が。で東京から佐野さん放送してて。でメッセージ読んでて。それを僕関西で聴いてるっていう。こんなのあり得ないじゃないですか、普通だったら。テレビでもできないですよ、こんな。そんな小っちゃいこと扱えないしっていう。なんか今の話聴いてても、あの夜のことを僕は思い出したというか。
元春 : ラジオを聴くというのは、DJとすると聴き手である自分が一対一で向かい合ってるでしょ。だからそこに親密な関係というのができるはずなんですよね。しかも信頼してるDJであればなおさらのこと、自分の部屋でそのDJと向かい合って、何か時間を過ごしてるかのようなね。そうするとなぜかそのDJは僕の悩みとか僕の喜び、哀しみ、喜怒哀楽をもしかしたら感じ取ってくれて、だからこの曲をながしてくれたのかなとか。まぁ空想かもしれないんだけれども、そういう素敵な関係を結ぶことができる。それが素敵だと思う。
雅夫 : 最終回じゃないですか。
元春 : はい。
雅夫 : 最終回になぜこの話をしてるって、また戻ってきてくださいよ。ふふふ。
元春 : そうだね。この、何月からはじめた? 7月くらいからはじめたのかな? すごく楽しかった。で、Motoharu Radio Show、ずっといろいろステーションを変えてね、もう考えてみれば40年間あちこちでやってきた。しかもジングルなんかも(笑)、全くおんなじの使って。でね、すごく光栄だって思うんですよ。Motoharu Radio Showっていうかたちを認めいていただいてね、やってみないかと声をかけていただいた。なのでこの7月からの何回か、12回、13回かな? はすごく楽しかったです。リスナーのみなさん、聴いてくれてどうもありがとう。
雅夫 : ですね。やぁ、もうやっていただいてどうもありがとうです。
元春 : あぁ。
雅夫 : ふふふ。じゃあ、この話の後何聴きましょう?
元春 : そうですね。では僕の新しい、コヨーテバンドと作った、新しいこの曲を聴いてください。「エンタテイメント!」。

・エンタテイメント!

雅夫 : あぁ、終わってしまいますよ、佐野さん。
元春 : そうですね。
雅夫 : THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。ありがとうございました。なんかお邪魔させていただいて。
元春 : やぁ、こちらこそ。
雅夫 : すごい楽しかったです。
元春 : 7月からはじめて、最初はもちろん僕がDJやってたんですけれども。先週、今週とね、楽でした。
雅夫 : ははははは。そういっていただけると何よりです。でも僕は今日とそれから先週は割とざっくばらんにお話ししてますけれど、あのもっとソリッドにLess Talk, More Musicっていう感じで。しかもここっていうタイミングで曲を切り替えられていくっていうのは、僕にとってすごい刺激になりましたし、本当に楽しかったです。で、先週、今週とまぁ、選曲を僕らのトークから直接的、間接的に、リスナーの想像力、刺激できてたらよかったと思うんですけど。かけてきたのはベスト・アルバム。いよいよ10月7日ですね。同時リリースということで、今回はエピック・レーベル時代のものと、それからディジーミュージック、コヨーテバンド。コヨーテバンドとして初のベストですよね。
元春 : 1980年にレコード・アーティストとしてデビューしてますが、そこから2020年の、今までの作品の中から選んだ曲をまとめた。これがふたつのパッケージで同時に出るということになりました。
雅夫 : ジャケットも相当なこだわりですから、これ普通ならなかなかできないですよ、レーベル越えて、ねぇ。
元春 : そうなんです。僕のファンの人たち、リスナーの人たちは僕のこれまでの音楽をまとめて聴いてくれるチャンスがありますから。パッケージのほうもね、書籍で言うと上巻下巻みたいな感じで作りました。
雅夫 : 今、2020年に聴いてほしいサウンドにまたなってますし、それから並びも含めて細かく、もう今ここで全部喋れないんですけど、細かくチューニングされてますんで。是非。
元春 : これまで僕の音楽を聴いてきてくれたファンの人たちだけではなく、新しい音楽リスナーの人たちにも聴いてもらえたらいいなと思います。
雅夫 : もちろん、そうですよね。僕も自分の番組で積極的にまたオンエアしていきますんで。佐野さんこれからもよろしくお願いします。
元春 : よろしくお願いします。うれしいです。
雅夫 : じゃあ、本当に終わりだ。やぁ、また戻ってきてください。FM COCOLO、THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。ALTERNATIVE EDITIONとして先週と今週はお送りしました。僭越ながらご一緒したのは、あの、野村雅夫でした。ありがとうございました。
元春 : そして佐野元春でした。またいずれ。
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