第4回: 「Nothing But Pop ~何はともあれポップ~」
M1: Stevie Wonder/ My Cherie Amour
M2: The Bangles/ Manic Monday
M3: Prince/ Take Me with U
M4: Bette Midler/ Teach Me Tonight
M5: Bette Midler/ Mr. Sandman
M6: Wonder Girls/ Nobody (English Ver.)
M7: Bananarama/ Shy Boy
M8: Fine Young Cannibals/ She Drives Me Crazy
M9: 佐野元春/ 君がいなくちゃ
M10: Jamie Cullum/ These Are The Days
M11: Ben Sidran/ Song For A Sucker Like You
M12: The Blow Monkeys/ It Doesn't Have To Be This Way
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは佐野元春です。そろそろ梅雨が明けて夏。楽しく行きたいですね。今夜のテーマはNothing But Pop。何はともあれポップ。この夏に向けてみなさんの体温がちょっぴり上昇する、そんなポップ・チューンを集めてみます。「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。DJ、佐野元春でお送りします。
・My Cherie Amour
スティービー・ワンダーの60年代の名曲「My Cherie Amour」。「泣く子も黙る名曲というのはこんな曲のことを言うんじゃないでしょうか」と元春。
・Manic Monday
80年代のガール・グループ、バングルス。1986年の「Manic Monday」。"月曜日の朝起きて、あぁ、まだ日曜日の朝だったらいいのになぁ"、と歌っている。
・Take Me With U
バングルスの「Manic Monday」を書いたのはプリンスで同時期にヒットしていたのが「Take Me With U」。
佐野元春 : 僕は実を言うとカヴァー曲というのはあまり興味がないんです。やはりオリジナルを超えるというのは相当大変なことではないかと思うんですね。ただこのシンガーのカヴァー・レコードはちょっとまいってしまいました。ベッド・ミドラー。歌のうまさには定評のある実力派のシンガーです。そのベッド・ミドラーが往年のガール・グループのヒット曲だけを集めたカヴァー・レコードを出しました。タイトルが『It's The Girls』。「これが女の子というものよ」、そんなニュアンスでしょうか。アルバムではロネッツ、シュレルズ、エクサイターズ、そしてシュープリームスといった50年代、60年代に活躍したガール・グループのヒット曲がたくさんカヴァーされています。正にNothing But Pop。今夜のテーマにぴったりのレコード。ベッド・ミドラーの歌声、さっそくここで2曲聴いてみたいと思います。この曲はスタンダード・ナンバーですね。これまで何人ものシンガーが歌ってきました。50年代の曲です。「Teach Me Tonight」。そしてこの曲オリジナルは50年代のガール・グループ、ザ・コーデッツ。1954年のヒット。曲は「Mr.Sandman」。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の中で使われていました。あっこの曲知ってるという人もいると思います。ベッド・ミドラーのレコード、2曲続きます。
・Teach Me Tonight
・Mr.Sandman
佐野元春 : Motoharu Radio Show、今夜のテーマはNothing But Pop。いつ聴いても心が舞い上がる、そんなポップ・ヒッツを集めています。そうですね、今夜こうして特集して感じるのは女の子たちの歌、ガール・ポップですね。時代に関係なくこれまで多くのガール・グループが活躍しました。ガール・ポップの凄いところ、それは男性だけでなく同性の女性をも元気にさせるパワーがあるところです。そうなんですよね、大半の男性アーティストは男性にしかアピールしないんですが、女性アーティストは全員に語りかけます。そうして見てみると、ポップ・ソングの歴史を支えてきたのはガールズ・グループ。僕はそんなふうに感じます。これまで多くのガールズ・グループが活躍してきました。男の子たちが求めるイメージを演じるようなグループ、それとか女性のパワーを最高にアピールするようなグループ、みんなそれぞれにメッセージを持っています。いずれにしても男性アーティストにはできない感情が豊かな表現ですよね、それがガールズ・グループの魅力だと思います。今夜の特集、Nothing But Pop。ここでガールズ・グループが歌う最高にポップなレコードを2曲用意しました。韓国5人組のガールズ・グループ、ワンダー・ガールズ。彼らがアメリカで活躍するようになったそのときのデビュー曲ですね、「Nobody」。そして当時とても人気のあったイギリスのガールズ・グループ、バナナラマ。日本でも80年代の後半、よくディスコ、クラブでこの曲がかかっていました。ワンダー・ガールズ「Nobody」、そしてバナナラマ「Shy Boy」、2曲続きます。
・Nobody
・Shy Boy
曲をかけ終えて。「2曲とも60年代モータウン・ヒッツを意識したリズムとメロディですね。いい感じです」と元春。
・She Drives Me Crazy
1989年のファイン・ヤング・キャニバルズの「She Drives Me Crazy」。"もうどうしようもないくらい彼女に夢中"そんなふうに歌ってる。
・君がいなくちゃ
佐野元春 : 今聴いてもらったのは僕の曲です。「君がいなくちゃ」。自分の曲の中でもポップかなぁと思って聴いていただきました。去年出した『或る秋の日』というアルバムに入ってます。この曲なんですけれども作曲してレコードになるまで随分時間がかかりました。この曲を書いたのは僕が16歳のときだったのでレコードになるまでなんと47年という、時間がかかるにも程があるという感じですね。当時僕は高校生で学校の中に学生寮があったんですけれど、そこの放送研究部の友だちがこの曲のデモテープをガンガンかけて、終いには寮の中で大ヒットするという、そんな出来事がありました。その後、自分はこの曲のことをすっかり忘れていたんですが、当時の同級生が地元でこの曲をずっと歌い続けてくれて、その街ではちょっとした人気曲になっていたということ。そしてある日、その友だちから連絡をもらって久しぶりにこの曲を聴いてみたんですが、なんかとてもいい曲だなと思ったんですよね。まぁそんなことからレコーディングしてみようという気になった曲、それが「君がいなくちゃ」ですよね。自分で書いて40年以上忘れていた曲ということなんですけれども、本当にね、この曲の存在を教えてくれた友だちに感謝しています。
「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。今夜のテーマはNothing But Pop。何はともあれポップ。続いてます。さてこの後はちょっと気分を変えたいですね。ちょっと気分を変えてポップというよりどっちかというとジャズ・オリエンテッドな音楽。僕が好きなピアノマンのレコードを紹介します。ジェイミー・カラム「These Are The Days」、そしてベン・シドラン「Song For a Sucker Like You」。2曲続きます。
・These Are The Days
・Song For a Sucker Like You
曲をかけ終えて。「今聴いたのがベン・シドランですよね。歌ってる内容はかなり辛辣、皮肉な歌です。ポップでシニカルという感じ。洒落てますね」と元春。
佐野元春 : 今夜のテーマはNothing But Pop。何はともあれポップ。思わず楽しくなってスマイルしてしまう、そんなポップ・チューンを集めてみました。そうですね、自分の場合は、自分が演奏するときはフォークやブルース、そしてR&Bに近いロックなんか好きなんですけれども、ラジオから音楽を聴くというときには、やはりポップ・チューンですね。クルマの中で聴いたりしてると思わず体が揺れてくるような、そんな楽しい曲を聴くのが好きです。Motoharu Radio Show、今夜、ラストの曲もポップ・チューンでお別れしたいと思います。リスナーのみなさんとはまた次回、お会いできるのを楽しみにしています。この曲、ちょっと歌詞が複雑ですね。僕もわからないんですけれども、何かイギリス人らしい皮肉、ユーモアを感じます。一見ラヴ・ソングに聴こえるんだけれども実はかなりポリティカルな意味にも取れます。ブロウ・モンキーズ「It Doesn’t Have To Be This Way」。
・It Doesn’t Have To Be This Way
佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。楽しんでいただけましたか? さて来週のテーマは「ブルーズが聴きたい」。今日のテーマ、ポップとは真逆ですけれどもブルーズ音楽の魅力、みなさんと分かち合いたいと思います。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週7月31日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。