<05月15日プレイリスト>
[「ゴスペルで棚からひとつかみ」]
片想い/山下達郎 "アルチザン" '91
THE LAST TIME/THE BLIND BOYS OF ALABAMA "SPIRIT OF THE CENTURY" '01
I BELONG TO YOU/THE RANCE ALLEN GROUP '79
MY SOUL DOTH MAGNIFY THE LORD/O'LANDA DRAPER & THE ASSOCIATES CHOIR "A CELEBRATION OF PRAISE" '94
GOD IS GOOD/DEITRICK HADDON "CROSSROADS" '04
AMAZING GRACE/ARETHA FRANKLIN "AMAZING GRACE" '99('72)
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■内容の一部を抜粋
・地震から二月
達郎 : 先週は台風が接近いたしまして、それが前線を刺激して、南のほうは大雨からはじまりまして全国的に。まぁ、本当に自然の猛威と言いましょうかですね、脅威と言いましょうか、そういうものに驚かされる二月間でございます。もう地震からはや二月以上が経過いたしまして、依然として11万人以上の方が避難所で生活されてます。なかなか復興作業が遅々として進まないという今日この頃であります。私も私のスタッフの親類に被害がいろいろ出たということがだんだん伝わってまいりましてですね、そういうようなものに心を痛める今日この頃でございますが。しかし、二月も経ってるのになかなか物事が遅々として進まないというですね。二ヶ月間、なるべく平静に、穏やかに番組をやるように心掛けておりますけれど。しかし、政治屋さんといい、電力会社の人といい、なんかおかしいですよね。だんだん腹が立ってくると言いましょうかですね。特に福島の放射能の問題は、特にお子さんの放射能の問題、いろんな人がいろんなことを言っておりますが、どこまでが正確で、どこまでが間違いなのか、ちっともわからないという。子どもを持つ親御さんは本当に気が気ではありませんですのでですね。東京でもそういうお母さんたちが不安を抱えております。それを原子力の保安だが、安全だか、保安でも安全でもちっともないような集団がですね、これは大丈夫なんだというただ強弁で、だったらデータを見せろと。こんなところでそんなことを言ってもしょうがないんですけれど、そろそろそういうことが(笑)、口に出てしまうくらい、なんかこう、心もとないと言いましょうかですねぇ、そういう政治屋さん、どうしたらいいんでしょうね(笑)。
・片想い
歌詞に「5月」が出てくるので今週はこの曲にリクエストが集まった。1991年のアルバム『アルチザン』から。
・ゴスペルで棚からひとつかみ
ゴスペルのおよぼす強さというものは絶大なものがある。今週は「ゴスペル特集」とするほど達郎さんがゴスペルに精通しているわけではないのと、達郎さん自身がクリスチャンではないので、あくまで音楽として聴いて、音楽の持つ力、宗教の力をバックボーンにした音楽のサウンド・シャワーを聴いていただく「ゴスペルで棚からひとつかみ」。
・ゴスペル
黒人がやる宗教音楽、教会音楽という定義がある。奴隷として黒人が連れてこられて、ひとつの懐柔策としてキリスト教を教え込まれて、そこから生まれたのが黒人霊歌、ニグロ・スピリチュアル(最近では「ニグロ」が差別用語なのでブラック・スピリチュアルともいう)。奴隷時代のワーク・ソングからの派生とトラディショナルな民謡とくっついて生まれたのがブラック・スピリチュアルという形式。それに対してゴスペルは1930年代ぐらいに、古くからある正当的な賛美歌以外に新しく作られた宗教音楽。既成のポピュラー・ソングからゴスペルになったときに新しく作られたもの。大きく分けてブラック・ゴスペルとホワイト・ゴスペルに分かれる。エルヴィス・プレスリーはクロス・オーバーしてブラックもホワイトも両方歌った。今週は20世紀に生まれたゴスペルからブラック・ゴスペルを中心にしたプログラム。
・THE LAST TIME
ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマは1939年にアラバマの盲学校で結成された。今でも現役。「THE LAST TIME」はピーター・ガブリエルのリアル・ワールド・レコードというレーベルから出た2001年のアルバム『SPIRIT OF THE CENTURY』から。4,5人のヴォーカリストがアカペラでコール&レスポンスするジュビリー・スタイル。
・I BELONG TO YOU
リクエストが殺到しているが、今、ニュー・アルバムの詩書きでデータを作る心の余裕がなかったと達郎さん。この曲はNHK-FMの番組で以前かけた曲。リクエストに応えて選曲。兄弟3人組のグループ、ランス・アレン・グループの「I BELONG TO YOU」。出身はミシガンだが南部のスタックスのサブ・レーベル「トゥルース・レーベル」からランス・アレン・グループの最大ヒット曲。今でも現役。
・MY SOUL DOTH MAGNIFY THE LORD
ゴスペル・ミュージックは長い間、「マス・クワイア」という大編成のコーラス隊を従えて歌うスタイルが主流だった。オーランダ・ドレイパーはメンフィスの大学のクワイア・ディレクター(指揮者)。22歳のときにアソシエイツというクワイアを結成して1990年にデビュー。グラミー賞を獲得したりして活躍していたが1998年に34歳の若さで亡くなった。「MY SOUL DOTH MAGNIFY THE LORD」は1994年に出たライヴ・アルバム『A CELEBRATION OF PRAISE』に収められている。クワイアだけで、しかもアカペラによるライヴ。
・GOD IS GOOD
ヒップホップ系のゴスペル・ミュージック。ディトゥリック・ハッドゥンは1973年生まれ。牧師の息子として生まれて小ちゃい頃からクワイアとしてやってた。2004年のアルバム『CROSSROADS』から「GOD IS GOOD」。
・AMAZING GRACE
ゴスペル・ソングといえばこの曲がとどめ。「AMAZING GRACE」は18世紀に奴隷船の船長だったジョン・ニュートンが悔い改めて牧師になり、船が遭難した経験から作った曲。古今東西いろんな名唱があるが究極はアレサ・フランクリン。1972年の1月13日から14日にかけて南カリフォルニアで行われたジェイムス・クリーヴランドとサザン・カリフォルニア・コミュニティー・クワイアのセッション。1999年の完全版から14分の長丁場。アルバム『AMAZING GRACE』はダブル・プラチナに輝いた。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
05月22日は、引き続き「ゴスペルで棚からひとつかみ」(予定)
http://www.smile-co.co.jp/tats/