2月12日(火)、曇り。
急遽、大阪フェスティバルホールで開催された「Live Act Tulip 2007-2008 ~run~」のファイナル公演を聴きに行った。 今回のチケットは友人から譲ってもらった。その夜、久しぶりに会うことになっていたのだが、夕方に連絡があり、
「チケットが余ってるので聴きに来ないか」と誘われたのだ。
会場には日本放送協会の撮影クルーが入っていた。この夜のライヴの模様は4月5日(土)、衛星第二で放送されるとのことだった。僕の周りはほとんど女性だった。場内アナウンスで収録が発表されるとリラックス・ムードの中、歓声が上がった。
Tulipは1972年にデビューした。僕が知ってるのは'80年代初期の頃。'80年代の終わりに一度活動を休止し、1997年に再結成したのだという。そしてバンドはデビュー35周年を迎え、現在バンドは最終章にいるのだという声明を出した。多くの人たちは今回をもってライヴ活動を終えるのだと捉えたようだ。
客電が落ちてスクリーンにショート・フィルムが上映された。タイムマシーンのように時代を遡り1972年に戻って、そこからバンドの歴史が写真のスライド・ショーで展開された。再び現代になったところでフィルムは終わった。温かい拍手の波があり、それは僕の胸を震わせた。
バンドの演奏する曲は知らない曲ばかりだったが、このバンドがビートルズからの影響を強く受けているのだと窺わせる楽曲が何曲かあった。財津和夫のリード・ヴォーカルがこんなにも心地よいなんて僕は今まで知らなかった。安部俊幸のギターもいい。
中盤にアコースティック・セットがあり、会場全体が丸くなった後で、「心の旅」が演奏された。この曲は知っている。彼らの代表曲だ。でも僕はまだ入っていけなかった。その直後、1979年に発表された「虹とスニーカーの頃」が演奏されたとき、心象風景が滲むように現れた。
それはラジオからながれてきた音楽だ。中学生でまだ主体的に音楽を聴くようになる前のことだ。僕のラジオ・デイズは中学生の頃からはじまった。僕はさだまさしの曲を好んで聴く少年だったが、夢中になるほどではなかった。そんな頃に深夜ラジオのリクエスト・アワーなんかでながれていた曲が「虹とスニーカーの頃」だった。何気なく聴いてた曲だった。あれから四半世紀という時間が過ぎた。なつかしい思い出のメロディー。それはとても素敵な一瞬だった。
「僕の言い方が悪かったのかもしれない。Tulipがライヴ・ツアーを行うのは今回が最後になるけれど、またいつか、今は何も決まってないけれど、野外コンサートや集大成となるイベントでみんなの前で演奏できるようにしたい」
そんな言葉が財津和夫からあった。オーディエンスは盛大な歓声と拍手でバンドの存続を喜んだ。
■Live Act Tulip 2007-2008 ~run~
2008年2月12日(火) 大阪フェスティバルホール
2階N列R34番
財津和夫(Vocal, Guitar, Keyboards, harmonica)
安部俊幸(Guitar)
上田雅利(Drums, Vocal)
姫野達也(Vocal, Keyboards, Guitar)
宮城伸一郎(Bass)
http://www.tulip-official.com/pc/top.html