11月4日(日) 曇り。
フリーペーパー「Flying Postman Press」が創刊100号を記念し、FM802とタッグを組んで開催したスペシャル・イベント「Your Songs, Our Songs」を聴きに行った。
森俊之(Keyboards)、亀田誠治(Bass)、佐橋佳幸(Guitar)のプレイヤー、プロデューサーの3人は元々古くからの知り合いだったが、元ルクプルの藤田恵美のソロ・アルバムのため結集したのをきっかけに「森亀橋」というユニット名で呼ばれるようになった。この森亀橋がスペシャル・バンドを結成して縁のミュージシャンをゲストに迎えるイベントが「Your Songs, Our Songs」。出演は藤井フミヤ、小田和正、矢井田瞳、藤田恵美、Salyu、トータス松本、中孝介、ET-KING、風味堂、スガシカオ、奥田民生、Charaの12組。
会場はステージを囲んだ360度ヴュー。僕の席はステージの後ろ側だった。。
午後5時15分頃開演、第一部が終わったのは6時45分だったかな。15分の休憩の後、第二部が7時頃開演。終わったのは8時35分過ぎだった。
ステージの後ろのスタンド席。野球場でいえばバックネット裏みたいな席だった。正確に言えば表側に設置された右モニター・ヴィジョンの真裏。真下には機材とギターの置き場があった。その左にバックスタンド用のモニター・ヴィジョン。こちら側にもモニター・ヴィジョンがあるということをはじめて知った。
客電が落ちてバンドの演奏がはじまった。ステージ表側、向かって右から山本拓夫、石成正人、斎藤有太、河村"カースケ"智康、大滝裕子、登坂亮太という配置。
「うわ~」という声とともにステージの両脇から白シャツ、黒ズホンの若者たちが大挙してやってきた。大阪スクール・オブ・ミュージックの生徒たちだ。
森亀橋の三人は後からやって来た。パイロットの制服を着て「FLYING POSTMAN PRESS」を客席に配布。そして佐橋佳幸は山本拓夫の右隣、石成正人の前に配置。森俊之は斎藤有太の前、その右隣に亀田誠治。曲はビートルズ(マーベレッツのカヴァー)でお馴染みの「プリーズ・ミスター・ポストマン」。歌うのは大阪スクール・オブ・ミュージックの生徒たち。
このイベントには大阪スクール・オブ・ミュージック専門学校と大阪ダンス&アクターズ専門学校が協力している。ひょっとしたら大阪ダンス&アクターズ専門学校の生徒たちも歌っていたのかもしれない。
そうして幕が開けた「Your Songs, Our Songs」。最初から派手な展開だったが、トップとして呼ばれたアーティストの名前を聴いて、また会場は沸くことになった。大阪出身の矢井田瞳。そしていきなりビッグ・ヒット・ナンバーの「My Sweet Darlin'」が歌われた。
出演アーティストは自前の曲とほかのアーティストとのコラボレーションを披露することになってるようで、ここでヤイコと共演したのが中孝介だった。奄美大島出身、ヴェルベットの声を持つヴォーカリスト。ヤイコの最新ヒット「初恋」をふたりでデュエット。イベントの途中で誰かが言ってたけれど、普段あまり横のつながりがないというアーティスト同士のコラボレーションは、とてもおもしろいものだった。
中孝介は藤田恵美とコラボレーションした。藤田恵美は美しいグリーンの衣装を着ていた。ルクプルの「ひだまりの詩」をデュエット。その後で藤田恵美は森亀橋と「eternity」を歌った。
その次に登場したのはCharaだった。誰もが意外に思ったに違いない共演者、その名前がCharaの口から放たれた瞬間、会場からどよめきが起こった。小田和正。信じられない話だが、今年、還暦になったそうだ。ほかに還暦を迎えたアーティストというと僕の知ってるところでは細野晴臣ぐらい。同い年というのもにわかに信じられないくらい小田和正は若々しい。Charaと歌ったのは「YES-NO」だった。僕が中学生の頃大ヒットした曲だ。まさかこのような形で聴くことになるとは夢にも思わなかった。
続いてET-KING。この人たちと共演したのがスガシカオ。これも意外な組み合わせ。スガシカオは藤井フミヤ、Salyu、藤田恵美と「夜空ノムコウ」を歌った。ここで前半が終了。
ET-KINGは"おまえとおったらおもろいわ"という関西弁の歌詞の「愛しい人へ」で知られているラップ・グループ。地元大阪は大国町出身の7人組。全員法被を着ていたが、すること成すことほとんどがスベってたように思う。
スガシカオは今回楽しみにしていたアーティストの一人。私感だがET-KINGとのコラボレーションはかわいそうな気がした。あるいはもともと暗い雰囲気の人だから、ET-KINGとは馴染んでなかったのかもしれない。相性というのは大事なファクターだ。
前半はほとんどのアーティストがはじめて見た人ばかりだった。唯一、小田和正だけは以前こういったイベントのライヴで見ていた。Chara、スガシカオといった楽しみにしていたアーティストのときは立ち上がり、ほかは座って見ていた。周りも大体そんなふうな盛り上がりだった。
15分の休憩の後、第二部がスタートした。最初に登場したのは風味堂。森亀橋からは風味堂のプロデューサー森俊之と斎藤有太だけが残ってサポート。コラボレーションはヤイコと。
風味堂の後、森亀橋のメンバー紹介。佐橋佳幸は山本拓夫のことをふざけて「山拓」と読んでいた。
メンバー紹介の後、登場したのはSalyu。映画ファンには「リリイ・シュシュ」で有名な彼女。歌う前のMCで自己紹介していたが表情豊かに喋る姿が印象的だった。
Salyuは小田和正、ヤイコとコラボレーション。今になって思えば、小田和正の高音域と合わせられるのは女性アーティストしかない。ここでまた盛り上がった。
小田和正は今年還暦を迎えた。今回のイベントでは最年長だ。日本のシンガー・ソングライターの中で彼より上というとムッシュかまやつしかいないという。
「こいつがいなかったらヒットしなかったかもしれない」と佐橋佳幸のほうを振り返り歌ったのは「ラブ・ストーリーは突然に」。信じられないことだが小田和正はステージを走りながら歌った。そして観客席に降りてオーディエンスにマイクを向けて合唱した。僕はそんな小田和正の姿に圧倒された。こんな60歳はほかにいないだろう。
小田和正の後は藤井フミヤ。月9つながりということで「TRUE LOVE」を歌った。ここでも佐橋佳幸が大活躍だった。藤井フミヤとコラボレーションしたのは奥田民生。キャロルの「憎いあの娘」をカヴァーした。
奥田民生は大体こういうふうなイベントでしかライヴは見てないが、アルバムは聴いてるので楽しみにしていた出演アーティストのひとりだった。「イージュー★ライダー」は久し振りに聴いたので歌詞を忘れていたが、思わず一緒に歌ってしまった。今回は奥田民生のライヴでは欠かせないピアニスト斉藤有太がいたので、パフォーマンス自体も素晴らしいものだったと思う。
奥田民生とコラボレーションしたのはトータス松本。ここでトラブルがあった。スタッフがトータスのギターを間違えて別のモニターに繋いでしまい、トータスのモニターからはギターの音が聞こず、しばらくサウンド・チェック。しかし、民生との軽妙な会話で爆笑をとり、仲の良さを窺わせた。
トータスは今年亡くなった阿久悠をトリヴュート。彼の作詞した作品から尾崎紀世彦の「また逢う日まで」をカヴァーした。
阿久悠は晩年、新聞連載のエッセイで日本人の心の在り方を探っていた。「また逢う日まで」の歌詞に"そのとき心は何かを語るだろう"という一節があり、その部分は僕の心を打った。
最後は奥田民生が書いた「すばらしい日々」を奥田民生、小田和正、スガシカオ、トータス松本、Salyuで披露した。この歌もシングアウトしたが、涙が出そうになった。今聴くと歌の内容が心に沁みる。素晴らしい名曲だと思った。
■Your Songs, Our Songs
2007年11月4日(日) 大阪城ホール
スタンド G9列11番
森俊之(Keyboards)
亀田誠治(Bass)
佐橋佳幸(Guitar)
河村"カースケ"智康(Drums)
石成正人(Guitar)
斎藤有太(Keyboards)
山本拓夫(Sax, Flute)
大滝裕子(Backing Vocal)
登坂亮太(Backing Vocal)
Set List
01 Please Mr.Postman
02 My Sweet Darlin' / 矢井田瞳
03 初恋 / 矢井田瞳+中孝介
04 花 / 中孝介
05 ひだまりの詩 / 藤田恵美+中孝介
06 eternity / 藤田恵美
07 YES-NO / Chara+小田和正
08 Fantasy / Chara
09 愛しい人へ / ET-KING
10 午後のパレード / スガシカオ+ET-KING
11 フォノスコープ / スガシカオ
12 夜空ノムコウ / スガシカオ+藤井フミヤ+Salyu+藤田恵美
休憩15分
13 ナキムシのうた / 風味堂+矢井田瞳
14 サヨナラの向こう側 / 風味堂
15 風に乗る船 / Salyu
16 こころ / 小田和正+矢井田瞳+Salyu
17 ラブ・ストーリーは突然に / 小田和正
18 TRUE LOVE / 藤井フミヤ
19 憎いあの娘 / 藤井フミヤ+奥田民生
20 イージュー★ライダー / 奥田民生
21 トロフィー / 奥田民生+トータス松本
22 また逢う日まで / トータス松本
23 ガッツだぜ!! / トータス松本+ET-KING
24 すばらしい日々 / 奥田民生+小田和正+スガシカオ+トータス松本+Salyu