[06/07/18<Play List>]
[BGM]アンジェリーナ/ダウンタウンボーイ/ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
ガラスのジェネレーション2006(Additinal recorded version) / 佐野元春
SOMEDAY / 佐野元春
#9 Dream / John Lennon
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■内容の一部を抜粋
・EPIC ARCHIVESとはどんなプロジェクト?
「EPICレーベルに僕が残してきた楽曲、映像、クリエイティブ・グッズをきちんと批評して、再構成して、新しい世代にも楽しんでもらおう、それを目的としたひとつの集まりです」と佐野元春。
・レコードからCD、そして音楽配信へとミュージシャンにとっては、この25年間は激動だったのでは?
「非常に激動でした。僕たちからすれば作っているものはひとつですよ、音楽という...。ただそれを僕の音楽のリスナーに届ける、その形がこの20年間様々に変化してきましたね」と佐野元春。
・ガラスのジェネレーション2006(Additinal recorded version)
「これはちょっとトリッキーな形なんだけれども。当時1980年にレコーディングした僕のヴォーカルと僕の弾いたピアノだけはオリジナルのまま使って、そしてドラム、ベース、ギター、その周辺の演奏を今の僕の仲間であるザ・ホーボーキングバンドに演奏してもらった、そういう作りなんですね」と佐野元春。
・なぜそれが「ガラスのジェネレーション」なのか?
「あのね、佐野元春というと"『SOMEDAY』の佐野元春"とか"『アンジェリーナ』の佐野元春"ってよく言われるんですよね。ソングライターとして自分を批評してみると、初期に書いたこの『ガラスのジェネレーション』という曲、これはもしかしたら『SOMEDAY』や『アンジェリーナ』よりも佐野元春らしさが凝縮されてる曲なのではないかと自分自身でしているのです。したがって今回のこの『THE SINGLES』のパッケージも『ガラスのジェネレーション』で始まり『ガラスのジェネレーション』で終るというそういう構成にしてみたんですね。だからホーボーキングバンドのメンバーは当時23歳の僕とセッションしたというストーリーになったわけです。みんな不思議がってました。ちょっとしたタイムスリップというかな」と佐野元春。
・それは照れくさいものなんですか?
「いやぁ...そぉうでもないですよ。自分が23歳24歳の時ですから。これが30歳の頃ですとまだ年齢が近いですから照れくささというのもあるんだけども。当時のホントにYOUNG MOTOというか、だいぶ客観的に見られるようになってきたので、それはそれでね、誇りに感じるところもあるし、多少くすぐったいなと思うところもあるし、複雑ですね」と佐野元春。
・デビューした当時、一体何を言いたかったのですか?
「自分がデビューした1980年、振り返ってみれば確実にその古いジェネレーションとのギャップというものを感じていたんですね。自分は東京で生まれて東京で育っているので仲間たちも当然街の子たちなんだけれども。明らかに'70年代のお兄さんお姉さんの世代とは物の見方も感じ方も違ってきている。特にいちばん違いを感じたのは音楽に対する感受性というのかな、ニュー・キッズたちが自分たちにフィットする日本語による新しい音楽をみんな探していた。でもなかったんです。仲間たちなんかに囃したてられて"佐野おまえがやれ"みたいな、そういうムードがありましたね。"じゃあ一丁書いてやるよ"それが『アンジェリーナ』であったり『SOMEDAY』であったり『ガラスのジェネレーション』であったり『ダウンタウンボーイ』であったり、ホントに街の歌ですよね」
「50'S、60'Sのロックンロール、これはひとつのスタイルとして確立していたんだね。グリーサーでありポニーテールでありクルマであり女の子であり。それはそれでノスルジックなものとして素敵なんだけれども。むしろ80年代に入るとロックンロールというのはもっともっと違う価値を帯びてきていましたので、同じロックンロールといっても、形になったものよりも、もっと何か新しい意味をその音楽の中に見出したいというキッズたちが増えたんじゃないかな」
「初期にリリースした3枚、『Back To The Street』、『Heart Beat』、『SOMEDAY』。この3枚には僕の十代の東京での街の生活がいっぱい詰まっている。僕の友達についての歌、僕自身についての歌がいっぱいある。街の子どもたちのためのロックンロール、新しいロックンロールを書きたいというのが当時の僕の願いでしたね」と佐野元春。
・「夢と現実について」のトーク・セッション
「"夢"というのは大切な言葉だと僕は思うんですね。僕たちの人生の中で大切な要素。ただひとつだけ勘違いしたくないのは、己の欲望を達成することと、夢が叶うということと僕は違うんじゃないかと思っている。僕は美しい夢を信じたい。美しい夢とはどんなものだといったらば、僕も含めて僕以外の人たちも幸せになること、それが僕は美しい夢だと思うんですね。とかく"君の夢は何?"というと自分のなりたいものは何だとか、自分の欲望を満たすビジョンは何だとか、というところで答えてしまいがちだけれども、ソングライターの僕としてはもっと先のことを感じてこの"夢"という言葉を使いたいと思いますね」
「僕はレコーディング・アーティストとしてデビューする前に、ラジオ番組の制作会社にいた時期があったんです、とても短い期間でしたけれども。ある会社のオーダーで米国西海岸のFMステーションを取材してこいという仕事があったんです。当時20歳か21歳ぐらいの時。そして僕はロサンゼルス、サンフランシスコ、いろいろなステーションに行って、で、そのステーションのDJにいろいろなインタビューをしてくるという仕事だったんですね。そのうちのひとつ、黒人がマネージメントしているR&B、ソウル専門のステーションでしたね、それでその黒人のDJにインタビューをして仕事が終ったんですけれど。仕事が終った後、とても知りたいことがあって僕は唐突に質問したんですね。"ラジオの本質って何なんだ"って。そしたら彼が言ったのは"LOVE"と一言ね。すごく黒人的な答えだなと思ったんだけど、すごく本質的な答えだなって僕は思った。で僕感動したんです。うん。メディアの本質は愛だということですよね。それで僕はラジオ・メディアの見方はそのときから変わりましたね」と佐野元春。
・ジョン・レノンの「#9 Dream」をリクエストしたのは?
「ジョン・レノンというソングライターは不思議なソングライターなんですけれども。ことごとく夢に言及するソングライターなんです。だから本人の中ではきっと現実なのか夢なのかわからないその狭間に立ってイメージしているのではないかと思われる曲が結構多い。すごく素晴らしいんですね。特にこの曲は夢というところにかかっているんですけれど、是非リスナーに聴いてもらいたいなぁと思って持ってきました」と佐野元春。
・もしジョン・レノンがいて、コラボレーションするとしたらどんな曲を作っていたでしょう?
「たわいもないロッンロール曲でしょうね。よく"ジョン・レノンの曲でどんな曲が好きですか"って、みなさん『IMAGINE』とかね。ジョン・レノンのソロになった後のああした大きなテーマを持った曲、確かに素晴らしいです。でも僕にとってのジョン・レノンというのはやっぱりバッドボーイですね。そうするとすごく初期のあるシングルのB面なんですけれど『Not A Secound Time』とか、ああした曲がジョン・レノンの本質ではないかと僕は思いますね」
「僕たちは特に子どもの頃というのは、大人に抵抗するのに精一杯なんだけれど、常に大人のほうが強いですから、何か武器が欲しいと常に願っている。それが子どもである状態なんですね。大人は常に子どもたちのことを打ち負かそうとしますから、いつもやられっぱなしなんですよ。で子どもたちはくやしい。そこで何か武器が欲しいという時にロックンロール音楽はとても力強い武器になったんですね。それはその楽曲の中に含まれた詩の一節であったり、あるいはシンガーのごきげんなドライヴするヴォーカルの感じであったり。感じ方は人様々かもしれかもしれないんですけれども、ロックンロールというのは子どもたちにとって武器だった。それは見方として間違ってないと思いますね」と佐野元春。