Life in America ~JAPAN編

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借りるか、買うか。

2007-11-07 03:41:33 | アメリカ生活雑感
なんだかひと昔前の『住宅情報』(あ、もう紙媒体はないんだっけ?)のタイトルみたいだなぁ。
そう、私たちは今コレに悩んでいます。

ここに到着してからさっそく家探しを本格的にはじめて気づいたのは、住宅価格の安さ。これはあくまでベイエリアと比較しての話だけれど、約半分、もしかしたら1/3なのにびっくりこいたのだ。
そういえばここに赴任が決まってから「3年以上住むんだったら、今なら買ったほうがいいわよ」と、いろんな人が口をそろえて言っていたっけ。
「いいわよ」とは「(利益が出て)お得よ」という意味ではなく、住宅価格の下落、このエリアの将来図(いわゆる人気の郊外)、数年後の売却やレンタルなどの市場などを考え合わせて「それもありよ」という意味だと解釈している。
一番の理由である“住宅価格の急落”にはもちろん、今世界中の経済を混乱させている「住宅サブプライム問題」が関係しているのは言うまでもない。

サブプライム・ローン(subprime lendingまたはsubprime mortgage)というのは「低所得者への住宅貸付ローン」のことで、「サプライム・ローンの破綻」を一言で言うと「もともと支払い能力のない人に金融機関ががんがん金を貸してしまったことによるきつ~いツケ」のこと。
その背景には、アメリカの住宅ローン方式の“甘いわな”がある。アメリカでは、はじめの数年間の金利を抑えたものや負担の軽い返済方式の住宅ローンがが多く出回っており、それが本来住宅ローンを組めない人にまで“勘違い”させてしまったわけだ。
しかし甘い話にはなんとやらで、夢のような住宅を手にした数年後、彼らに今度はとんでもない高金利がおそいかかることになる。所得の伸びない低所得者には、過重な手数料を請求されたり、物件を差し押さえられ住宅を失ったりといった悪夢が待っていた。バブル時の日本で、金融機関が中小・零細企業へ貸し付けるだけ貸し付けて、その後剥がすように取り立てた“貸し剥がし”と性格が似ている。
昨年の11月、アメリカ大手の金融機関が続けて破綻したことによってこの「サブプライム問題」が一気に表面化した。

そもそも、アメリカ人は消費好きだ。
自分に十分な支払い能力があるかどうかは後回しにして目の前のえさにすぐ食いついてしまう。「○○ホリデーセール」と名のつく日には、どこの店も人であふれかえっている。まるで日本の百貨店の“初売り状態”。この世の終わりのようにものを買っていくアメリカ人を見ながら「そんなにもの買ってどうすんだよ!」と何度心の中でつっこんだものか・・。そう、“あとさき省みない”のがアメリカ人。これを踏まえるとこの住宅サブプライム問題も話がわかりやすい。


ここに着いてから、まず私たちは土地勘を養おうと近所を車でくまなく見て回った。
Pちゃんはたびたびこの研究所で働いているので全くのstrangerではないものの、そのPちゃんでさえ今回仰天したのが家の前に立つ「FOR SALE」看板の多さ。
10軒に1軒、いや多いときは2軒も「売ります」看板が出ている。しかもそ多くがかなり豪華な部類の家。まるで新規分譲住宅を散策しているような錯覚に陥った。
「これ、尋常じゃないね」
ふたりともすぐに“異変”に気づいた。ニュースでは知っていたが改めて現実を目の当たりにしてしばし唖然。

家を買った彼らからしてみれば「はじめの数年間はこれだけの支払いでいいんだって!これだけで夢のような家に住めるんだ。じゃぁ買っちゃえ!」ってなものだったのだろう、きっと。
でもどうしても理解に苦しむのが「そもそもどうして買う前に自分の支払い能力を判断できないのか」。
財布に1000円しかなかったら1000円以上のものは買えないし、たとえ誰かが貸してくれるといっても収入の見込みがないのなら買っちゃいけないことは子どもにだってわかろうといものだ。もともと「担保」なんて定義そのものが怪しい。
「貸すも親切、貸さぬも親切」という名言がある。返せないとわかっている人間に金を貸すほうのモラルもどうにかしている。

もちろん、売りに出ている住宅のすべてに今回の問題が絡んでいるわけではない。数件の不動産屋さんに話を聞いたところ、家族構成の変化、転勤や他州に住む親との同居など売却理由は様々だけれど、サブプライムの破綻が明らかに拍車をかけていることは“Yes”だった。
ということは、これからもまだまだ売りに出される物件は増える可能性があるということ、つまり、住宅価格はまだまだ下がる傾向にあるということ。

私たちはふたりともどちらかというと堅実派で所有・購買欲も全くない方なので、アメリカで家を買うなんて考えたこともなかった。というか、それ以前にバークレーではそんなことはまず不可能だった。なんてったって、普通のしょぼくれた一戸建てが下手すると億単位する町だ。しかし、ここに来ていろんな人たちの話を聞き、自分たちの目で確かめ、もろもろの条件を冷静に計算してみると「買う」という判断もありなのかなと思うようになった。

もちろん、まだまだ結論は出てはいない。
ある程度いい匂いがしたらあとは「えいやっ」で突き進む性質の私もこればかりは慎重になる。この先家がストレスのもとになるなら本末転倒だし。
片や、Pちゃんは普通の人の100倍(いや、1000倍)は注意深いドイツ人。そして超のつくアナリスト・・

どうなるかはこの先のお楽しみ



ちなみに昨日案内してもらったおうちのひとつ。
1948建築の超かわいい3層のおうち。広々としたバックヤード、広~い地下室は映画ルームになっていた。
2ベッドルーム2バスルーム。8ルーム。$250,000
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3 Comments

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チョ~ (fumi)
2007-11-09 11:08:39
かわいい家だよね~。
そんなに部屋数があるって感じないなあ。
こりゃ普通に日本にいたら憧れだよ~?
那須や軽井沢でたまにこんな感じのを見かけるけど
やはり何だかしっくりこない。周囲とかけ離れてるしねえ。
確かにシカゴで空港に近い割と小綺麗な住宅地は
こんな家が多かった気がする。
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そうそう (shoko)
2007-11-09 15:32:04
日本でこれが唐突にたっていると近所で浮くよね。そんな家、昔いくつも取材した(笑)
小さそうでけっこう中は充実してる。しかも裏に回ってみるとあらびっくり、ゴルフの寄せの練習くらいは軽くできちゃうお庭がたいがいついています。敷地広すぎてどうしていいかわかりましぇ~ん
この三角お屋根のデザイン、かわいいんだけどどうしても2階部分にそのとばっちりが来て背のでかい人には窮屈なんだそうです。そういうわけでこの手のデザインは我が家には不向きということが判明
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Unknown (ぶらっく)
2007-11-09 21:00:24
買うかな?借りるかな?と流れを興味深く見つめております。

テリヤキが、この記事の写真見て「いいなー、ぼくもこんなかわいいうちに住みたい」とつぶやいておりました。思わず、内心、「かわいいうちに住みたいってタイプかー」とつっこみを入れたくなりました。

やっぱそのへんだと、アパート借りるなんて発想じゃなくて、家借りるって発想なんだよね?

じゃ、がんばってねー。
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