Life in America ~JAPAN編

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Not-Great Chicago Fire Festival ~悲劇の結末、シカゴ大火記念フェスティバル

2014-10-08 17:48:56 | music/festival
冬にはいって凍りついてしまう前に観光客を呼び込もうと、シカゴ市はあの手この手。
10月はまだ野外で耐えられる最後の月なので、そこに目を付けた(かどうかは知らないが)シカゴ市が新たに生み出したお祭りが、「ザ・グレート・シカゴファイヤー・フェスティバル(シカゴ大火祭り)」
その名の通り、シカゴの大火を記念したお祭りだ。

1871年、ある郊外の馬小屋から出火して強風に煽られて瞬く間に燃え広がった大火事で、シカゴ市内は焼き尽くされた。
その大火のあとシカゴはすさまじい復興をとげ、摩天楼を中心とした今の近代的なシカゴが出来上がったのだ。
シカゴの歴史上もっとも重要な惨事であり、近代都市建設のきっかけにもなったこのシカゴ大火をイメージした初のお祭りということで、これにかけるシカゴ市の意気込みはすさまいじものがあった。

メディアにも何度も取り上げられ、総額2億円をかけたといわれる「大スペクタクル」。
さていったい何が登場するのかと、市民だけでなく観光客も注目していた。もちろん私も取材の用意をし、Pちゃんも一緒に出かける段取りを組んでGOROをもお泊りに出した。



この川に浮かんだ家の模型(3か所)が闇の中炎に包まれる、ということなのだが・・・


会場となったのは、シカゴ川流域、ステート通りからコロンバス通りまでの3ブロック。
リバーウォークには手作りアートやポップコーンなどの地元の屋台が立ち並んで、午後4時過ぎにはそれなりに賑わっていた。

  

不運だったのは、この週末は体感気温がマイナスというほどの一番の冷え込みになったこと。歩いているだけでも体がしんしんと冷え込んでくるのがわかる。
私もこの日はユニクロヒートテックを2枚着込んだ上にセーター、その上にダウンジャケット。下はこれまたヒートテックのレギンズに皮パンツ、長ブーツという真冬並みのいでたち。




トランプホテルの最上階Sixteenからシカゴ側を見下ろした夜景は素晴らしい


10月は乳がん撲滅月間ということで、ビルのネオンもピンク色に


さて、午後8時すぎいよいよメインイベントの「スペクタクルショー」が始まった。
エマニュエル市長らによる点火式、チルドレンクワイヤーの歌声が響き、水面にうかぶ船が幻想的な雰囲気。

 


そして、あの模型に火が灯された。
パチパチパチ・・・と燃え盛る炎の音がスピーカーから流れ・・
家が燃え初め・・・あれ?




燃え始めたかと思ったらすぐに消えちゃったよ。
そして再度点火



目の前の模型はいったんは勢いよく燃え始めたものの、どうも3分の1が燃えたところでまた消えちゃった。
ん?なんかおかしいな、と思いつつ待つこと約1時間。

「電気系統の故障のため点火が遅れています。しばしお待ちください」とアナウンス。
やっぱり。
それを聞いて盛り上がりかけた気持ちが一気にトーンダウン。
そのあとうんともすんとも火が着く気配はなく、沿道を埋め尽くした何千人と言う人たちは寒いやら退屈やらで「燃やせー、燃やせ―」とやけくその叫び声を上げ始めていた(らしい。)


立ちっぱなしの人々


で、40分くらししたところでようやく、「故障が治りませんのでマニュアルで点火します」とアナウンス。
これには笑った。
マニュアルって、要するに人の手によって着火するということですよね?
「今頃マッチでも探してんのちゃう?」とPちゃんと冗談を言って笑っていたら、私の前に固定カメラを設置していたどこぞのメディアのカメラマンも私たちを振り返って、「ライター貸してあげようかな」と苦笑い。

これは翌日の新聞で知ったことだけれど、どうやらこのお祭りの主催者はもしもの事態に対するバックアップ策を何一つとっていなかったというのだ。
これには呆れた。これだけ大騒ぎして2億円もかけてシカゴの代表的なお祭りのひとつにしようというのに、バックアップ対策ひとつとれていなかったなんて。
そのせいで寒風のなか市民を何時間も立ちっぱなしにさせてしまうというお粗末くんぶり。なんと楽観的かつ初歩的な大ミス・・・つうか、普通はありえんでしょう?

ガソリンまいて命がけで人手で点火したものの、やっぱり炎はしょぼしょぼと消えていき、さえない結末に。




The Great Chicago Fireどころか、「Not-Great Chicago Fire」になっちまった。

最後はあきらめて、花火大会。
本当は焼け落ちた家の中から、何かシカゴの復興を象徴するような仕掛けが出てくるはずだったらしい。トホホ。




やけくその花火がおわって、群衆が一斉に家路に向かい始めたその頃、実は川面では“第2部”が始まっていた。
シカゴの復興をイメージした、幻想的なカヌーのラリー。
せっかく美しかったこの演出も、ほとんどの人に無視されてしまい、最後までまったくあーあ、なフェスティバルだった。





来年はないな・・・。
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