Life in America ~JAPAN編

I love Jazz, fine cuisine, good wine

HODAの憂い。

2011-02-17 15:43:47 | アメリカ生活雑感
エジプトで歴史的な“革命”が起こった一連の報道を見るたび、いつも脳裏に浮かんでいたのはドイツに住む親友HODAのこと。
ドイツ人のご主人(当時)と結婚して今はドイツ国民となっているが、カイロ生まれの100%エジプシャンのHODA。
彼女とは10年前にバークレーのエクステンションクラスで同じクラスになり一緒に学んでいた仲。(私の本にも彼女は重要キャラクターとしてたびたび登場する)

当時、ひとりでアメリカで暮らし始めた私と、旦那から離れて単身ドイツからアメリカに勉強にやってきた彼女。
若いクラスの中にあってお互いに年齢が近いこと、ものの考え方が似ていること、そしてお互い自分が決して持ちえない部分に激しく惹かれあって、たちまち無二の親友になったのだった。
奔放で人懐っこく、自分の意見をはっきりと言う面白い人。
自分の考えを堂々となかなか言えない日本人の私にはまぶしい存在で、私もそんな彼女に学んだことはとても多かった。
彼女と過ごした日々はわずか半年ほどだったが、彼女がドイツに帰ったあともずっと交流は続いていた。

HODAは10代の頃にドイツに単身渡り大学でPolitical Science(政治学)を専攻、とりわけ「イスラム社会における女性の権利」の研究をしていた。
現在はフランクフルト大学で講師として教鞭をとっている。
そんなHODAは今回の祖国の革命をどんな思いで見ているのだろう?人脈の広い彼女のこと、きっとドイツでも有名になっていることだろう。
どうしてるかなと連絡を取ってみたところ、案の上彼女は今ドイツで最も忙しい(有名な)人になっていた。
毎日のようにドイツのテレビ局からの取材、各種インタビュー、国際会議へのビデオ出演等々に引っ張りだこで、寝る暇がないほど忙しいらしい。
ある日道を歩いていたら、「あ、あなたこの間テレビで見たわよ」と声をかけられるほどだそうだ。


今回の革命を喜ばしくも、そうはいっても多くの犠牲者を出したことに悲痛な思いのHODA。
ムバラク大統領は退陣したものの、その後の民主化がどう進むのかの道筋はたっていない。
これに関してはヨーロッパ諸国も冷ややかに見ているようで、Pちゃんの今回の革命に対する見方も慎重だ。
いはく、イスラム国家でありながらもイスラエルと友好を結ぶなど比較的穏健だったムバラク政権による独裁は、(人々には不満でも)ヨーロッパ諸国にとっては“都合のいい”政権だった。しかし今後その体制がどう動くかによってほかのイスラム社会国家は大きく影響されることになる、と。
そしてそれがヨーロッパ諸国にとっては新たな脅威となるだろうというのだ。
なんといっても地続きでまったく違う形態の国々が隣接するヨーロッパ~中東。
昨日の隣国の革命はすぐに明日の自国の脅威となる。日本じゃ考えられないことだ。


★ ★

今日、そんなHODAちゃんから久々にSkype(無料のテレビ電話)がかかってきた。
超有名人になってしまった彼女はどことなくお疲れの様子。
「そんで、どーよ。今回の一連の革命はエジプト国民としてどう思う?」
「この革命はもちろん私にとってもエジプトにとってもとても大きな意味があるし喜ばしいこと。でもこれから先のことを考えると複雑な気持ちにもなるわね」
「あんた、博士論文仕上げる前に歴史が変わっちゃったやん。初めからやり直さなあかんのちゃうん?(笑)」
「・・・・・そうやね~ん(笑)あ~とにかくゆっくり眠りたいわ~。Shokoの作ったおいしい日本食が食べたい。そしたら少しは痩せられるのに」とぼやいていた。
がんばれ、HODA!


HODAのインタビューはこちら。(ドイツ語)



2007年にフランクフルトで再会した時のHODAと、Pちゃん








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