Life in America ~JAPAN編

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WBCとアメリカ~その2

2009-03-11 07:27:46 | アメリカ生活雑感
日本対韓国戦の視聴率が40%にもなろうかという日本に比べて、いやぁ、アメリカの盛り上がっていないことったら。
見事なほどのほとんど無視状態。

アメリカ-カナダ戦ならやっているだろうとテレビをつけてみたが、有料のスポーツ専門チャンネルでしか見られなかった。
そのかわり、カレッジバスケットやプロ野球のオープン戦は放映している。

それならばと夜のスポーツニュースを見てみると、まずはバスケット(NBL)、カレッジバスケット、そしてアイスホッケーとつづき、プロ野球(MLB)のオープン戦。で、コマーシャル明けのほとんど時間切れのようなところにやっとWBCの結果を伝えるという扱い。
もちろんほかの国のことなんて、一切報告なし。

アメリカ人はWBCをどう思っているのか?
先日の新聞のスポーツ欄に面白い記事が載っていた。

ドミニカ出身で現在シカゴカブスで活躍する、右腕のカルロス・マルモル選手を引き合いに出し、
「彼がドミニカ代表でWBCに出場しようとしたとき、ピネラ(カブス)監督が『彼がいなくなったらその間、代わりの選手の出場機会が増えるだろう』というようなきついジョークを飛ばし、それを聞いたカルロス選手がびびって中止したいきさつがある。やはりMLBの選手にとっては目先の仕事が優先になるのだ」

一方で、カルロス選手も苦しい心情を語っている。
「難しい決断だよ。ドミニカチームにもNOとは言えないし。ボクにとってはじめての(WBC出場の)オファーだったのに、それを断るのはきつかった。国に帰ったときみんながボクを責めないでくれることを祈るよ。」

しかしその彼の決心もつかの間、ドミニカチームの監督に「義務感と愛国心」を問いただされ、7日後にはまたまた心を翻すことになる。

しかし所詮、祖国の人たちをがっかりさせ、忠誠心の欠けるやつと怒りを買うことをを恐れる外国人選手の気持ちなんかいったい誰が知るもんか、というのがほとんどのアメリカ人の気持ちだろう、と記事にはある。

「コースケ・フクドメは、昨シーズンの後半はまったく不調で終わったのだから、この春のトレーニングでこそ(チームに残って)復調を証明すべきなのに、それよりも日本チームに参加することを選んだ。それもカルロスと全く同じ理由なのだろう」
と、皮肉たっぷり。
まるで、「祖国から裏切り者扱いされるのが怖くて帰った臆病者」扱いで、その決め付けにも笑える。

アメリカは負けることが嫌い。
負けるかもしれない勝負は見たくないし見ない。
見ないのには言い訳が必要だから作る。それがこれ。

「だって、ほとんどのアメリカのスター選手はWBC出場を断ってるんだぜ。そんなださいチーム応援したってしかたないじゃん」


MLBという大商業チームをかかえるアメリカ側から見てみると、それはそれでWBCを大歓迎できない複雑な事情も垣間見える。
事実、前回WBCに参加したピッチャーの5人に4人は、前年度よりも防御率が落ちている、また14人は4月~5月で故障者リストに入っていることも明らかになっている。(USA Todayのリサーチ)

まずプロ野球ありきのアメリカと、国同士のピュアな戦いを求める他国との深い溝。
アメリカでのWBC放映の状況にも、これほど反映されていてそれもまた面白い。