shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

インド盤「Van Halen」の衝撃 (≧▽≦)

2020-12-19 | Hard Rock
 私が洋楽を聴き始めた1970年代半ば、“ロック・ギターと言えば何はさておきクラプトン、ベック、ペイジの3大ギタリスト” という風潮が強かったが、クラプトンは「I Shot The Sheriff」で私の超苦手ジャンルであるレゲエを演っとるし(←まだ「Crossroads」も「Layla」も知らないド素人だった...)、ベックはこれまた私の大嫌いなフュージョンっぽいアルバムを出しとるしで、“こんなんのどこがロックやねん???” と悶々とした日々を過ごしていた。
 そんな時、突如彗星の如くシーンに現れたのがエディ・ヴァン・ヘイレンだった。ラジオで初めて彼らのデビュー・アルバムを聴いた時の衝撃は今でもハッキリと覚えているが、エディのめくるめくようなギター・ソロのアメアラレ攻撃に完膚なきまでにKOされ、その瞬間からエディこそが私にとってリアルタイムのギター・ヒーローになったのだ。
 だからヴォーカルがデヴィッド・リー・ロスなのかサミー・ヘイガーなのかというのは私には大した問題ではなくて(←まぁバンドの音楽性はかなり違うが...)、エディが縦横無尽にギターを弾き倒してくれさえすればもうそれだけで大満足だった。サミーが抜けたりエディが体調を崩したりで新作が出なくなって以降も彼らの昔のアルバムを聴いては “やっぱりエディのギターは別格やのぉ...(^.^)” とよがっていた。
 そんなエディがこの10月に急逝してしまった。当然ながら私は大きなショックを受け、昔のアルバムを取っ替え引っ替え聴きまくって在りし日のエディを偲んでいたのだが、そんな時ふと “エディのギターをインド盤のチューブ・カットで聴いてみたいなぁ...” という考えが頭をよぎった。ちょうど B-SELSで立て続けにインド盤を購入してSさんと二人で盛り上がっていた頃のことである。早速ネットで探してみたところ、eBayにデビュー・アルバムが1枚だけ出品されていたのだが、何とそれが$300を超えるボッタクリ価格(゜o゜)  確かに激レア盤には違いないが、ものには限度というものがある。
 というワケで “やっぱりアカンか...” と一旦は諦めかけたのだが、そんな時たまたま cd and lp というレコード通販サイトのことを思い出した。ちょうど3年ほど前にフランス盤「Les Beatles」を激安で手に入れた、あのサイトである。“まぁ多分無理やろうけど、ひょっとするとひょっとするかも...” という淡い期待を抱きながら “プレス国:India” でサイト内を検索すると、ラッキーなことに1枚だけ売りに出ていたのである。そのレコードと言うのがやはり例のデビュー・アルバムで、しかも値段を見ると€100... eBayセラーよりも遥かに安い。
 このサイトは他と比べてヨーロッパのセラーの割合が多いのだが、このインド盤もやはりハンガリーのセラーからの出品である。私は世界史に疎いのでインドとハンガリーのつながりはよくわからないのだが、インド盤を買うならインドよりもハンガリーのセラーからの方が盤質が良い場合が多いということは体験上知っている。盤質表記がVG+なら多分EXレベルの音が楽しめるだろうと考え、私は迷わず ORDER をクリックした。
 注文してからちょうど2週間してレコードが届いた。インド盤は当たり外れが大きく、当たった場合はオリジナル盤に勝るとも劣らない凄い音を聴かせてくれるが、ハズレた場合は “何じゃいこれは???” と盤をぶち割りたい衝動に駆られるくらいクソつまらん音を出すので実際に音を聴くまでは油断できない。
 で、€100で買ったこの「Van Halen」はどうだったかというと、これが最高に当たったのであるヽ(^o^)丿  盤質の見た目はVG+どころかVGぐらいの酷い汚れ方だったが、丁寧に水洗いをしてじっくり超音波クリーニングを施すと盤は別物のようにピッカピカになり、実際に針を落として確認するとサーフェス・ノイズの少ないEXレベルのコンディションへとグレードアップしたのだ。
 そんな極上盤質のインド盤で聴く「Van Halen」の音はもう凄いの一言! “当たり”のインド盤の一番の特徴である豊饒な倍音成分の効果はテキメンで、A②「Eruption」なんかもうこれまで聴いたことがないような万華鏡サウンドのギター・ソロがスピーカーから勢いよく飛び出してくる。音圧もかなり高くてUSオリジナル1stプレス盤に勝るとも劣らない爆裂ぶり。続いてA③「You Really Got Me」になだれ込むところなんかもう鳥肌モノの素晴らしさで、エディのギターもキレッキレのツヤッツヤ...(^.^) これだけでもう“買ってよかったぁ... (≧▽≦)” と大喜びだ。
 更にA④「Ain't Talkin' 'Bout Love」、A⑤「I'm The One」と、これだけカッコいいアッパー・チューンを立て続けに聴かせてくれるアルバムを私は他に知らない。スピード感溢れるリフがたまらないB②「Atomic Punk」といい、アコギからエレキに変わる瞬間から一気呵成に加速していくB⑤「Ice Cream Man」といい、バンドが一体となって疾走するこの高揚感は筆舌に尽くし難い。そんなロック史上屈指の大名盤をUS盤ともUK盤とも違う倍音たっぷりの独自サウンドで聴く者を魅了するインド盤で体験できる喜びはまさに priceless だ。
この記事についてブログを書く
« インドの「With The Beatles... | トップ | ウルグアイ盤特集⑥「Ram」「M... »