①黛ジュン「乙女の祈り」(1968.1)
衝撃のデビュー・シングル「恋のハレルヤ」で確立したスタイルを更に突き詰めて生まれた名曲がこの3rdシングル「乙女の祈り」だ。多くのフォロワーを生み出した彼女のユニークな歌唱法に負けないくらい印象的なのがやさぐれたファズ・ギターで、彼女のヴァーカルとバックの演奏が有機的に結びつき、これ以上ないくらいカッコイイひとりGSに仕上がっている。黛ジュンは「ハレルヤ」や「夕月」だけじゃないことを如実に示すキラー・チューンだ。
黛ジュン「乙女の祈り」 1968
②美空ひばり「むらさきの夜明け」(1968.1)
美空ひばりの “ひとりGS” といえば何はさておき「真っ赤な太陽」で決まり!みたいな風潮があるが、それで終わりではあまりにも勿体ない。「真っ赤な太陽」に続いてリリースされたこの「むらさきの夜明け」は知名度は低いが「真っ赤な太陽」に勝るとも劣らない名曲名演なのだ。津々美洋とオールスターズ・ワゴンをバックに従え、持ち前のリズム感と圧倒的な歌唱力で縦横無尽にひとりGSするひばりがめちゃくちゃカッコイイ! かなり荒ぶった演奏でビシッとキメたエンディングの余韻に浸る快感は priceless だ。
美空ひばり むらさきの夜明け(1968年)
③ジュディ・オング「涙のドレス」(1969.3)
私は60年代コロムビア・レコード時代のジュディ・オングが大好きでシングル盤もほとんど持っているが、そんな中でも三指に入る愛聴盤がこの「涙のドレス」だ。邦楽界のレノン&マッカートニーと呼んでも過言ではない「橋本淳&筒美京平」コンビの作品で、ジュディ・オングという名前に油断しているといきなりイントロのファズ・ギターに面食らうというサイケなグルーヴ歌謡なのだ。ジュディ・オング唯一の欠点は歌唱がキレイすぎることだと思うのだが、大暴れするファズ・ギターがそのあたりをうまいこと “汚して” くれている。実に見事な器楽アレンジだ。
「涙のドレス」ジュディ・オング
④由美かおる「星空のシェドン」(1968.2)
60年代の由美かおるはどちらかというと明るくて健康的なイメージの曲が多いのだが、そんな中で異彩を放っているのがこの「星空のシェドン」だ。作曲したのは黛ジュンの「恋のハレルヤ」や川奈ミキの「愛のおもかげ」、ゴールデン・カップスの「長い髪の少女」などでマイナー調の名曲を連発した鈴木邦彦で、イントロを聴いただけでもうウネウネしたサイケなグルーヴ感が横溢、1968年という時代だからこそ生まれた面白い1曲だと思う。
星空のシェドン