エリック・クラプトンのキャリアは長い。60年代中頃から数々の浮き沈みを経験しながらもずーっと第一線で活躍しているというのは凄いことだ。私がよく聴いたのは60年代中期のヤードバーズから81年の「アナザー・チケット」あたりまでの約15年間ぐらいで、それ以降の彼のことは91年のジョージの「ライヴ・イン・ジャパン」と、ポールと共演した2002年の「コンサート・フォー・ジョージ」を除けばほとんど知らないに等しい。いつだったかテレビでアンプラグド・ライブを見たような気もするがほとんど記憶に残っていない。 “枯れた味わい” とか言われても全盛期の彼を知る者としてはただ単に老け込んだようにしか思えなかった。
高校時代から彼のLPは何枚か持っていたが、80年代半ばに世がCD時代に突入した頃、初めて行った東京買い付けツアー(笑)の時に忘れもしない渋谷のタワレコで見つけたのがこの「バックトラッキン」で、2枚組のくせに安かったのと、クラプトンの名演が手っ取り早く聴けるという理由で買ったのを覚えている。このCDはクリーム、ブラインド・フェイス、デレク&ザ・ドミノス、461バンドから80年代初めの武道館ライブまでの音源の中から幅広くチョイスされ、それそれ “シングルス”、“ヒストリー”、“クラシックス”、“ライブ” というテーマ別に4つのパートに分けられており、私のようなええかげんなリスナーにはピッタリの構成だ。
彼の音楽のベースはあくまでもブルースにあるというのは周知の事実だが、その時代時代において彼の表現フォームは微妙に変化していく。そんな中で私が好きなのは、コテコテのブリティッシュ・ロックの原点とでも言うべきクリーム時代と、その延長線上にあるデレク&ザ・ドミノス時代の “ハードな” スタイルのクラプトンだ。正直言って全米№1になったⅠ-①「アイ・ショット・ザ・シェリフ」を始めとする70年代中期以降のレゲエやカントリーっぽい演奏は、バリバリ弾きまくるクラプトンが好きな私にはイマイチ物足りない。やはりジャック・ブルースやジンジャー・ベイカーとの身を削るようなつばぜり合いを通して異常なまでにテンションの高い演奏を繰り広げていた頃のクラプトンが一番好きだ。ギター・リフがゾクゾクするほどカッコ良いⅠ-⑦「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」、ジョージの “音” に涙ちょちょぎれるⅠ-⑨「バッジ」、めちゃくちゃシビレるブルース・ロックの聖典Ⅱ-③「スプーンフル」、あまりにスリリングな演奏に言葉を失う「クロスロード」と、名曲名演のアメアラレだ。しかし「ホワイト・ルーム」が入ってないのは何で???
デレク&ザ・ドミノス時代のⅠ-⑪「いとしのレイラ」(これはジャケットも名盤!)からはやはりタイトル曲、コレしかない。これはもう言わずもがなの絵に描いたような大名曲で、有名すぎるほど有名なあのイントロからクラプトンはありとあらゆるテクニックを駆使して親友の妻への激しい恋心を綴っていく。彼のギターはどちらかというと感情の趣くままに流れを組み立て “ギターを通して自分の心の内にあるものを歌にしていく” という、まるでジャズのインプロヴィゼイションのようなスタイルなので、その時々の精神状態によって好不調・出来不出来の波が大きいように思うのだが、この曲ではパティへの情熱的な想いと親友を裏切れない苦しみという強烈な2つの感情の奔流がそのまま見事な演奏に反映されており、聴く者の心を魅きつけてやまない。後半部でピアノ・ソロからギターが加わり、バンド全体の演奏に移るあたりに人間的な優しさというか温かみが感じられるのはクリーム時代には決してなかったこと。もちろんデュアン・オールマンのむせび泣くスライド・ギターも絶品だ。とにかく何百回聴いても飽きないロック史に燦然と輝く名曲名演だと思う。又、同アルバムからチョイスされたジミヘンのⅠ-⑩「リトル・ウイング」も思わずヴォリュームを上げて音の洪水の中に身を委ねたくなるような濃厚なブルースが楽しめる5分40秒だ。
ライブ・サイドでは80年の武道館ライブ「ジャスト・ワン・ナイト」収録のⅡ-⑩「ブルース・パワー」とⅡ-⑪「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」の2曲に尽きる。特に「ファーザー...」はノリノリの大ブルース・ロック大会で、桑田師匠もサザン初期のライブやAAA’99で取り上げておられた隠れ名曲。この選曲、めっちゃエエよ。まぁこれで「ホワイト・ルーム」の件はチャラにしとこ!
こーやって聴いてみるとやはり自分は“ヒストリー” と “ライブ” ばっかり繰り返し聴いていることに改めて気づく。ブルース・ロック全開で共演者たちと切った貼ったの息詰まるようなインプロヴィゼイションを繰り広げるクラプトンのプレイに彼の最大の成果を見る思いがする。
83年ARMS Concertより3大ギタリスト夢の競演!
ジミー・ペイジのトリッキーな動きはいつ見ても笑えます↓
Layla - eric clapton, jimmy page, jeff beck
高校時代から彼のLPは何枚か持っていたが、80年代半ばに世がCD時代に突入した頃、初めて行った東京買い付けツアー(笑)の時に忘れもしない渋谷のタワレコで見つけたのがこの「バックトラッキン」で、2枚組のくせに安かったのと、クラプトンの名演が手っ取り早く聴けるという理由で買ったのを覚えている。このCDはクリーム、ブラインド・フェイス、デレク&ザ・ドミノス、461バンドから80年代初めの武道館ライブまでの音源の中から幅広くチョイスされ、それそれ “シングルス”、“ヒストリー”、“クラシックス”、“ライブ” というテーマ別に4つのパートに分けられており、私のようなええかげんなリスナーにはピッタリの構成だ。
彼の音楽のベースはあくまでもブルースにあるというのは周知の事実だが、その時代時代において彼の表現フォームは微妙に変化していく。そんな中で私が好きなのは、コテコテのブリティッシュ・ロックの原点とでも言うべきクリーム時代と、その延長線上にあるデレク&ザ・ドミノス時代の “ハードな” スタイルのクラプトンだ。正直言って全米№1になったⅠ-①「アイ・ショット・ザ・シェリフ」を始めとする70年代中期以降のレゲエやカントリーっぽい演奏は、バリバリ弾きまくるクラプトンが好きな私にはイマイチ物足りない。やはりジャック・ブルースやジンジャー・ベイカーとの身を削るようなつばぜり合いを通して異常なまでにテンションの高い演奏を繰り広げていた頃のクラプトンが一番好きだ。ギター・リフがゾクゾクするほどカッコ良いⅠ-⑦「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」、ジョージの “音” に涙ちょちょぎれるⅠ-⑨「バッジ」、めちゃくちゃシビレるブルース・ロックの聖典Ⅱ-③「スプーンフル」、あまりにスリリングな演奏に言葉を失う「クロスロード」と、名曲名演のアメアラレだ。しかし「ホワイト・ルーム」が入ってないのは何で???
デレク&ザ・ドミノス時代のⅠ-⑪「いとしのレイラ」(これはジャケットも名盤!)からはやはりタイトル曲、コレしかない。これはもう言わずもがなの絵に描いたような大名曲で、有名すぎるほど有名なあのイントロからクラプトンはありとあらゆるテクニックを駆使して親友の妻への激しい恋心を綴っていく。彼のギターはどちらかというと感情の趣くままに流れを組み立て “ギターを通して自分の心の内にあるものを歌にしていく” という、まるでジャズのインプロヴィゼイションのようなスタイルなので、その時々の精神状態によって好不調・出来不出来の波が大きいように思うのだが、この曲ではパティへの情熱的な想いと親友を裏切れない苦しみという強烈な2つの感情の奔流がそのまま見事な演奏に反映されており、聴く者の心を魅きつけてやまない。後半部でピアノ・ソロからギターが加わり、バンド全体の演奏に移るあたりに人間的な優しさというか温かみが感じられるのはクリーム時代には決してなかったこと。もちろんデュアン・オールマンのむせび泣くスライド・ギターも絶品だ。とにかく何百回聴いても飽きないロック史に燦然と輝く名曲名演だと思う。又、同アルバムからチョイスされたジミヘンのⅠ-⑩「リトル・ウイング」も思わずヴォリュームを上げて音の洪水の中に身を委ねたくなるような濃厚なブルースが楽しめる5分40秒だ。
ライブ・サイドでは80年の武道館ライブ「ジャスト・ワン・ナイト」収録のⅡ-⑩「ブルース・パワー」とⅡ-⑪「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」の2曲に尽きる。特に「ファーザー...」はノリノリの大ブルース・ロック大会で、桑田師匠もサザン初期のライブやAAA’99で取り上げておられた隠れ名曲。この選曲、めっちゃエエよ。まぁこれで「ホワイト・ルーム」の件はチャラにしとこ!
こーやって聴いてみるとやはり自分は“ヒストリー” と “ライブ” ばっかり繰り返し聴いていることに改めて気づく。ブルース・ロック全開で共演者たちと切った貼ったの息詰まるようなインプロヴィゼイションを繰り広げるクラプトンのプレイに彼の最大の成果を見る思いがする。
83年ARMS Concertより3大ギタリスト夢の競演!
ジミー・ペイジのトリッキーな動きはいつ見ても笑えます↓
Layla - eric clapton, jimmy page, jeff beck