shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ザ・ピーナッツ・オン・ステージ

2009-01-30 | 昭和歌謡
 ザ・ピーナッツの音楽性は幅広い。典型的な昭和歌謡からアメリカン・ポップス、ボサ・ノヴァ、スタンダード・ソングに民謡と、ありとあらゆる音楽ジャンルの楽曲にチャレンジし、物の見事に自分達の歌として聴かせてしまう。このライヴ盤でもユーライア・ヒープ、キャロル・キング、アイク&ティナ・ターナー、ゴッドファーザーのテーマ、そして定番のアメリカン・オールディーズ・ヒット・メドレーと、様々なジャンルの楽曲のカヴァーを披露しているのだが、何よりも驚いたのがキング・クリムゾンの「エピタフ」だった。
 昭和歌謡の象徴とでもいうべきザ・ピーナッツがプログレッシヴ・ロックの王者キング・クリムゾンの曲を取り上げたという事実だけでも凄いのに、その出来がまた抜群に素晴らしい。私なんか正直なところ、あのイントロを聴いただけで万感胸に迫るものがあるのだが、このザ・ピーナッツ版エピタフは原曲が湛えていた虚無感を見事なハーモニーで再現し、とても女性デュオ向きとは思えないこの曲をじっくりと歌い上げているのだ。特に後半部の盛り上がりには凄まじいモノがあり、“crying...”を繰り返すパートなんかもう背筋がゾクゾクする。
 感動の「エピタフ」が終わると、間髪をいれず岸部シローのとぼけたMCが入ってくる... 「ヘッヘッヘッヘッ... さて、私達はこれから皆さんを不思議な不思議なぽっぷすたいむとんねるにご案内いたしします... E.プレスリー、P.アンカ、P.ブーン、N.セダカ そしてC.フランシスの時代に遡り、70年代のナウなサウンドの原点を探し出すこと... それは明日のポップスイメージを一層豊かにする試みでもあります。それでは早速まいりましょう... ぽっぷすたいむとんねるぅ~」... 例のシロー節が全開で、それまでの荘厳なムードがぶち壊し(>_<)、まるでカーネギー・ホールからなんば花月へと無理やり瞬間移動させられたかのような落差に唖然とさせられる。まぁ「ベンチャーズ・ライヴ・イン・ジャパン」のビン・コンセプションに匹敵するくらいの変な MC が聴けるという意味でも貴重な CD かもしれない(笑)
 そのオールディーズ・メドレ-では「ダイアナ」の2分40秒あたりからのハモリ方がめちゃくちゃカッコイイ!!! 「レモンのキッス」ではカヴァーがオリジナル・ヴァージョンを超える瞬間を体験できるし、「ビー・マイ・ベイビー」では「二人ロネッツ」と化して追っかけ二重唱を聞かせてくれる。やはり60'sのオールディーズの名曲たちとザ・ピーナッツは相性バツグンだ。オリジナル・コーナーでは東京、サンフランシスコ、リオの「女」シリーズ3部作メドレーに続いて「情熱の花」「ふりむかないで」「ウナ・セラ・ディ東京」「恋のフーガ」と、次から次へと大ヒット曲のアメアラレ攻撃(≧▽≦) 最後は当時の新曲「さよならは突然に」の躍動感溢れる歌唱に続いて岸辺シローの棒読みMC(笑)からデビュー曲「小さな花」のニュー・アレンジ・ヴァージョンでコンサートは幕を閉じる。歌、選曲、アレンジ... そのすべてが素晴らしい、非常に中身の濃いライヴ盤だ。

ザ・ピーナッツ 「エピタフ」 (キング・クリムゾンカバー)

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