昨日の「エキゾチック・ビートルズ」はいくらビートルズ・カヴァーものとはいえ、ちょっと色物に走り過ぎたかなぁと反省(?)している。犬猫の鳴き声で聴くビートルズ・ナンバーなんて、話のネタとしては面白いけれど、決してスピーカーに対峙して聴くようなマトモな音楽ではない(というか、音が部屋の外に漏れたら家族や近所に恥ずかしすぎる...)からだ。ということで今日は昨日の失地回復、汚名返上を期して、胸を張って万人にオススメできる格調高いビートルズ・カヴァー集をご紹介したい。
この「ア・ビートルズ・トリビュート~ナンバー・ワン・アゲイン」はアマゾンで “beatles tribute” 検索をしていて引っ掛かってきた。残念ながら日本のアマゾンでは試聴が設定されておらず、解説に“才能に溢れる無名女性シンガーたちによるビートルズ・ナンバーのアコースティック・カヴァー集。ビートルズ・ファンはもちろんのこと、シェリル・クロウ、アニ・ディフランコ、サラ・マクラクラン、ジュエルといったコンテンポラリーな女性シンガーのファンにもアピールしそうなユニークな解釈が楽しめます。” とあるのみ。アコースティック・カヴァー集か... 要するに女性ヴォーカルによるアンプラグド物ってことやね。90年代以降の洋楽シーンは全く分からないのでシェリル・クロウ以外の名前は知らなかったが、何となく良さそうな雰囲気だ。物は試しとUSアマゾンで検索してみると、ちゃーんと試聴設定されていた。同じアマゾンやのにこの違いは一体何なん?Listen to all をクリックし、各曲30秒ずつで計6分のミュージック・サンプラーを聴いて “これはめちゃくちゃエエぞ!” と大コーフンした私は早速その場でオーダーした。
私はこのような未知のアーティスト盤が届くとまずジャケ裏解説を見るようにしているのだが、このCDは困ったことにそういったアーティスト情報が皆無に等しい。全12曲をそれぞれ違った無名の女性シンガーが歌っているというのに、記されているのはシンガーの名前と伴奏楽器のパーソネルのみ。個々のシンガーの小さな写真すら載っていない。 Reverberations というレーベル名も、 Lakeshore Records というレコード会社名も聞いたことがないが、 Printed in the USA 2002 とあるのでUS盤であることだけは間違いない。多分小さなローカル・レーベルなのだろうが、不親切というか、ホンマに売る気あんのか、とツッコミを入れたくなるくらいシンプルなジャケットだ。
しかし中身の音楽の方は文句のつけようがないくらいに素晴らしい。ちょうど「アイ・アム・サム」のサントラ盤に入っていた女性ヴォーカル・ナンバー(エイミー・マンやサラ・マクラクランetc)っぽい雰囲気を持った演奏を集めたようなコンピレーション盤だ。 Leslie King の①「サムシング」はしっとりと落ち着いた歌声が静謐な曲想とベストのマッチングを見せる。シンプル・イズ・ベストを地で行く名演だ。ちょっと甘ったるい声のNikki Boyer の②「抱きしめたい」は元気印な原曲を大胆にアレンジし、ピアノの弾き語りのような雰囲気でスローに迫る。ちょうどペトゥラ・クラークの同曲カヴァー・ヴァージョンみたいな雰囲気だが、これはこれでエエ感じだ。Lisa Furguson の③「ロング・アンド・ワインディング・ロード」はポールが目指した素朴な味わいを上手く表出している。可憐な声質も私の好みなのだが、エコーを効かせすぎなのと、ピアノの録音レベルが大きすぎてヴォーカルの邪魔をしているのが難点か。尻切れトンボなエンディングのアレンジももうひと工夫欲しいところだ。
Melissa Quade の④「ヘルプ」は原曲に忠実なアレンジが大正解。アコギを駆使して曲の髄を見事に引き出したサウンドにいかにもヤンキー娘といった雰囲気の力強いヴォーカルがバッチリ合っている。一人追っかけ二重唱もたまらない。Katherine Ramirez の⑤「恋を抱きしめよう」も④と同様にシンプルで力強いアコギのストロークが曲の良さを引き出し、ちょっと鼻にかかったようなキャサリンの表情豊かな歌声が楽しめるという、アンプラグドのお手本のようなトラックだ。リズミカルな④⑤に続く Erin Arden の⑥「ハロー・グッバイ」もやはり同傾向の曲想でアレンジされており、普通なら単調に感じてくるはずが全然そんなことはなく、むしろ曲が進むにつれてこのアルバムに引き込まれていく。まるで「ナンバー・ワン・アゲイン」という曲が1曲あって、それが12楽章に分けられた組曲風の大作を聴いているかのようだ。
Brielle Morgan の⑦「エリナー・リグビー」は重厚なストリングスにギターが絡むバックに乗ってビートルズ御用達のダブル・トラッキングによるヴォーカルで迫るというアレンジが素晴らしい。彼女のドスの効いた歌声はそんなバックに負けないぐらい存在感のあるものだ。Thee Ray の⑧「ヘイ・ジュード」では一転してそのちょっぴり舌っ足らずでフェミニンな歌声に癒される。乱発気味(?)のダブル・トラッキングも効果抜群で、スピーカーの前に分厚い音の塊が屹立するかのようだ。Jill Guide の⑨「レディ・マドンナ」はバックの演奏やコーラスなどの作り込みはさすがなのだが、ヴォーカリストがやや凡庸なのが残念。そんなにワメかずにもっとストレートに歌えばいいのに...
Jess Goldman の⑩「レット・イット・ビー」、ゴスペルとしての本質を見抜いた彼女の歌唱スタイルはお見事という他ない。意表を突いた中間部のアコギ・ソロの歌心溢れるプレイにも脱帽だ。Hathaway Pogue の⑪「ペニー・レイン」はいきなりピアノの伴奏と共に飛び出す彼女の “ペニレェン~♪” という第一声だけでもうノックアウト、もうめっちゃ癒される(≧▽≦) 声質は違うが歌唱法はスザンナ・ホフスを想わせるキュート系だ。 Maureen Mahon の⑫「愛こそはすべて」はちょうどペギー・リーの「フィーヴァー」みたいなフィンガー・スナッピングとアップライト・ベースをフィーチャーした大胆なアレンジで、 “この手があったのか!” とその斬新な発想に思わず感心してしまった。
さっき久しぶりにアマゾンで確認してみたらアメリカ本国ではすでに廃盤になっており、日本のアマゾン・マーケットプレイスで中古を2枚(うち1枚は10,736円というアホバカ・プレミア価格です...笑)残すのみ。こういった超マイナー・レーベル盤は再発の可能性がほぼゼロに等しいので、興味のある方は早めにゲットしましょう。
ペニー・レイン
この「ア・ビートルズ・トリビュート~ナンバー・ワン・アゲイン」はアマゾンで “beatles tribute” 検索をしていて引っ掛かってきた。残念ながら日本のアマゾンでは試聴が設定されておらず、解説に“才能に溢れる無名女性シンガーたちによるビートルズ・ナンバーのアコースティック・カヴァー集。ビートルズ・ファンはもちろんのこと、シェリル・クロウ、アニ・ディフランコ、サラ・マクラクラン、ジュエルといったコンテンポラリーな女性シンガーのファンにもアピールしそうなユニークな解釈が楽しめます。” とあるのみ。アコースティック・カヴァー集か... 要するに女性ヴォーカルによるアンプラグド物ってことやね。90年代以降の洋楽シーンは全く分からないのでシェリル・クロウ以外の名前は知らなかったが、何となく良さそうな雰囲気だ。物は試しとUSアマゾンで検索してみると、ちゃーんと試聴設定されていた。同じアマゾンやのにこの違いは一体何なん?Listen to all をクリックし、各曲30秒ずつで計6分のミュージック・サンプラーを聴いて “これはめちゃくちゃエエぞ!” と大コーフンした私は早速その場でオーダーした。
私はこのような未知のアーティスト盤が届くとまずジャケ裏解説を見るようにしているのだが、このCDは困ったことにそういったアーティスト情報が皆無に等しい。全12曲をそれぞれ違った無名の女性シンガーが歌っているというのに、記されているのはシンガーの名前と伴奏楽器のパーソネルのみ。個々のシンガーの小さな写真すら載っていない。 Reverberations というレーベル名も、 Lakeshore Records というレコード会社名も聞いたことがないが、 Printed in the USA 2002 とあるのでUS盤であることだけは間違いない。多分小さなローカル・レーベルなのだろうが、不親切というか、ホンマに売る気あんのか、とツッコミを入れたくなるくらいシンプルなジャケットだ。
しかし中身の音楽の方は文句のつけようがないくらいに素晴らしい。ちょうど「アイ・アム・サム」のサントラ盤に入っていた女性ヴォーカル・ナンバー(エイミー・マンやサラ・マクラクランetc)っぽい雰囲気を持った演奏を集めたようなコンピレーション盤だ。 Leslie King の①「サムシング」はしっとりと落ち着いた歌声が静謐な曲想とベストのマッチングを見せる。シンプル・イズ・ベストを地で行く名演だ。ちょっと甘ったるい声のNikki Boyer の②「抱きしめたい」は元気印な原曲を大胆にアレンジし、ピアノの弾き語りのような雰囲気でスローに迫る。ちょうどペトゥラ・クラークの同曲カヴァー・ヴァージョンみたいな雰囲気だが、これはこれでエエ感じだ。Lisa Furguson の③「ロング・アンド・ワインディング・ロード」はポールが目指した素朴な味わいを上手く表出している。可憐な声質も私の好みなのだが、エコーを効かせすぎなのと、ピアノの録音レベルが大きすぎてヴォーカルの邪魔をしているのが難点か。尻切れトンボなエンディングのアレンジももうひと工夫欲しいところだ。
Melissa Quade の④「ヘルプ」は原曲に忠実なアレンジが大正解。アコギを駆使して曲の髄を見事に引き出したサウンドにいかにもヤンキー娘といった雰囲気の力強いヴォーカルがバッチリ合っている。一人追っかけ二重唱もたまらない。Katherine Ramirez の⑤「恋を抱きしめよう」も④と同様にシンプルで力強いアコギのストロークが曲の良さを引き出し、ちょっと鼻にかかったようなキャサリンの表情豊かな歌声が楽しめるという、アンプラグドのお手本のようなトラックだ。リズミカルな④⑤に続く Erin Arden の⑥「ハロー・グッバイ」もやはり同傾向の曲想でアレンジされており、普通なら単調に感じてくるはずが全然そんなことはなく、むしろ曲が進むにつれてこのアルバムに引き込まれていく。まるで「ナンバー・ワン・アゲイン」という曲が1曲あって、それが12楽章に分けられた組曲風の大作を聴いているかのようだ。
Brielle Morgan の⑦「エリナー・リグビー」は重厚なストリングスにギターが絡むバックに乗ってビートルズ御用達のダブル・トラッキングによるヴォーカルで迫るというアレンジが素晴らしい。彼女のドスの効いた歌声はそんなバックに負けないぐらい存在感のあるものだ。Thee Ray の⑧「ヘイ・ジュード」では一転してそのちょっぴり舌っ足らずでフェミニンな歌声に癒される。乱発気味(?)のダブル・トラッキングも効果抜群で、スピーカーの前に分厚い音の塊が屹立するかのようだ。Jill Guide の⑨「レディ・マドンナ」はバックの演奏やコーラスなどの作り込みはさすがなのだが、ヴォーカリストがやや凡庸なのが残念。そんなにワメかずにもっとストレートに歌えばいいのに...
Jess Goldman の⑩「レット・イット・ビー」、ゴスペルとしての本質を見抜いた彼女の歌唱スタイルはお見事という他ない。意表を突いた中間部のアコギ・ソロの歌心溢れるプレイにも脱帽だ。Hathaway Pogue の⑪「ペニー・レイン」はいきなりピアノの伴奏と共に飛び出す彼女の “ペニレェン~♪” という第一声だけでもうノックアウト、もうめっちゃ癒される(≧▽≦) 声質は違うが歌唱法はスザンナ・ホフスを想わせるキュート系だ。 Maureen Mahon の⑫「愛こそはすべて」はちょうどペギー・リーの「フィーヴァー」みたいなフィンガー・スナッピングとアップライト・ベースをフィーチャーした大胆なアレンジで、 “この手があったのか!” とその斬新な発想に思わず感心してしまった。
さっき久しぶりにアマゾンで確認してみたらアメリカ本国ではすでに廃盤になっており、日本のアマゾン・マーケットプレイスで中古を2枚(うち1枚は10,736円というアホバカ・プレミア価格です...笑)残すのみ。こういった超マイナー・レーベル盤は再発の可能性がほぼゼロに等しいので、興味のある方は早めにゲットしましょう。
ペニー・レイン