1987年の夏のことだった。アメリカのヒット・チャートでU2やマドンナ、マイケル・ジャクソンといったビッグ・ネームたちの楽曲に混じって無名の新人スザンヌ・ヴェガの「ルカ」という曲が3位にまで上がる大健闘を見せた。初めてこの曲を聴いた時は、まずそのキャッチーでラヴリーなメロディーとどこか醒めたようなクールな歌声が一発で気に入ったのだが、アメリカン・トップ40の番組でDJのケイシー・ケイサムが「これは児童虐待についての歌です」と紹介しているのを聴いてビックリした。明るく軽快なサウンドに乗って、実にヘヴィーな内容が歌われていたのだ。
「僕の名前はルカ 2階に住んでるんだ 君のちょうど上だよ
僕のこと、見たことあるでしょ
真夜中に何か聞こえても たとえばケンカみたいな物音とかさ
どうしたのって聞かないでね 何があったのって聞かないでね 何も聞かないでね
僕って不器用なんだよ 大声では話さないようにしてるんだけど 僕が悪いんだよ
生意気そうにしないようにしてるんだけど
あの人たち、僕が泣くまで叩くんだ そしたら「どうして?」なんて聞けなくなるよ
逆らっちゃいけないんだ 口答えしちゃいけないんだ 黙って大人しくしているんだ
僕は大丈夫だと思う ちゃんと家に帰るよ 心配しないで
とにかく君には関係のないことだから 僕、ひとりになりたいんだ
何も壊されたり投げられたりしない所で
僕のこと、何も聞かないでね どうしてるって聞かないでね もう何も聞かないでね」
私が何よりも感銘を受けたのは、この重いメッセージを歌に登場する少年の言葉に託して間接的に語らせているところで、ダイレクトに「児童虐待反対!」と叫ぶよりもずっと心の奥深くまで伝わってくるものがある。大声で叫ぶことなくこういった問題提起ができる彼女の感性には脱帽だ。そんな②「ルカ」の入った彼女のセカンド・アルバムがこの「ソリチュード・スタンディング」で、彼女のソフトな声で淡々と囁くように語りかけてくるヴォーカル・スタイルがシンプルな楽曲にマッチして淡いセピア色の音世界を構築する。中でも彼女がアカペラで歌う①「トムズ・ダイナー」は派手さはないのに何故か耳に残る不思議な魅力を持った曲で、3年後にDNAという2人組がビートを被せてハウスミックス処理したヴァージョンが大ヒット。例の「トゥットゥットゥ~ルゥ~ トゥットゥットゥ~ルゥ~♪」が耳について離れない時期があったなぁ... それ以外にも③「鉄の街」や⑥「孤独」のように聴き込めば聴き込むほど彼女の音世界にハマッていきそうな味わい深い佳曲が揃っている。今聴いても全然古さを感じさせない素晴らしいアルバムだ。
Lyrics - Luka (Suzanne Vega)
「僕の名前はルカ 2階に住んでるんだ 君のちょうど上だよ
僕のこと、見たことあるでしょ
真夜中に何か聞こえても たとえばケンカみたいな物音とかさ
どうしたのって聞かないでね 何があったのって聞かないでね 何も聞かないでね
僕って不器用なんだよ 大声では話さないようにしてるんだけど 僕が悪いんだよ
生意気そうにしないようにしてるんだけど
あの人たち、僕が泣くまで叩くんだ そしたら「どうして?」なんて聞けなくなるよ
逆らっちゃいけないんだ 口答えしちゃいけないんだ 黙って大人しくしているんだ
僕は大丈夫だと思う ちゃんと家に帰るよ 心配しないで
とにかく君には関係のないことだから 僕、ひとりになりたいんだ
何も壊されたり投げられたりしない所で
僕のこと、何も聞かないでね どうしてるって聞かないでね もう何も聞かないでね」
私が何よりも感銘を受けたのは、この重いメッセージを歌に登場する少年の言葉に託して間接的に語らせているところで、ダイレクトに「児童虐待反対!」と叫ぶよりもずっと心の奥深くまで伝わってくるものがある。大声で叫ぶことなくこういった問題提起ができる彼女の感性には脱帽だ。そんな②「ルカ」の入った彼女のセカンド・アルバムがこの「ソリチュード・スタンディング」で、彼女のソフトな声で淡々と囁くように語りかけてくるヴォーカル・スタイルがシンプルな楽曲にマッチして淡いセピア色の音世界を構築する。中でも彼女がアカペラで歌う①「トムズ・ダイナー」は派手さはないのに何故か耳に残る不思議な魅力を持った曲で、3年後にDNAという2人組がビートを被せてハウスミックス処理したヴァージョンが大ヒット。例の「トゥットゥットゥ~ルゥ~ トゥットゥットゥ~ルゥ~♪」が耳について離れない時期があったなぁ... それ以外にも③「鉄の街」や⑥「孤独」のように聴き込めば聴き込むほど彼女の音世界にハマッていきそうな味わい深い佳曲が揃っている。今聴いても全然古さを感じさせない素晴らしいアルバムだ。
Lyrics - Luka (Suzanne Vega)