shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Budokan 2016 「1st Night」&「Final Night」/ Queen + Adam Lambert

2024-04-07 | Queen

 クイーンとアダム・ランバートの出会いは2009年に「アメリカン・アイドル」という “米国版スター誕生” みたいなTV番組にブライアンとロジャーがゲスト出演した時が最初で、アダムの歌声に惚れ込んだ二人が正式にクイーンへの参加を打診し、2012年からライヴ活動を始めて今に至るのだが、その当時の私は “クイーンはオリジナル・メンバー4人が揃ってこそ。他のヴォーカリストを迎えて活動を続けるのはちょっと違うんちゃうか...” と考えていたこともあって、2度の来日公演、すなわち2014年のサマソニも2016年の武道館もスルーしていた。
 しかしよくよく考えてみるとフレディーが亡くなった時点で “現役バリバリのロックバンド” としてのクイーンはその使命を終えているのであって、それ以降の “ブライアン&ロジャー+α” の活動は現役時代の名曲を再現する “最強のコピー・バンド”(←もちろん肯定的な意味で...)と考えればよいのではないか。ちょうどジョンもジョージもリンゴもいないポールのコンサートにファンがビートルズ・ナンバーを求めるのと同じことである。2020年に来日が決まった時はちょうど映画「ボヘミアン・ラプソディー」でクイーン熱が再燃していたこともあって、迷わずに京セラドームに足を運び、実際にアダムのステージを見て “こいつは本物や!” と己の間違いに気付いた次第。It's never too late to mend(改めるに遅すぎることはない)である。
 すっかり Queen + Adam Lambert という新ユニットが気に入った私が遅まきながら過去の来日公演の音源や映像を入手してチェックしたところ、今回のドーム・ツアーとはセトリやアレンジが微妙に違っており、特に2016年の武道館公演の出来が素晴らしかったので、2024クイーン祭りのスピンオフとして2枚のオーディエンス録音盤をこのブログで取り上げようと思う。
 2016年の武道館公演は9/21, 22, 23の3夜連続で行われたもので、セトリ面ではドラム・ソロ前のロジャーのヴォーカル曲が初日と最終日は「These Are The Days Of Our Lives」で2日目のみ「A Kind Of Magic」になっていることと、「The Show Must Go On」が2日目以降セトリ落ちしてしまったことが3日間での違いだ。今回の2024ツアーと比べてみると「Love Of My Life」と「Teo Toriatte」という鉄板アコースティック・セットは変わらないが、「Hammer To Fall」に続いて初期を代表するハードロック・ナンバーの一つである「Stone Cold Crazy」が演奏されているのが目を引く。私がクイーンで一番好きなのはアッパーなロックンロール・チューンなのでこれはめっちゃ嬉しいし、贅沢を言わせてもらえばここに「Keep Yourself Alive」と「Now I'm Here」、そして「Ogre Battle」(←一度でいいからアダム版空耳 “横目がスケベくさ~い” を聴いてみたい...)が加われば最高やろなと思った。
 アレンジ面では何と言っても「Somebody To Love」の後半部をアップテンポで畳みかけるところがめちゃくちゃ気に入っていて(←後で知ったが、この斬新なアレンジは2012年のモスクワ公演で既にやってた...)、オーディエンスの反応も抜群に良いし、贅沢を言わせてもらえば「ラプソディー・ツアー」でもこのアレンジでやってほしかった。又、「Tie Your Mother Down」の後半部でアダムがオーディエンスと掛け合いをして盛り上げるところもさすがという感じ。アダム・ランバート、恐るべしだ。
 この時のコンサートはクイーンにとって31年ぶり(!)の武道館ということでメンバーも興が乗ったのか実によく喋る3日間で、MCを聴いているだけでバンドとファンが作り上げた温かい空間が目に浮かんでくるようだ。特にアコースティック・セット時のブライアンの“セルフィー クダサイ!” で始まる “自撮り棒を使ったファンとの360° 撮影会”には心が和むし、最終日に武道館20回目というところを日本語で“12回!”と言い間違えるところなんかも(←日本人がtwelveとtwentyを間違えるのと同じやね...)実に微笑ましい。
【Audio】Day 2 - Queen+Adam Lambert Live at Budokan, Tokyo, Japan 9.22.2016


 ライトハウスがリリースしたこの「Budokan 2016 1st Night」と「Budokan 2016 Final Night」はどちらも音がめちゃくちゃ良くて、Xavel から出ている IEM マトリクス録音盤「Magnificent Budokan」をも軽く凌駕する高音質だ。商品説明によると2枚とも日本武道館の八角形空間ごしにステージと正対する録音の特等席とでもいうべき南側スタンドで録音されたもので、2階席で録られた「1st Night」の方は “「まるでサウンドボード」と呼んでしまったらむしろ失礼に思えるほどの超絶リッチなサウンド” で立体感が際立ち、1階席で録られた「Final Night」の方は “左右のバランスが均質で、正面からの楽音が突き抜けてくる絶妙なサウンド” で、ステージに近い分だけ楽音の太さで勝っているとのこと。私は6:4で「1st Night」の方に軍配を上げたいが、これはもう “好みの差” レベルの違いでしかないと思う。とにかくどちらもオーディエンス録音盤かくあるべし... と言いたくなるような高音質だ。