K家という著名なお宅の先祖附が、他家の資料袋の中から出てきた。それも本家・分家二家分が一つ綴じにしてある。
本家分については有禄士族基本帳迄取っている。改めて二家分を分けてクリップ止めにして新たに資料袋も整えた。
そんな作業をする中で有禄士族基本帳に普段では記載ない特別な記事が付けられていた。
何気に目が行ったが、見なければ良かった。
明治十年五月と十一年の一月の二度に亘り、官山に自ら又は雇人と共に入り込み立木を都合十四本盗伐したというのである。
その代償は大きかった。「料賊盗律常人盗ニ準シテ諭シ士族破廉恥ニ係ルヲ以テ・・・」除族の上懲役六十日・杖六十に処されている。
杖とは杖打ちのことであり、その数60ともなると大変苦痛を伴ったであろう。
盗伐の木は没収されるべきところ、「己之費用スルニ依・・追徴に不及」とある。
実は以前、全く同様の事例に出くわしたことがある。こちらはご依頼を受けて先祖附を取得して読み下しを行い、同様の記述が見受けられたため、「不愉快に思われる記述がある」旨を事前にご連絡した上、ご了解を得てお送りした。
高祖父の兄に当たられる人物の行為が腹に据えかねたらしく、随分御機嫌を損ねられたことを思い出す。
その高祖父という人は歴史に残る著名人であった。
この二つの事例は大変内容が類似している。その裁判が行われた裁判所も同じところだと思う。
明治十年~十一年という時代からすると、西南の役で被災された結果ではないかと推測している。
先祖附や有禄士族基本帳を読むと、このような記載に時々遭遇して、おろおろしてしまう。
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