実録・警視庁公安警部(泉修三 新潮文庫)
普通の警官としての経験のほか公安、外事も経験した警官の自叙伝。
良く言えばユーモアのある語り口のノンフィクション、悪く言うといいかげんな構成の自慢話。
公安や外事のあたりは、高村薫さんや麻生幾さんに書かせたら緊迫感に満ちた重々しいサスペンスになりそうな素材なのだが、この著者に語らせると、漫談調とでもいうのか、はりつめた雰囲気は全く感じられなかった。
話半分で聞いたとしても、著者の仕事ぶりは確かに熱心で有能そうにみえるし、平凡な警官ではこんなキャリアを積み上げることはできないと思われる。
経験が過酷すぎてストレートに描くことが難しくてわざとふざけた文章にしているのか、あるいは、第三者的に見ると厳しい現実も当事者が後から振り返ると美しく楽しい思い出になってしまうのか、どちらかなのだろう。
高度成長時代の仕事熱心なお父さんの典型という感じで、職業生活は充実していても私生活は崩壊(離婚、資産ゼロ、アル中、神経症)していたようだが、そのあたりもあっけらかんとした表現で、悲壮感はかけらもない。
新潮文庫なんだから、細かいところの言葉づかいとか全体構成とか、編集がもう少し指摘してあげればいいのにとも思った。だが、そういうことをすると、ライブ感みたいなのが薄れてしまってつまらない本になってしまうのかもしれないが。
普通の警官としての経験のほか公安、外事も経験した警官の自叙伝。
良く言えばユーモアのある語り口のノンフィクション、悪く言うといいかげんな構成の自慢話。
公安や外事のあたりは、高村薫さんや麻生幾さんに書かせたら緊迫感に満ちた重々しいサスペンスになりそうな素材なのだが、この著者に語らせると、漫談調とでもいうのか、はりつめた雰囲気は全く感じられなかった。
話半分で聞いたとしても、著者の仕事ぶりは確かに熱心で有能そうにみえるし、平凡な警官ではこんなキャリアを積み上げることはできないと思われる。
経験が過酷すぎてストレートに描くことが難しくてわざとふざけた文章にしているのか、あるいは、第三者的に見ると厳しい現実も当事者が後から振り返ると美しく楽しい思い出になってしまうのか、どちらかなのだろう。
高度成長時代の仕事熱心なお父さんの典型という感じで、職業生活は充実していても私生活は崩壊(離婚、資産ゼロ、アル中、神経症)していたようだが、そのあたりもあっけらかんとした表現で、悲壮感はかけらもない。
新潮文庫なんだから、細かいところの言葉づかいとか全体構成とか、編集がもう少し指摘してあげればいいのにとも思った。だが、そういうことをすると、ライブ感みたいなのが薄れてしまってつまらない本になってしまうのかもしれないが。