光炎の人(木内昇 角川書店)
明治時代、田舎のたばこ農家の三男として生まれた音三郎は、機械に強い興味を持ち、タバコの処理工場で働く。機械好きが嵩じていろいろな工場を転々とするうち、軍需工場で無線通信機の開発に没頭するようになるが・・・という話。
はじめのうち、若者が研究開発者として大成していく一種の職業小説なんだろうなあと思って読んでいたのだが、上巻の終わりころから流れが変わって、それまで素朴でおとなしい性格だった音三郎は、自分の研究に役立たないことは(親族や恋人も含めて)次々と切り捨てていく冷血漢になってしまう。
後世に影響を与える発明や発見をした人物は、一般人からみると変人に見えることが多かったようで、逆に言うと研究以外の人生の諸事には興味がないような人でないと偉大な業績は残せないのだろう。
終盤では、満州での歴史的事件にからめて、そんなもの狂い的技術者の悲劇を、かなりスペクタフルに描いて、けっこうハラハラする場面もあり小説としては面白いのだが、やや読後感が悪いのと、数々の伏線があまり回収されてない点に不満が残った。
私としては、田舎から出てきた純朴な青年が努力の果てにやがて小さな成功を成し遂げる、みたいなほのぼのとした内容を期待していたので、その点ではやや残念だった。
明治時代、田舎のたばこ農家の三男として生まれた音三郎は、機械に強い興味を持ち、タバコの処理工場で働く。機械好きが嵩じていろいろな工場を転々とするうち、軍需工場で無線通信機の開発に没頭するようになるが・・・という話。
はじめのうち、若者が研究開発者として大成していく一種の職業小説なんだろうなあと思って読んでいたのだが、上巻の終わりころから流れが変わって、それまで素朴でおとなしい性格だった音三郎は、自分の研究に役立たないことは(親族や恋人も含めて)次々と切り捨てていく冷血漢になってしまう。
後世に影響を与える発明や発見をした人物は、一般人からみると変人に見えることが多かったようで、逆に言うと研究以外の人生の諸事には興味がないような人でないと偉大な業績は残せないのだろう。
終盤では、満州での歴史的事件にからめて、そんなもの狂い的技術者の悲劇を、かなりスペクタフルに描いて、けっこうハラハラする場面もあり小説としては面白いのだが、やや読後感が悪いのと、数々の伏線があまり回収されてない点に不満が残った。
私としては、田舎から出てきた純朴な青年が努力の果てにやがて小さな成功を成し遂げる、みたいなほのぼのとした内容を期待していたので、その点ではやや残念だった。
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