蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

たましいのふたりごと

2018年02月17日 | 本の感想
たましいのふたりごと(川上未映子 穂村弘 筑摩書房)

二人がそれぞれにキーワード(例:エゴサーチ、人たらし、疾風怒濤)を選んで、それについて思いを述べた対談集。

穂村さんのエッセイを読んでいると、ほぼ同年代であるせいか、感じ方や考え方が自分とよく似ているなあと思える箇所がよく出てくる。
本書では、

仲直りの仕方がわからないので喧嘩を始めることができない

こんなにうまくていいのか不安になるほど、牛丼がうまく感じられる(美味しいものをたくさん食べきたはずの今でも)

といった部分がそうだった。特に後者は、まさに私が牛丼(ただし、Y社に限る)を食べる時にいつも感じることで、「こんなにうまくて、こんなに安くていいのか?」なんて思ってしまう。もっとも、そう感じてしまう自分に不安を抱いてしまう、というあたりが並の人とは異なる詩人の感性というものだろうか(いや、単にプライドが高いだけかもしれんが)。

余談だが、以前、日経新聞にY社の中興の祖である元社長が、「私の履歴書」の中で、(狂牛病とかでY社が苦しんでいる時)Y社牛丼の大ファンだった息子が早死にしてしまった、ついては苦しんでいるY社にいくらかでも役に立てればと、匿名で数百万円をY社に送って来た母親がいた、という話(それを全部2000円札にして母親の手紙のコピーといっしょに社員に配ったそうである)を紹介していた。やっぱりY社牛丼が好きな人ってたくさんいるんだなあ、と思った。穂村さんがY社牛丼のみ好きなのかどうかは不明だが、きっとそうだと思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ハクソーリッジ | トップ | 光炎の人 »

コメントを投稿

本の感想」カテゴリの最新記事