蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

アメリカン・アニマルズ

2020年02月11日 | 映画の感想
アメリカン・アニマルズ

ケンタッキー州の大学生:ウォーレンとスペンサーは、なんでもない普通の学生だったが、大学図書館に所蔵のオーデュボン作の「アメリカの鳥類」(自家12億円)を盗み出そうと思いつく。秀才のエリックやスポーツマンのチャズの二人を言葉巧みに誘い込んで(本人たちにとっては)綿密な計画を練るが・・・という話。

本作は実話に基づくもので、何と現実に犯行に及んだ本人が4人とも登場して、当時の思い出?を語ってしまう。
いっそのこと、本人たちに演技させればよかったのに、と思ったが、その手はクリントイーストウッド監督に使われてしまったし、ヒーロー側を本人が演じたその作品と違って、犯人本人に犯罪を再現させるのは、何等かのコードに引っかかりそうな気もする。

本作を見て思ったのは、ごく普通の人にとって、モノを盗むとか、人を傷つけるといった「犯罪」に対する心理的抵抗は極めて強いものがある、ということだ。

主人公たちは彼らなりに調査をして完璧な計画をたてたつもりが、ちょっと司書のオバサンに抵抗されたり、思ったより本が嵩張って持て余したりしただけで、激しく動揺して、あっけなく計画は破綻してしまう。

そもそも計画段階でも司書のオバサンをスタンガンで気絶させる役を誰もやりたがらず、しぶしぶ主人公が引き受けるあたりでも、特に恨みもない他人に手を出すというのは、案外難しいことなんだなあ、と思わされた。
そういうことに何の抵抗もなく冷静に取り組める人がサイコパスなんて呼ばれたりするのだろうか?

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