蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

山の仕事、山の暮らし

2014年08月17日 | 本の感想
山の仕事、山の暮らし(高桑信一 ヤマケイ文庫)

書名通り、山間での仕事や、旅館などを営みながら暮らす人々を著者自身が何度も訪問して聞き書きした記録。

・ゼンマイ採り
山菜採りというと、何となくレジャー気分で楽しそうなイメージがあったのだけど、仕事とやるとなると重労働。採るのみならず茹でて干すという製品化が特に大変そう。

・山椒魚採り
読む前は、「え、山椒魚って採っていいの?」なんて思ったが、ナマズの親分のようなオオサンショウウオではなくて、トカゲっぽい感じの種類のものを渓流に仕掛けた「ズ」というワナで採る手法。から揚げして食べるとおいしいそうで、卸値で一匹90円もするとか。

・シカ撃ち
シカ肉は売れるそうだが、それだけで生計を立てている人は今はなく、狩りは害獣駆除の色合いが濃いらしい。実際、駆除しないと農業被害がひどくなるほど繁殖しているとか。最近クマやイノシシが人が住む所まで出没するようになったのは、森林等が破壊されて居場所がなくなったというよりは、(狩りをする人がいなくなって)単に数が増えたため、という説があると聞いたことがある。
ほとんどの場合、走っているシカを(到達予想位置を予想して)撃つらしい。佇んでいるシカにこっそり近づいて撃つ、というイメージがあったため意外だった。

・ワカン作り
ワカンとはかんじきのこと。著者が取材した平野さんという人の作る「和一のワカン」は愛用者が多く、今でもそれなりに商売になるらしい。すべて手作りで製作プロセスは多く、ほとんど単独作業なのでとても大変そう。

・漆掻き
国産漆の生産量は、消費量の2%程度くらいだそうだが、今でも生産されていること自体知らなかった(化学的に合成しているのだと思ってた)。漆の木を傷つけて樹液を取るのだけど、もちろんジャブジャブ出てくるわけではないし、ものすごく根気がいりそう。

・秩父の天然氷
冬季に池にはった氷を切り出して保管しておくのが「天然氷」の定義。うーん単に取水して冷凍庫で凍らせても同じような気がするが・・・。ゴミがはいらないように常に水面をきれいにしておかないといけないらしい。

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