蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

僕は秋子に借りがある

2020年03月19日 | 本の感想
僕は秋子に借りがある(森博嗣 講談社)

自選短編集。
森さんの著作のうち、エッセイはほとんど読んでいるものの、小説、特にミステリはあまり読んでいない。エッセイはとても面白く読めるのに、ミステリなはどうも読んでいて楽しくない。小説でも家族や師を描いたモデル小説に近いものには深く共感できるのは不思議だ。

多分、著者の自由奔放なイマジネーションについていくだけの能力が私にはないんだろうなあ、と思われる。
本作でも著者自身の経験がもとになっている「素敵な模型屋さん」や「キシマ先生の静かな生活」はとても面白く感じられるのに、「砂の街」とか「恋之坂ナイトグライド」みたいに読む方の想像力が問われるような作品は、かなりしんどい。

長編「喜嶋先生の静かな生活」のもとになっている短編があることは知らなかった。「喜嶋先生の静かな生活」は本当にいい小説だった。実は3回も読みなおしたんだけど、本書収録の「キシマ先生の静かな生活」を読んだらまた読みたくなってきた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フーガはユーガ | トップ | 告発 »

コメントを投稿

本の感想」カテゴリの最新記事