蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

めぐり逢わせのお弁当

2015年07月12日 | 映画の感想
めぐり逢わせのお弁当

インド・ムンバイでは、会社に勤める人の多くが専門業者が配達する弁当(家庭で作られたものの他、業者の作ったもののある)を昼食にしている。
損害保険の査定・支払事務を長年勤めて退職間近のサージャンは、妻を亡くているため、いつも業者の作った弁当を配達してもらっているが、ある日いつもより格段にうまい弁当が届く。
実はこの弁当は、イラという女性が、(関係が冷え込んでいる)夫の関心を引こうと手をかけて作ったものが誤配されたものだった。サージャンは食後の弁当箱に「ちょっと塩辛かった」という手紙を入れ、そこから二人の弁当箱を通した文通が始まる・・・という話。

インド映画というと陽気で騒がしく大団円は底抜けのパッピーエンドというイメージを持っているのだが、本作は最後まで静かで落ち着いた雰囲気で進むし、結末も余韻を残したものになっている。
特に、家族を亡くし長年慣れ親しんだ職場からも離れようとしているサージャンの、初老を迎えた男の悲哀がしんみりと伝わってきた。

以下は、本筋とは関係ないが印象に残ったところ。
・4段にわたるムンバイ風?の弁当はとてもおいしそう。一度(弁当として)食べてみたい(おそろしく辛そうだけど)。

・弁当配達の専門業者は独特のノウハウを持ち、めったに誤配しないそう。映画で見る限りはとてもそうは見えないのだが・・・

・サージャンのオフィスはすべて紙で事務処理しているみたいでコンピュータが見当たらない。現実もこうなるのだろうか?ムンバイはITが極度に発達しているイメージをもっていたのだが・・・

・インドの人は今でも(箸やスプーンなどではなく)手指ですくって食べるんだなあ。妙においしそうにみえた。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 海街diary(映画) | トップ | 海翁伝 »

コメントを投稿

映画の感想」カテゴリの最新記事