蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

グインサーガ120~123巻

2008年11月22日 | 本の感想
グインサーガ120~123巻(栗本薫 ハヤカワ文庫)

「旅立つマリニア」、「サイロンの光と影」、「豹頭王の苦悩」、「風雲への序章」

イシュトヴァーンの子供を連れたマリニアが、ミロク教の聖地ヤガへ旅立ち、グインはサイロンに帰還する。グインの妻シルヴィアは、グインが不在の間、荒れ果てた生活を送って父親不明の子供を妊娠していた。
それを知ったグインは困って宰相のハゾスに処置を丸投げする。シルヴィアは出産するが、グインとはついに和解できず(当たり前か)、グインはアキレウス帝に王座の返還を申し出るが、強く慰留され、アキレウスは退位し、グインが名実ともにケイロニアの支配者となる。

「豹頭王の苦悩」のあとがきで著者自身が書いているように、グインは悩み苦しむわりには、最後、あっさりシルヴィアを見限る。シリーズのファンの多くも、「もうシルヴィアはほっといて話を展開させてくれ!所詮、稀代の英雄に似合わない女だったのさ」と思っているだろう。

シルヴィアって本当にいいとこなしで、おそらく今後登場することすらなさそうなんだけど、彼女に限らず、グインサーガに登場する女性って、けっこうひどい扱いをされているような気がする。アムネリスも実にあっさりと舞台から消え、フロリーはただイシュトヴァーンの子供を生むだけに登場したような感じだし、リンダは終始不幸に沈んでいる。

「風雲への序章」のあとがきで、「123巻に至ってまだ“序章”とは」と著者が慨嘆している。
グインサーガは三国志を意識して書かれたものらしいが、今は三国鼎立したあたりになり、これからケイロニア、ゴーラ、パロ(?)の三国が激しく争う予定で、123巻は、その序章との位置づけとのことだ。

しかし、三国志は蜀が成り立つあたりがクライマックスだから、それをなぞると、グインサーガもヤマは越えた、ということになるのだろうか。そうだとするとナリスが死んだあたりが、赤壁の戦いに相当する最大の山場だったのかもしれない。

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