蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

同志少女よ、敵を撃て

2021年12月02日 | 本の感想
同志少女よ、敵を撃て

1942年、故郷の村がドイツ兵に襲われたセラフィマは救助に現れた赤軍兵のイリナにスカウトされて狙撃の訓練を受ける。
セラフィマは、同時期に訓練を受けたシャルロッタ、アヤ、ヤーナと小隊を組織し、イリナに率いられて、スターリングラード、ケーニヒスベルクと転戦し目覚ましい戦果をあげる・・・という話。

独ソ戦をドイツ側から描いた小説はいっぱいある。しかしソ連側から描いた作品は、(翻訳を含めて)少なくとも日本ではほとんどみかけない。数少ない例外として「卵をめぐる祖父の戦争」がある。これがとても素晴らしい作品だった。

本作は早川の小説賞を受賞した作品で、華々しい宣伝文句といっしょに書店に並んでいたので珍しくすぐに買って読んでみた。

さすがに「卵をめぐる・・・」にはかなわないが、ミリタリー小説としても読んでも破綻がなく、
タイトルに表象されるテーマ「ソ連の女性兵士は何と戦っていたのか」や、
非常に危険な兵種なのに孤立しがちな狙撃兵の悲哀
が追求されていて読みごたえがあった。

実在の人物リュドミラ・パヴリチェンコを絡ませたのもよい効果をあげていたと思う。

セラフィマや小隊のメンバーのキャラがいわゆる”ガールズ”っぽいノリなのがちょっと残念かな?
もしかして狙いなのかもしれないが、もうちょっとハードボイルドな方が私としては好み。

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