蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

スペース

2024年05月11日 | 本の感想
スペース(加納朋子 創元推理文庫)

駒子シリーズ第3弾。本書では駒子は端役(というほど外れてもいないが)で、まどか(と双子の姉妹のはるか)が主人公。前半の「スペース」の大半が駒子と短大の同級生のはるかがまどかに近況報告をする手紙になっていて、後半の「バックスペース」がその謎解き?になっている。

「スペース」は、人と人の間(ま)の取り方が大切、みたいな趣旨で、「バックスペース」ではその間を埋めていく物語になる、というのが本書のミソ(?)。

これまでのシリーズが駒子視線だったのに対して、本書ではまどか視線で駒子やその友人が描かれている点が(本筋とはあんまり関係ないけど、シリーズ読者としては)面白い。
客観的にみれば駒子はかなりの変人で、駒子の親友といえる愛ちゃんも実は・・・というあたりが、ふんわりとしたイメージの話なのにヒンヤリとしてイヤらしい人間の本質をも同時にリアルに描く、という著者の作品の特徴が出ていると思った。

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